商会メンバー加入(孤児の天才少年)
街に戻る。
露店。
少年がいた。
ボロボロの服。
だが、目が鋭い。
少年はエリックを見ていた。
「何?」
「あなた石鹸の人?」
「そう」
少年は言った。
「原価安すぎ」
エリックは固まった。
「なんでわかる」
「灰と脂でしょ」
「天才か」
少年は言った。
「もっと儲かる方法ある」
「聞こう」
「容器」
「?」
「石鹸液体にして容器で売る」
エリックは思った。
ハンドソープ。
「お前」
「?」
「雇う」
「給料?」
「出す」
少年は即答。
「働く」
名前。
リオ。
12歳。
孤児。
だが。
計算が異常に速い。
シェリーが言った。
「この子すごい」
エリックは笑った。
「商会っぽくなってきた」
ーーー
街はざわめいていた。
人。
声。
匂い。
露店が並ぶ。
果物。
布。
香辛料。
そして。
エリックの石鹸。
小さな列。
少しずつ。
だが確実に。
売れている。
リオは横で見ていた。
目が動く。
人の流れ。
手の動き。
財布の開き方。
全部。
見ている。
「なあ」
「何」
「値段、上げていい」
エリックは眉を上げた。
「根拠は」
「ここ」
リオは指差す。
通りの角。
人が溜まる場所。
「ここで買うやつ、急いでる」
「うん」
「比較しない」
エリックは少し笑った。
「なるほど」
リオは続ける。
「あと」
「まだあるのか」
「匂い弱い」
シェリーが反応した。
「え?」
「もっと強く」
「花とか?」
「そう」
リオは頷く。
「女の人、増える」
シェリーは少し嬉しそうに笑った。
「やってみる」
エリックは腕を組む。
考える。
「液体石鹸」
「容器」
「香り付き」
リオが言う。
「高く売れる」
「どれくらい」
「今の三倍」
「強気だな」
「売れる」
即答。
エリックは笑った。
「いい」
「やろう」
シェリーが言う。
「でも容器どうするの」
沈黙。
でも一瞬。
リオが言った。
「空き容器買う」
「どこで」
「酒場」
「なるほど」
エリックは頷く。
酒の容器は木製だが
「洗って再利用か」
リオ。即計算。
「利益出る」
エリックは手を叩いた。
「決まりだ」
風が吹く。
露店の布が揺れる。
その下で、三人。
小さな商会が、動き出す。
リオがぽつりと言う。
「あと」
「まだあるのか」
「ある」
エリックは笑う。
「全部言え」
リオはエリックを見た。
鋭い目。
「名前つける」
「名前?」
「商品に」
エリックは一瞬止まる。
そして。
笑った。
「いいな」
シェリーも頷く。
「可愛い名前がいい」
リオは首を振る。
「覚えやすい名前」
エリック。
小さく呟く。
「ブランドか」
リオは言った。
「それ」
街のざわめきの中で。
一つ。
新しい何かが生まれかけていた。




