表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ものづくり商会記 〜趣味だった「YouTube真似してものづくり」の経験を活かして快適に暮らそうと思います〜  作者: 積と和〝


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/7

転生したら素寒貧でした

「……あれ?」


服を見る。


粗末なシャツ。

粗末なズボン。


異世界転生?

「いや」

俺の人生経験上、異世界転生はラノベであって現実ではない。


しかし、

鏡はないが、手を見る限り若い。


「……え?」


記憶が流れ込んできた。


名前。

エリック


年齢。

20歳


職業。

無職


資産。

ゼロ


「……人生やり直しなのにハードモードすぎない?」

空を仰いだ。


魔法は?

使えない。


ステータスは?

見えない。


スキルは?

特にない。


「……俺、何で生きればいいの?」


その時だった。

道端に何かが倒れていた。


「ん?」

近づく。

女性だった。


しかも――


耳があった。

猫耳。


「え、猫耳?」

頭に耳で不思議なのだが触って見たい程度には可愛い。


「いやいや」

俺の人生経験上、猫耳美少女は道に落ちていない。


さらに後ろを見る。

尻尾もある。


「え、獣人!?マジで!?」


女性はぐったりしていた。

痩せている。

美人というより可愛い系、まあ猫だし。


これはどう見ても――


行き倒れ


「いやいやいや」

俺の人生経験上…まあそれはいい。


エリックは頭を抱えた。


「俺、今自分の生活すら危ういんだけど」


しかし。

前世の日本人としての倫理が言う。

放置はダメ。


「……はぁ」

エリックは肩をすくめた。


「水だけでも探すか」

近くの小川へ走る。

手で水をすくう。


戻る。


口に流す。


猫耳がぴくっと動いた。

「……ん」


目が開いた。

金色の瞳だった。

「ここは……」


「道端」


「あなたは?」


「俺も通りすがりの無一文」


「……え?」

猫耳の女性は困惑した。


エリックも困惑していた。

二人とも。

金がない。


沈黙。


風が吹いた。


そして猫耳が言った。

「私……シェリー」


「エリック」


「……お腹空いた」


「俺も」


そして同時に言った。


「どうしよう」


また沈黙。


しばらくしてシェリーが言った。


「あなた……何ができる?」


エリックは考えた。


戦闘。

無理。


魔法。

無理。


農業。

やったことない。


鍛冶。

無理。


だが。

一つだけあった。

「……ものづくり?」


「?」


「料理とか石鹸とか家具とか」


シェリーは首をかしげた。

「石鹸?」


「体洗うやつ」


「そんな贅沢品作れるの?」


エリックは固まった。

「……え?」


「石鹸って貴族しか使えないよ?」


「え?」


「え?」


二人は見つめ合った。

そしてエリックは思った。

これ……いけるのでは?


前世で作ったものを思い出す。

・石鹸

・燻製肉

・チーズ

・ジャム

・椅子

・棚

・パン


全部。

YouTubeの真似。

だが。

この世界には。

YouTubeがない。


エリックは言った。

「……シェリー」


「?」


「商売しない?」


「お金ない」


「材料集めればいい」


「売れる?」


エリックはニヤッと笑った。

「たぶんめちゃくちゃ売れる」


「根拠は?」


「俺が前世で作ってたから」


「意味わからない」


シェリーは真顔だった。


だがエリックは空を見上げて言った。

「よし」

「まず石鹸作ろう」


「え?」


「あと燻製肉」


「え?」


「あとパン窯」


「え?」


「あと家」


「え?」


シェリーは思った。

この人たぶん変人。


だが。

その変人が。

後に――


王国最大級の商会を作ることになるとは

まだ誰も知らなかった。


もちろん。

本人すらも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ