パン窯革命(パンがふわふわ)
朝。
エリックとシェリーはパン屋の前にいた。
焼きたての匂い。
腹が鳴る。
「パン食べたい」
シェリーが真顔で言う。
「俺も」
二人はパンを買った。
固かった。
「……」
「……」
シェリーが言う。
「この街のパン、全部こんな感じ」
「石みたい」
「でも普通」
エリックは思い出した。
前世のパン。
ふわふわ。
もちもち。
焼きたて。
「……これ、革命起こせるな」
「何の話?」
エリックは言った。
「パン窯作ろう」
「パン屋になるの?」
「違う」
「?」
「パン屋に売る」
シェリーは首をかしげた。
「窯?」
「そう」
今のパン屋の窯は簡単なもの。
温度が安定しない。
だからパンが固い。
しかしエリックは知っていた。
ピザ窯DIY動画。
庭に作るやつ。
「石で作る」
「またDIY」
「俺の得意分野」
⸻
街外れ。
エリックは石を積み上げていた。
丸いドーム型。
「これ何?」
「ピザ窯」
「ピザ?」
「うまい食べ物」
「また変なこと言ってる」
⸻
数日後。
完成。
パン屋の店主を呼ぶ。
「なんだこれ」
「新型パン窯」
「怪しい」
「一回焼いてみて」
店主は半信半疑。
生地を入れる。
待つ。
焼けた。
パンを割る。
ふわっ
店主が固まった。
「……」
シェリーも固まった。
「やわらかい」
「うまい」
店主が叫んだ。
「これ何だ!!」
エリックはドヤ顔。
「窯です」
その日。
パン屋は言った。
「この窯売ってくれ」
エリックは言った。
「金貨10枚」
店主は即答。
「買う」
シェリーは横で震えていた。
「金貨10枚……」
「家買える」
エリックは言った。
「次はパン屋全部に売ろう」
「本当に商会になりそう」




