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4.底の底の

 状況を見て、適した攻撃法をすることを諭す。


 事前調査すらない、小さくても未知のダンジョン。道が入り組んでいるという唯一でも、はっきりとした視覚的情報を得ているのであるのなら、なおさらだ。


「なるほど……例えばこことそこが繋がっていた場合、僕達も焼かれていたかも、というわけですね……本当にごめんなさい」

「わかればよろしい!ま、勉強になったな?」

「はい……ふふ!ワクワク!」


 鍛錬と実践は別物だ。

 自分の思うような行動なぞ出来ない場合の方が多い。冷静に判断し、状況を見て動けるようになれば……これに関しては、経験が必要か。


 とはいえ、ソノラのおかげで楽に進めるようになった事には変わりはない。攻撃法事態は申し分無かったからな、ちゃんと褒めるところは褒める……はぁ、柔らかい髪だなぁ……。


「おじ様、あそこから光が」

「小さいだけあるな……下ったのは2階層分くらいか」


『障り』の本体。ご丁寧に実体化してくれる。


「牛……?」

「面白いな……()()()!ソノラは下がっていなさい〜」

「で、でも……っ!」

「障りを祓うのは元素使いでは無理でな?それは、守護騎士の役目……それに、俺は牛飼いのマティーニの息子なんだぞ?これくらいの暴れ牛、手懐けられずにどーするってぇのっ!」


 見て覚えるのも、大事な経験だぞソノラ。


 見た目は水牛に近いか?前方に突き出たあの角、避けきれなかったら……ソノラのトラウマにならないようにしないとな。


「さぁ来い、牛舎に返してやる」

「フモォォォォォ!!」


 洞穴内に響く雄叫び。反響して痛みを伴うほどだ。思わず耳を塞ぎたくなるが、そんなことで両手を塞がれるわけにはいかない。


 突進を始めた脚……水帯び水面を走るように加速し、接近してくる。


元素神(エレメゴッズ)同士で喧嘩でもしたか?綺麗に混ざってるじゃないか」


 水の元素は少々予想外だったが、主な攻撃手段はやはりあの角の様だな。狭さを認知しての進化?やはり、『障り』の影響で元素が重なるとひと味違うみたいだ。


「とはいえ、牛は牛ぃ?!じゃないのかよっ!!」


 ただの角じゃなかった。

 自分で混ざってるって言った癖に……ソノラが見てるからって見栄なんか張るなよ俺、ガキじゃあるまいし。


「あっぶないねぇ……」


 内側から熱を発し、真っ赤になる牛の角……まるで熱した鉄球だ。避ける事は出来たものの、発する熱のせいで息苦しいし、距離が近ければ近いほど、肌が焼けるように感じる。


「おじ様!大丈夫ですか?!」

「平気だソノラ!そこから出るなよ!体を焼かれるからなあ!」

「おじ様……」


 心配するなソノラ。


「さっきも言ったろう!障りを祓うのは……守護騎士の役目だって!」


 読める動きではあるが、走り回れるのは少々厄介だ。


「動きを止めるかね……【拘束する熱鎖(ネ・グローニ)】!」


 地面に手をつき、地中から元素を走らせる。助走を始めようとしている牛の真下から火の鎖を伸ばし、絡みつかせ、動きを止める。


「フモォォォン!!フッゴッ!フゴ!!」


 体に巻き付いたんだ、焼かれる痛みで叫ぶのは仕方ないだろう。が、足元ってことは当然、水に触れる。


「おじ様!水で消されちゃいます!」


 そりゃ心配されるよな。

 蒸発し、蒸気になり、辺りを包み始める。視界が奪われる、ソノラも怖いだろうな。


「心配するなソノラ……俺に水は通じないのよ」

「え……そんな……こんなことって……!」


 普通に考えれば、火は水に弱いものと思うだろう?けどな?鍋で温めていた水を、熱し続ければどうなる?


「沸騰させ、蒸発させ続けりゃ……問題無いね」


 涼し気な水面の上を走り続けるつもりでいただろうが……さすがに今は無理だろう。なにせ、煮えたぎる湯の中にぶち込まれたようなもんなんだから。


「さすがに使うのをやめたか?けどな、変わらず体は焼かれ続ける……苦しいだろ?今終わらせるからな」


 地団駄を踏み、痛みに苦しむ鳴き声を出し続ける『障り』の牛。


「よーく見とくんだソノラ……これが、守護騎士だ」


『障り』を祓う……これはどの元素に属する守護騎士にも、共通する『浄化法』を用いることになる。


「我元素神(エレメゴッズ)に血と魂を捧げし従者なり――『聖炎』にて、蝕む穢れを討ち祓わん――……【神を癒し清める光(アル・ディラ)】」


 実体化した『障り』の生命力を削り、小っ恥ずかしい祝詞を捧げなきゃならないのが厄介だが……どうかな?俺のお仕事は。


「す、すごい……綺麗……」

「俺は火の元素の守護騎士だから『聖炎』で火葬して浄化するんだ」


 白く輝く炎が『障り』の牛を消し去っていく。


「こっからがなあちょっとばかりまた、骨が折れるんだが、いいか?ソノラ」

「な、なんですか?終わりじゃないのですか?」

「ふふふ……終わったってことはな?ダンジョンが祓われ、消え去るってことなんだな?」

「え」


 そう、消えるんだ。


 ……本来、脱出の際に使用するアイテムがあるんだが、忘れたんだ俺は。なんの為にフランメを待機させたのやら……マヌケすぎる。


「崩れ落ちる前に、走って帰るぞ〜〜〜!!」

「ちょ、え、わぁぁぁ!!」


 幸い、3層上るだけ……持ってくれよ俺の体力!

【豆知識④】

ダンジョン

この世界のダンジョンは元素神エレメゴッズから生まれる『障り』から生まれます。

作中でも説明していますが、元素神エレメゴッズ本人になにかしらの影響があった時に、2種のどちらかの形で地上に形成されます。

どちらも『障り』の本体、実体化した魔物モンスターのボスの力を削ぎ、浄化する事で攻略完了となりダンジョンは消えます。


障り

よく言うところの穢れです。ダンジョンにのみあり、地上の人間には直接的な影響は……ないはず。

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