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ショートショート■ひげとしっぽ

ショートショート3本同時アップです。2/3本目。

「フライディ」

 少しかすれた声でロビンが僕の名を呼ぶ。その短い呼びかけには、便箋何枚にも綴られたラブレターと同じくらいの量の愛情と信頼が込められている。

 僕をフライディと呼ぶのは世界中でただ一人、ロビンしかいない。ロビンをロビンと呼ぶのも世界中で僕一人だ。

 ロビンの手を探りあて、口元に引き寄せてキスを落とした。手が熱くなってる。ロビンが眠りに落ちるまで、あとわずかだ。

 

「愛してるよ、ロビン。世界一可愛い僕のロビン」

「フライディ」

「なあに?」

「王子様みたい」

「ご不満なら改めるよう努力するよ。ワイルドな方がいい?」

 ロビンが低く笑った。いつものいきいきとしたロビンも大好きだけど、こういう時のロビンにはまた別の魅力がある。結局僕は、どんな時のロビンも大好きなんだ。

 

「初めて会った時みたいに?」

「どっちが好き?」

 返事がかえってくるまでにしばらくかかった。もう寝てしまったのかと思った頃に、やっとロビンが言った。

「どっちでも」

 ロビンが体温と柔らかさを感じる距離まで僕にすり寄ってきた。邪魔だと押しのけそうにない相手を見定めた猫のように。長い尻尾がついてないのが不思議なくらいだ。ロビンに尻尾がついてたらきっと可愛いだろう。

 

「でも髭は、ない方が――キスする――とき――」

 間延びした言葉の続きは寝息になった。抱き寄せても、くったりとおとなしくされるがままになっている。

 

 やっぱり尻尾はない方が、ベッドの中では邪魔にならなくていいかもしれないな。

 

end.(2011/07/04)

次が3/3本目。

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