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婚約4

「・・・・大丈夫かなって・・・良く分かったよ」


再びしみじみとそう零す


少しため息を付きながらブツブツと


呟き冷めた瞳で師匠シアリスを見上げる。


その隣でリュクシスが取り成すようにルナの肩に手を置き


苦笑している。




「私はただ・・・・本当に、かわいい私の弟子の


息抜きにと思っただけなんですが・・・」


リュクシスが居る為に情けない表情を作って


戸惑ったような口調の演技をしてそんなことを小声で返してくる。


ルナより遥か高い身長のくせに上目使いというおまけつきで・・




「・・・息・・・抜き・・・ね・・・


確かに気持ちを一新できると思うよ・・・・確かにねシアリス師匠?」


現実を拒否する視線を無理やり見たくないそれに移す。






遠目ではよく見えないが


大きくて・・・そう、熊くらい?


毛むくじゃらで、牙が鋭い・・・犬みたいな感じ?


ところが身体の所々に犬ではあり得ない(もうすでに大きさが規格外だが)


鋭い角?突起?がある。






あれは完全な魔物・・・・魔獣だった・・・・。






「あれが・・・あれが・・・村を襲って・・


何人かはすでに・・・」


案内に付いてきてくれた


ルナの一回り程上の青年が


少しルナ達から離れた場所で怯えた様に自分のガッシリとした肩を抱き震える。


自分の村が襲われ、親しくしていた人が無残に殺されたんだろう


哀しみ、怒り、怯えるのは当たり前だとルナは


その様子に情けなさを感じることもなく


ほとんど初めに聞いた名前位しか知らないその青年の気持ちが


分かる気がした。




「・・・・大丈夫・・・師匠達が助けてくれますよ・・・・心配しないで。」


出来るだけ優しい声を青年に掛けた。




「そうだよ!貴方達はあの聖騎士様の候補様と・・・・


魔法剣を扱うサフラ一の剣士シアリス=イーズ、なのでしょう?


それから小さくくて、か弱い女の子に見えるけれど


貴女もシアリス様の弟子という事だし、


もう一人の子も、何だか弱そうだけど弟子なんですよね?」


青年は、突然思い出したように希望に満ちた顔でルナを見る。




「え・・・ええ、そうです!だから大丈夫です。」


姫と言うのを伏せて弟子という事にしていたルナは


同じく弟子ということにされてしまったリュクシスを気使うように視線を送る。




「貴方がたが王宮まで頼みに来られたのは正解ですよ・・・大丈夫」


気にしないで・・・という風にルナに目配せした後に


話を合わせてくれた。




「それでは、行きますよ!・・・・四精騎士達」


シアリスの猫を被った声でシアリスと四聖騎士候補(精騎士)の5人は


魔獣に向かって飛び出して行った。
















「・・・・なあ・・・・寝ているのか?」


男にしたら・・・いや女の物であってもなかなか無い


白い艶やかな手がそっとまだ少し丸みを帯びた少年の頬に触れる。






「・・・起きないのか?・・・・なぜ寝てるんだ?・・・お前が」


不思議そうに首を傾げるその様子は青年期に入っているであろう


外見の年齢に反してあどけない


まるでまだ何も知らない子供のように。






「・・・・魔王・・・?」


魔王が聖なる国サフラの姫を奪い生まれた唯一の子ルイドが


生まれた時から・・・いや・・もしかしたら生まれる前からすでに


支配されていたかも知れない父、深紅の魔王を呼ぶ。


無力に眠っているのが不思議でならないと・・・

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