2つの工房の始動と店舗
本日2話目です。前話の読み飛ばしにご注意下さい。
王様から王都に工房を貰った。
広い。
設備も整っている。
人もいる。材料も調達されている。
猫人族の支援も約束された。
猫人は手先が器用。
働き者、しかも忠実。
彼らの村にも工房が作られた。
拠点が二つになり量産体制は完璧だ。
その代わり王様との約束。
「簡易トラップ」
「発射装置の改良型」
大量生産。
期限あり、その上失敗できない。
さらに王都で店を借りた。
立地がいい、人通りが多い。
つまり金になる場所だ。
だが問題は商品がない。
棚が空で、売るものがない。
これでは意味がない。
エリックは言った。
「ガラスを作る」
シェリーが首をかしげる。
「ガラス?」
聞き慣れない、この世界では珍しい。
高価で貴族のもの。
リオが目を見開く。
「作れるの?」
半信半疑。
エリックは言った。
「動画で見た」
曖昧だが自信あり。
材料は単純だから。
砂。
石灰。
灰。
集める。
砕く。
混ぜる。
炉に入れる。
高温、とにかく高温。
猫人族が働く。
薪を運び、火を守る。
温度を上げる、さらに上げる。
どろどろに溶ける。
光る。取り出す。伸ばす。形を整える。
何度も失敗する。
時に歪む。時に割れる。
何度もやり直す。
数日後。
成功。
透明で向こうが見える。
ガラス完成。
リオが叫んだ。
「革命」
誇張ではない、本当に変わる。
瓶。
液体を入れる。
保存できる。
腐りにくい。
窓。
光を通す。
風は通さない。
暖かい。
明るい。
コップ。
水が見える。
美しい。
価値がある。
全部売れる。
店に並べる。
人が集まる。ざわめく。
「なんだこれ」
「透けてる」
「魔法か?」
違う、技術だ。
だが知られていない。
だから売れる。高く売れる。
最初の客。
震える手で触る。買う。
すぐ売れる。在庫が消える。
猫人族が走る。
追加生産で炉が休まない。
煙が上がる。工房が熱い。
だが止まらない。
注文が来る。
貴族から。
商人から。
…王宮からも。
エリックは笑う。
「いける」
店が軌道に乗る。すると資金が増える。
それを元手に設備を増やす。人を増やす。
ガラスだけじゃない。
次を考える。
トラップもある。
発射装置もある。
やることは山積み。
だが確信がある。
この国でこの工房で。
自分たちは勝てる。




