テンプレ通りの嫌な奴
次の日。
市場に新しい男が来た。
豪華な服。
腕を組んでいる。
後ろに護衛。
「おい」
エリックを指差した。
「その石鹸と肉」
「はい?」
「誰の許可で売っている」
「え?」
意味がわからなかった。
シェリーが小声で言う。
「商会」
「ああ」
男は言った。
「私はガルド商会の代理人だ」
周囲がざわつく。
「市場の大商会だ」
「へえ」
エリックは知らない。
男は続けた。
「新参が勝手に商売するな」
「えっと」
エリックは首をかしげた。
「市場って自由じゃないんですか?」
周囲の人がヒヤッとした。
男の顔が歪む。
「ルールを知らないのか」
「すいません異世界初心者で」
「意味がわからん」
シェリーが額を押さえた。
男は言った。
「その石鹸の作り方を売れ」
「え?」
「金貨5枚で買ってやる」
安すぎた。
この石鹸は。
一生売れる。
エリックは笑った。
「断ります」
周囲が凍った。
男は怒った。
「後悔するぞ」
「え?」
「市場で商売できなくしてやる」
エリックは考えた。
そして言った。
「じゃあ別の商売します」
「は?」
「いっぱいあるんで」
シェリーが思った。
この人本当に変人。
男は去っていった。
シェリーが言った。
「大丈夫?」
「うん」
エリックは笑った。
「次の商品考えよう」
「何作るの?」
エリックは指を折る。
「パン窯」
「家具」
「チーズ」
「ジャム」
「あとガラス」
シェリーは固まった。
「そんなに?」
エリックは言った。
「YouTubeなめるな」
「誰それ」
⸻
その頃。
ガルド商会。
商会長が代理人に怒鳴っていた。
「石鹸を作れるだと!」
「はい」
「潰せ」
「どうやって」
「店を出せなくしろ」
しかし彼は知らなかった。
エリックは。
次々新商品を出すタイプの人間だった。
しかも。
全部当たる。
ガルド商会の悪夢が。
ここから始まる。




