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異世界ものづくり商会記 〜趣味だった「YouTube真似してものづくり」の経験を活かして快適に暮らそうと思います〜  作者: 積と和〝


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3/7

石鹸は貴族のもの?

街に着いた。


「人多いな」


「王国の地方都市だから」


シェリーが説明する。


エリックはきょろきょろしていた。


石造りの家。

木の看板。

行き交う馬車。


完全に。

中世ヨーロッパ風異世界。


「魔法ないの?」


「ない」


「魔物は?」


「いない」


「でも猫耳はいる」


「いる」


「不思議な世界だな」


「あなたが一番不思議」

シェリーは真顔だった。



とりあえず市場に来た。


肉屋。

野菜屋。

パン屋。


どれも美味しそうだ。


しかし。

「高いな」


「お金ない」


「だよね」


二人は空腹だった。

そこでエリックは言った。

「まず材料探そう」


「石鹸?」


「そう」


シェリーは疑問顔。

「でも石鹸って高級品だよ?」


「知ってる」


「材料高い」


「いや、そうでもない」


「?」


エリックは指を立てた。

「石鹸の材料は3つ」


「3つ?」


「油」


「うん」


「灰」


「灰?」


「水」


「それだけ?」


「それだけ」


シェリーは黙った。

そして言った。

「それで石鹸できるなら誰でも作る」


エリックは笑った。

「作り方がわからないから高いんだよ」


前世で見た、石鹸DIY動画。

まさか。

異世界で役に立つとは思わなかった。



まず灰を手に入れる。

パン屋の裏。


「灰ください」


「なんだ兄ちゃん」


「ちょっと実験」


「好きに持ってけ」


無料だった。


次。


油。


これは問題。

「油高い」


「だよな」


そこでエリックは肉屋に行った。

「すいません」


「なんだ」


「その脂」


「これ?」


肉の切れ端の脂。

普通は捨てる部分。


「それください」


「タダでいいぞ」


「ありがとうございます!」


シェリーは驚いていた。

「材料ほぼタダ」


「そう」


「すごい」


「俺も今気づいた」



街外れ。

空き地。

鍋を借りて火を起こす。


「何するの?」


「まず灰を水に入れる」


「うん」


「灰汁を作る」


「へえ」


次。

油を温める。


「料理みたい」


「まあ似てる」


そこに灰汁を少しずつ入れる。

ぐるぐる混ぜる。

ぐるぐる。

ぐるぐる。


シェリーが言う。

「これ意味ある?」


「ある」


「何分?」


「……」


「何分?」


「動画だと『いい感じになるまで』」


「雑!」



30分後。

ドロッとした物体ができた。


「これが?」


「石鹸のもと」


シェリーが匂いを嗅ぐ。

「くさい」


「まあね」


型に流す。

「固まるまで待つ」


「どのくらい?」


「数日」


「長い」



三日後。


固まった。


エリックは切った。

「できた!」


シェリーは恐る恐る触る。

「これが石鹸?」


「そう」


「ほんとに?」


エリックは川へ行く。

手を洗う。

泡が立つ。

「おおおお」

泡立った。


成功。

シェリーが叫んだ。

「すごい!!」


そして顔を洗う。

少しして。

驚いた。

「肌すべすべ」


「でしょ」


「これ売れる」


「売れる」


二人は顔を見合わせた。

そして言った。

「商売だ!」



市場。

雑貨屋の前。


店主が怪訝そうな顔。

「石鹸?」


「はい」


「いくら」


エリックは考えた。


貴族の石鹸は高い。


でもこれは手作り。


「銀貨1枚」


店主は目を見開いた。

「安すぎない?」


「え?」


「これなら全部買う」


「え?」


シェリーも固まった。


店主は言った。

「30個くれ」


「え?」


「すぐ売れる」


エリックは思った。

やばい

商売になる。


その夜。

二人は初めて。

パンとスープを食べた。


シェリーは言った。

「エリック」


「ん?」


「あなた変人だけど」


「ありがとう」


「たぶん大金持ちになる」


エリックは笑った。

「いやいや」


しかし、この時点ですでに。

王国最大級の商会の第一歩が始まっていた。

夜にもう1話投稿します。

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