初めての鍛冶屋
クロスボウを作るには材料がいる。
木だけでは足りない。
強度が足りない。だから金属が必要。
バネ。
引き金。
固定具。
エリックたちは歩く。
街の中で鍛冶屋を探す。
煙が見えた。
カン、カン、と音が響く。
エリックたちは鍛冶屋に来た。
扉を押すと熱気が流れてくる。
店主は大男だった。
腕が太い。傷だらけ。
「なんだ」
低い声。そしてぶっきらぼうだ。
エリックは図面を出す。
丁寧に広げる。
「これ作れます?」
店主は見た。
じっと。細部まで。
「……」
黙る。
時間が流れる。
シェリーが少し緊張する。
リオは様子を見る。
「弓?」
店主が言う。眉をひそめる。
「新型弓です」
エリックは簡潔に答える。
店主は腕を組んだ。
そして考える。
もう一度図面を見る。角度を変える。
「面白い」
ぽつりと言う。
リオが小声で言う。
「気に入られた」
少し笑う。
シェリーもほっとする。
店主は言った。
「試しに一つ作る」
決断は早い。
「材料はある」
「時間は?」
エリックが聞く。
「三日」
短い答え。
「それでいい」
エリックは頷く。
三日後。
再び鍛冶屋へきた。
空気は同じ。熱い。
鉄の匂い。
試作品が完成していた。
台の上に置かれている。
木と鉄の塊。
だが形は美しい。
店主が言う。
「これだ」
エリックが手に取る。
重さを確かめる。
バランスを見る。
「いい出来だ」
小さく呟く。
店主が鼻を鳴らす。
「当然だ」
試射のため森へ行く。
人のいない場所。
木々に囲まれる。ふいに風が吹く。
エリックが構える。
足を開く。肩に当てる。
弦を引く、カチリと固定。
引き金に指をかける。
木の幹を狙った。
呼吸を止める。
引き金を引く。
バシュッと鋭い音。
矢が飛んだ…一直線。
空気を裂く。
深く木に突き刺さる。予想以上に。
シェリーが叫んだ。
「強い!」
目を見開く。駆け寄る。矢を見る。
抜けない。
びくともしない。
「すごい…」
小さく呟く。
店主も驚いていた。
腕を組んだまま固まる。
「なんだこれ」
信じられない顔。
エリックは笑った。
少し誇らしげに。
「クロスボウ」
名前を告げる。
と店主の目が変わる、職人の目。
店主が言った。
「量産するぞ」
力強く、決意の声。
リオが笑う。
「決まりだね」
シェリーも頷く。
拳を握る。
武器はできる。準備は進む。
そして、盗賊団との戦いに向けて。
一歩、確実に進んだ。




