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帰還4

「・・・・ちい嬢・・・・ほい・・・アイスクリーム食べろ!」

「・・・・師匠・・何それ、ちい嬢って・・・」

「おいおい・・・ルナこそ師匠は駄目だろ!

ちい嬢って言うのはな、

・・・ちい姫は、皆言っているだろ?・・・それに町に出て姫は無いだろ?・・」

だからだ!

にっこり笑ってルナにそう言ったシアリスに、

ルナは、ちょっと膨れた後に、手渡してくれた

アイスクリームを受け取って、とりあえず礼を言う。

「・・・・ありがとう・・・アイスクリーム」

「よしよし・・・良い子にして食べろよ・・・」


あの謁見の件があった後の、幾度目かの気分転換で

飽きるほど何回目かの町のアイスクリーム・・・

シアリスが言う事によると自分が食べるのに

一人で食べるのは寂しいからルナも食べなければならないらしい。



「あのボン(リュクシス皇子)・・・・・今日ぐらいかな・・・?」

「・・そうだね・・・今日くらいにサフラに付くかな・・・

・・ねえ・・・ししょ・・・シアリス?・・・私が

お妃に行ったら寂しい?・・・」

ベンチに座りこんで自分のアイスクリームを食べているシアリスの

隣にチョコッと軽く座るとルナも、貰ったアイスクリームを舐め始める。


「・・・・・婿に取れ・・・・そんなの・・・向こうは第三か第四

位の皇子だろ?・・・余裕じゃ無いか・・・」


「・・・・う・・・うん・・・」


浮かない顔のルナをチラッと見て怪訝な顔をする。


「何だ?・・・・お前らで言い出したことだろう?

・・・気に入ったんじゃなかったのか・・・?」

「・・・・・嫌いじゃないよ・・・・好感は持った・・・」


あっそう・・・そう言って何とも言えない顔をして

シアリスはアイスクリームの続きを

食べ始めた。











「エーティル皇子リュクシス・エトル=メルロース・エーティル様が

ご来訪なさいました!」


「どうして、ライバルの手を借りてルナに会いに来なくちゃいけないのかなぁ!?」

「君も、ルナ姫が好きなんですね・・・・カル君。・・・・でもこればかりは

負けられませんからね・・・・・。」


その頃、城では不機嫌そうなカルを連れたリュクシスがクスリと

微笑みながら、王宮の一室で楽しそうにカルと話ししていた。


「・・・・その笑み・・・ああ・・嫌だ!!・・・・

どうせ自分が勝つとか思ってるんでしょう!!

嫌味だね・・・・・ああ嫌味だ!!」




少し居心地が悪いもののカルは、月の加護が深い王宮の中で

平然と恋のライバルに嫌味を言い続けていた。















「師匠・・・あのね・・・師匠も兄上亡くしたんでしょ?・・・

その・・・・カイルのお父さん・・・・」

「・・・・うん!・・・・」

しつこく大事にアイスクリームを舐めながら元気答えるシアリスを

チラリと眼の端に映しながら俯く。


「・・・・生き返って・・・欲しいとか・・・思わなかった?」

「思わなかった」

あっさりと答えるシアリスにチラッと見た後、

俯いて自分の気持ちを吐き出すようにルナは、言葉を重ねる。

シアリスがアイスクリームを持っていない方の手で

見るとも無くルナの頭を撫ぜて、グイッと引き寄せる。

ポリポリと、コーンを齧っている音が続いていた。


「・・・・私は・・・・生き返って欲しいよ・・・・

だから旅に出た・・・・・・でも・・・他の人だってそんなこと思うよね

・・・・死んだ人達だって・・・皆生きて居たかったんだよね・・・」

「・・・コリコリ・・・ポリポリ・・」

抱き締めてくれるシアリスの胸に一度顔を埋めて

ため息を付く、瞳を上げると聞いているのか聞いていないのか

分からない表情でコーンを食べているシアリス。


「・・・・・死にたいって・・・・思ったことある?」

「・・・・無い!」

「そう・・・・」

瞳を落としたルナの頭の上でのシアリスの声、


「・・・ボン(リュクシス皇子)か?・・そんなこと言ったの。」


「・・・・・」

「・・・・・・ボリ」

その後はひたすら二人とも無言だった。


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