表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

5.祭りの前の

【登場人物】


レイル・スプリッター ……主人公(おじ様)

フランメ       ……愛馬♀

ソノラ        ……男の娘

マティーニ      ……レイルの育ての母

 命からがら、ギリギリで外に出ることができた。


「ありがとう、おうま……フランメ!」

「ヒィンヒヒィン!」


 緊急事態、異変察知……さすが我が愛馬。

 出口の光が見え始めたところで俺の体力が限界を迎えると共に、落盤で道を塞がれ行き場をなくしたその時……、


「タイミング……バッチリ……だったな」

「……プェッ!」


 颯爽とフランメが助けに来てくれたってわけだが……確かにな?帰還用のアイテムを置いていったのが悪いけどさ……唾吐く事なくないか?


「お」

「な、なんですか?!」


なぜ元素神殿(エレメテンプルム)にダンジョンの発生の報告義務が必要になるのか……理由は、これだ。


 ダンジョンがあった場所に、天から光が降り注ぐ。


「なるほど……村長の奴、独り占めしたかったってことかい」

「これは……宝石ですか?真っ赤で綺麗です……でも、なんで……?」

「そうか、知らないのも無理もないな。ダンジョン……障りを祓い終えたらな?元素神(エレメゴッズ)から直々に報酬が与えられるんだ」


 まったく、真っ当に祓えさえしないソノラがここに来ても意味が無い事くらい、分かっ――……俺が出した帰省を知らせる文を知った上で?ハメられた?まさか、な。


「ま、これは守護騎士様が応酬させてもらうがね……ソノラ、村長には黙ってるんだぞ」

「はい……」

「どこで知ったか分からないが、なにもないのは怪しまれると見た。とりあえずこれを……ソノラ、耳を貸せ」

「?……はい……はい、ふはっ!分かりました!」


 ソノラが聡い子で助かったな。やはり、あの村長の裏の顔に気付いていたみたいだ。俺が甘やかした結果かもしれないが……共有できる者がいるのは心強い。


「……これが、のう」

「はい」

「ご苦労だったなソノラ……後は、好きにしなさい」

「はい!」


 机に置かれた1枚の布をみて、あからさまに興味をなくした村長に、満面の笑みのソノラ。

 この布だってそこそこの価値があるもんなんだぞ?俺の汗拭き用として使っているものなんだぞ?


 今回の件と、小さい時に教わったことの、礼ぐらいはしないとな……これからは、優しい村長さんでいて欲しいもんだ。


「ところで、ソノラの家はどこなんだ?」

「ここ、です」

「ん……気まずいならうちくるか?好きにしろって言われたろ?」

「はい!!」


 素直で可愛い。


「お待たせしました!」

「……荷物、そんだけか?」

「元々、そんなに物を与えられていませんでした。僕としても、その方が良いのかなって思ってましたし……」


 なんだろう。

 俺の実家に行くこと自体は嬉しいみたいだが……いや、嬉しいならそれでいい。今はそれでいいだろう。


「マティーニさんには色々とお世話になってはいますけど……急にこんな荷物を持ってお邪魔するのは迷惑じゃないでしょうか」

「俺に任せとけって!大事な息子が久々に帰るんだ、大歓迎に決まってるって!」


 なーんて言ったのに。


「ガハァッ!」

「おじ様?!」

「どの面下げて帰ってきた小僧!!」


 ドア開けた途端に殴るかね、普通。


「元素使わなかっただけ、感謝しな」

「婆さんになったわりにゃ、なかなか効いたぜ、ママ」

「ママ?!」


 驚くところそこ?ソノラ。

 なんとか家に入れてもらえたものの、すぐに風呂に放り込まれた。


「はぁ……いい湯だねぇ」

「そうですね~……はぁ〜〜」


 やっぱり男の子だったな〜……。


「っ!」

「ソノラ?」


 風呂にまで目隠し布を付けてきたせいだろう。湯が沁みれば古傷だとしても、火傷には熱さの痛みが刺さるからな。


「取るからな」

「あっ」


 ……痕がない。


「その目の……水の流れ……はぁ〜〜なるほど」

「その……おじ様……」

「いい、いい、そんな顔するな。今朝会ったばかりのおっさんにわざわざ話さんでいい、な?」

「〜〜っ!」


 顔半分、湯潜らせ俺をジッと見つめるソノラ。


 ……俺も拾われた子だがな、自分の生まれってのがどんな意味を持つかなんて、大切に育てて貰えたという現実があればなんだっていいと、俺は思ってる。


 ソノラは少しだけその記憶と実感が足りないみたいだがまぁ、今日からは俺がたくさん教えてやれれば……なんだ?ソノラの様子がおかしいような?


「おじ様ぁっ!!」

「ファッ?!」


 ザバッと勢いよく飛び出したソノラは俺に抱きついてきた。


「おじ様は優しいです……僕……あなたについていきたい」

「あ、あの……ソノラさん?」

「ダメですか……?」

「あ〜……はは……君の素質は十分にあるのは見たからね……俺としても、跡継ぎを育てなきゃならないしね……あ〜……とりあえず離れてもらってもいいでしょうか?」

「ご、ごめんなさい!苦しかったですよね」


 いろんな意味で、苦しかったよソノラ。

 なんでそんなにお肌スベスベなの?……おじさん、勘違いしちゃうところだったよ。


「……のぼせる前に上がろう、その話は祭りの後にしようかソノラ」

「はいっおじ様っ」


 ぎゃん、カワ。


「今日は夕飯は無しだよ、祭りの獲物があるからね」

「そうでした!いきましょうおじ様!」

「待て待て〜も〜そんな急がなくても食いっぱぐれないよ〜〜ソノラ〜」


 自然とだらしない笑みが漏れてしまったらしい。ママに凄い目で見られた気がするが、ソノラの可愛さは正義なので構わない。


 サクッとご馳走だけかっさらって、腹を満たすとしようか。

【豆知識⑤】

浄化法じょうかほう

守護騎士にのみ使うことを許されている『障り』を浄化する方法です。

何をもって浄化するかは各元素で違います。(レイルは火なので『聖炎』としています)

つまり、その方法を知らない者がダンジョンに潜っても祓えず、意味はないということになります。

腕試しで侵入する者もいなくはないですが、宝があるとかでもないので旨味はありません。祓えれば、別ですが。


元素使いと、守護騎士

元素使いはそこら中に存在します。ただ、その中で守護騎士を目指すものと、普通の暮らしを選ぶもの、ダンジョンでの困り事を助けることを生業にする者、守護騎士のダンジョン攻略の手助けをする為に傭兵として雇われる者……等、生き方はそれぞれ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ