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星と悲しみの歌

作者: 一理

 それはそれは美しい星があった。確かに存在していた。それはとても小さいけれど、他のどんな星よりも強く光り輝いていた。

 この夜には、皆が居た。

 みんなが自分の星を見つめて、いつかこの小さな星が星座になることを望んで見守り続けていた。

 だけど小さな星。

 人知れず、ぽつりぽつり、消え去ってしまった。


 ――― いやだ。どうか消えないで。道しるべがなくちゃ進めない。


 残念だけど、もう夜は明けかけていた。

「君はもう、そこに居てはダメ。無駄なんだよ」

 そう言われて、とても悲しくなった。

 まだここに居たい。まだどこかで小さな星は輝いているはずだから。

 祈りの歌を歌った。音符が目からこぼれて溶けた。


 小さな小さな星がそこにあった。確かに存在していた。それはとても美しかったけれど、他の星たちと同じように消えて行った。

 この夜にはみんなが居た。

 みんなが自分の星を見つめて、いつかこの小さな星が星座になることを望んで見守り続けていた。

 けれど失った星。

 人知れず、ひとりひとり、ここを去って行った。


 ――― どうして朝を迎えるんだ。まだ夜に居たいんだ。


「君はまだ、ここにいるつもりか。無駄なんだよ」

 そう言われて悲しくなった。

 まだここに居たい。いつかまた星が見えるはずだから。

 悲しみの歌を歌った。宝石が目からこぼれて溶けた。

 

 どんなに美しいモノも、溶けてしまえばないも当然

 日がどんどん昇る。

 

 夜が溶ける。

 星が消える。

 人はもういない。

 

 星はずっとそこにあると思って、歩いていたからダメだったのかな

 道しるべを失って、どうすればいいの?

 夜は朝に


 ――― どうすればいいのか、一つもわからない。


「君は太陽を見つめればいい。それが当たり前なんだから」

 残酷な言葉。

 夜に慣れた者には太陽の光は強すぎる。影に隠れて埋もれていくだけなのに

 まだ星を探していたい。

 朝にならないで

 

 小さな光、それは美しく、消えてしまった。

 夜に輝いていた星々よ

 流れ星となって散って逝ったの


 ――― 星はまだあるはずだから。

「太陽の前では星は弱い。消え去った星なんかより太陽のもとへおいで」

 

 

 小さな光、美しかった、輝いていた。

 けれど、もうない。

 星座をつくることもなく、月と並ぶこともなく、太陽の前に消え去った。

 別れの歌を歌いながら、目から流れる音楽を聞いた。

 とても切ない悲しい別れの歌。


 そして、太陽の手を取った。

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