盗賊団の正体
盗賊団は壊滅した。
森の静けさが戻る。
血の匂いだけが、まだ残っている。
捕まえた盗賊は3人。
生き残ったのは運が良かったのか、悪かったのか。
村の倉庫に縛られている。
粗い縄。
逃げられる結び方じゃない。
床は冷たく、薄暗い。
エリックが聞く。
「誰の指示だ?」
低い声。圧をかける。
盗賊は笑った。
乾いた笑い。
歯が欠けている。
「言うわけねえ」
唾を吐く。
リオが言った。
「じゃあ計算する」
「?」
盗賊が眉をひそめる。
リオは気にしない。
淡々と続ける。
「この盗賊団、装備が良すぎ」
指で鎧を指す。
壁に立てかけてある。
シェリーが頷く。
腕を組んでいる。目は冷たい。
確かに、誰が見ても分かる。
鎧は分厚い。
手入れもいい。
剣も刃こぼれがなく光っている。
普通の盗賊じゃない。
野盗レベルじゃない。
訓練されている。
金がかかっている。
リオが言う。
「スポンサーいる」
一切迷いがない。断定だ。
エリックが聞く。
「誰だ」
間。短い沈黙。
盗賊が目をそらす。
耐える。
だが長くは続かない。
リオが一歩近づく。
「装備、流通、数」
指折り数える。
「全部、裏がある」
盗賊の喉が鳴る。
エリックがさらに圧をかける。
無言の圧。
逃げ場はない。
盗賊が吐いた。
「……ガルド商会」
小さな声。
だが、はっきりと。
沈黙…
空気が重くなる。
シェリーが低く言う。
「やっぱり」
ため息混じり。まさに予想通り。
市場で絡んできた、あの商会。
嫌な笑い方をしていた。
裏の匂い。ずっとしていた。
エリックは頭をかいた。
面倒そうに。
「テンプレだな」
「?」
盗賊が首を傾げる。
エリックは肩をすくめる。
「悪徳商会」
ありがちな話。
裏で盗賊を使う。
金を回す。
リオが言った。
「でも証拠ない」
現実的。冷静。
名前だけじゃ足りない。
捕まえただけじゃ足りない。
シェリーも頷く。
「潰すには弱い」
正面からは無理。
相手は商会。
表の顔がある。
エリックは笑った。
少しだけ。不敵に。
「なら作ろう」
「?」
リオが見る。
シェリーも視線を向ける。
エリックは続ける。
「証拠がないなら」
一拍置く。
「証拠を用意する」
盗賊が顔を上げる。
嫌な予感。
エリックの笑みが深くなる。
「協力してもらうぞ」
縄の軋む音。
逃げ場は、どこにもない。




