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(おまけ)行ってきた、城塞都市!

「わあ、すごい。本当に肖像画描いてもらったみたいー!」

 キャットが届いた包みを開け、そこから出てきた細密画ミニアチュールを見て声をあげた。

 少し前の旅の思い出の品だ。

 本来の細密画ミニアチュールとは中世の写本に描かれた色付きのイラストのことをさすが、オルチャミベリーの写真館「スタジオ・アルハゼン」ではカメラ・オブスクラで撮影し、それを羊皮紙風の紙に色彩豊かに写し取ったものをそう呼んでいた。


「ねえ、これとかやっぱり印刷なんだよね?」

 キャットが何でも知っている恋人に尋ねた。

 チップはいつもの人の悪そうな笑顔で答えた。

「錬金術の一種かな?」

「もう、そういうのはいいから!」

 強く促され、笑いながらチップは種明かしをした。

「多分だけど、カメラ・オブスクラの中身はデジタルカメラで、撮影したデータを絵画風に加工してデジタルプリンタで印刷したんだろう」

「夢はないけどきっとそうだよね」

 キャットが手元の絵を斜めにして、絵の上に残る筆の跡に似たものの凹凸を確かめるようにした。

「そうでなきゃいくら小さくても人数分の絵がこんなに早く完成しないよ」

 キャットが絵から顔を上げ、満面の笑みをチップに向けた。

「ねえ、また行こうね!」

「もちろんだよ、ロビン」

 満足そうにチップが答えた。

「算術師としてもさらに知を磨かないとね」

「それはちょっと難しいかなー」

 キャットの笑みがひきつった。


 実はキャットも算術師ギルドのメンバーだ。先日のイベントで簡単な問題十問(それでも結構悩んだ)を解いて算術師バッジを手に入れている。

(なおその際チップは自分が夢見た『恋人にダクトテープみたいにべったり貼りついて教える』というシチュエーションを、乗馬ではなく数学でだがちゃっかり実現させている)


 恋人の好きなものに触れ、その秩序だった美しさを知ることができた今回の旅はキャットにとっても楽しく実りの多いものだったが、これからも数学に取り組むというのはまた別の話になる。


 キャットは都合の悪い話題からあからさまに路線を変えた。


「そういえばフライディ、キャンペーンコードの話って聞いた?」

「コード? いや、聞いてない」

「ほら、オルチャミベリー出る時にもらった『モリエヌス』のキャンペーンコードあるじゃない、あれ入れたらどうなるのかショーンとヤエルに訊いてみたの。なるほど錬金術城塞オルチャミベリーって感じだった」


 最初はショーンもヤエルも「やってみればわかるよ」と言って教えてくれなかったのだが、女の子からの『お願い』にほだされたふたりは割とすぐネタバレした。


「どうなるって?」

「ギルドカードの色が変わるんだって」

「……なるほど錬金術城塞オルチャミベリー


end.(2019/07/29)

オチなし

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