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事件、王宮へ3

「お帰りなさいませ女王陛下」

「よくお戻りになられましたルージュ様」

「ご帰還喜ばしいことですサラ様」

エーテイル皇国よりの一時帰国、

邪な魔力によって大破した闘技場の修繕の為に

大会が延期になったことを良いことに、ルナ達は、

サラが肌身離さず持っている手鏡でもって、

内密で懐かしい王宮へと戻ってきた。


ギュッと旅の装いのままになっている自分のマントの裾を握り締める。

助けを求めるように師匠であるシアリスの方に振り向くがその裾に縋る事は

出来ない。


(気持ち悪い・・・・・)

ルナは実は平静な状態ではなかった。

ルナとシアリスが合流した後、サラ達の元に戻る前にルナは、

結局、あの時何が起きて小魔があんなにも発生したのかが知りたいと思い、

地下に下りシアリスと見たのだ・・・・

一面の血がこびり付き焦げ付いた肉片を・・・・。



(姉上が心配そうな顔してる・・・・でも・・・・言えない・・・

私が・・・・父上と母上の死に方を知ったって・・・・。)



姉上にもその遺体を見せてもらえなかったって・・・・

14歳と9歳幼い私達に無残な両親の死に方を見せては行けないって

判断されたって師匠が、言っていた。

新しい女王となる姉上だったが、

遺体を清める儀式も、棺に納められた遺体も

見せられる事もなく、ルナと一緒に葬儀の準備が整うまで

その場から離されていた

あまりにショックが多すぎるだろうから・・・

姉上は、辛うじて残っていた血に染まった母上のサークレットを手に、泣いていた。







師匠のシアリスは、ある意味、優しくて、厳しい、

知りたいと思った事を、惜しげなく教えてくれる。

これが、ひとりの欲望の為に行われた儀式の成れの果てだと、

儀式の成れの果てではないが、

父と母の死に方はこうだったのだと、

同じく魔族に殺されたのだと教えてくれた。


突きつけて立ち上がることを求める。


(『姉上・・・・姉上は私が守るから・・・・今代で恵まれなかった

男兄弟の変わりに私が・・・・姉上を守るから・・・・』)



圧倒的にサフラの王族らしく強い魔力を持つサラを迎える声が多い中

シアリスの瞳を感じる。

自分で、突きつけといて、めいいっぱい心配している。

そしてきっと私が両親の死に様と、魔族の残酷さを

知って、でも乗り越えるという

期待している瞳

優しく、でも強い瞳。


『サラは、巫子王となるなら最上、

でも、少し心が弱い、

ルナは、魔力が全く無いから

巫子王になれない・・

でも、女王としての心の強さが

サラより勝る・・巫子王国サフラの王は、

魔族と戦う王だから・・』と、

昔から、シアリスはそう、いつも

冷静にそれぞれの資質を突きつけてきた。



(師匠・・・・過大評価だよ。

姉上よりも、私の方が王に相応しいなんてありえない!)


グッと迫り上げてきそうな吐き気に耐えながら

臣下の出迎えに笑顔で答える大好きな姉上を見つめる。


(春の女神みたいだ・・・・)





「ルナ姫様、お帰りなさいませ」

「王妹殿下、無事のご帰還、安堵致しました。」

さすがにルナの部屋付きの侍女達はルナを歓迎してくれる。


「うん・・・姉上、カイル・・・・それからいちよう、

あのルイドも無事・・・」

「姫様・・・あの方は女王のお選びになられた

いずれは姫様の兄君になられる御方なのですよ・・・・」

「吐き気がするよね・・・」

姉上と共に謁見する為の式服を出してもらいながら

そっぽを向いて小声で呟く。


「姫様!!」

聞こえる声の大きさではなかったと思うのだがどうやら

何を言ったか分かってしまったらしい。


(そう・・・姉上もカイルもルイドも無事な中で・・・カル・・・

カルが居ない・・・・。)


緑を基調とした、袖の広がった軽やかな服、

精霊と話す事の出来る聖なる王国サフラの

王妹の、それが式服。


今回のエーテイル第2皇子リュイシスとの謁見の後、

再び第4皇子リュクシスと謁見することをルナは、知っていた。


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