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求婚4

めいいっぱいの自分の気持ちを伝えようと、リュクシスに微笑を向ける


ルナに、リュクシスも淡い笑顔で答えながら小さく


「ありがとうございます。」と囁いた。




「でも・・・恋愛の、『好き』がどういうのか分からないから


婚約の約束でお互いに繋ぎとめさせててよ。仲良しにさせてよ。


・・・・さいわいまだ正式に婚約


出来ないでしょ?・・・それでもし違っても、きっとリュクシス皇子と


私、仲良く出来ると思う。」




そっとリュクシスに向かって手の平を出す。




「・・・今は、だから仮の考えてみましょう婚約者になりたい。


リュクシス皇子の色んな事が知りたい。


・・・・・・それでも・・・良いですか・・・・?」


(ずっと考えてみた・・・どうしたらこっちを見るんだろう。


殺して下さいって言っていたリュクシス皇子、


何も見ていないような瞳をしていたリュクシス皇子、


この世界に繋ぎとめたいと思ったから・・死ぬなんて言って欲しく無いから・・)










「喜んで・・・・」


微笑んだリュクシスの笑顔は儚げでありながら


少しルナの心に近ついて来てくれたような笑みだった。
























「カル・・・・私、皇子と婚約するの。」








ルナは、まだ部屋で、ルナに凄い勢いで逃げられて


むくれていたカルに向かって開口一番に


そう切り出した。


扉を開けたとたん抱き付いて来ていたカルの肩がビクッと震えるのに


軽く唇を噛む。




「・・・・嘘だ~ん!」


「・・・・・。」


抱き締められたまま、カルの声が左の耳に届いたのに、


何も言えなくて、ルナは瞳を閉じる。


「嘘だ~ん、~嘘でしょ~ん、いや~ん~、いや~ん~。」


いつもの調子で言いながらも声の音がどこか違う気がして身体に緊張が


走るルナの身体が、徐々に強く抱き締められていくのに


驚いて思わず離れようとするけれど離れない。




「ちょ・・・ちょっと・・・カル!?」


「いや~だな~、ルナの嘘吐き~」


声は・・・、


少しだけ覗ける横顔は笑っているのに


腕の力だけが強い。




「ね・・・カル・・・ねえ、離して」


何故かふと強く抱きしめてくるカルが、


怖くなってきたルナの必死にの頼みにようやく


カルの腕が緩んで抜け出せた。




「・・・・嫉妬しちゃうな・・・」


その言葉にルナも、申し訳無い気持ちで、俯く。




(カルの事も嫌いじゃ無いけど・・・好きだけど


今はリュクシス皇子の方が、ほおって置けない)


そう思って、ひとまず『婚約』の約束をする事にしたが、


リュクシスと『婚約』の約束をするのならば、


好きだと言ってくれているカルに、


きちんと言わなきゃいけないと


決心したものの、いつもと違うカルの姿に戸惑った。)


けれど、カルがどう言うのか、


どう行動するのかを、それでもルナは、ちゃんと受けとめようとしたが、




「・・・分かったよ」


「・・・・え!?」


小さく笑いながらカルは部屋を出ていってしまった。






















「・・・・僕が王子じゃないから?


・・・僕が魔族だから?・・・僕が穢れているからなの?」




「・・・どうして何も言わないの?・・好きだって言ってくれたのに・・・


だって、私のカルへの『好き』という気持ちがどういうものか、


分からなかったんだもの・・・


カルも分からせてくれなかったもの・・


・・真剣に・・・本気か分からない言い方だったじゃない


・・・だから・・だから・・・


・・・・それに・・・リュクシス皇子をほおって置けないって


思ったんだもの。」


お互いに聞こえない呟きを漏らしながら・・・


ルナは、思っていたよりあっさりと去っていった


カルの態度に気が抜けてペタンとその場に座りこんでしまい、


カルはまだ起きだす者がまばらな王宮の廊下を一人歩いていた。

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