「愛する人のために死んでください！」と婚約者を奪われたくない公爵令嬢がナイフを構えて突進してきた。愛する人のためじゃなくてあなた自身のためですよね？（王国を救いにきた聖女の私がなぜこんな目に！）

異世界に聖女として召喚されたリナは、魔獣と戦争する人類の主力として日夜奮戦していた。

ある日、魔獣の標的にされた王国を救うべく、直接現地に赴いた時のこと。
出迎えに現れたのは公爵家の令嬢キャロラインだった。

彼女の挙動不審な様子が気になったリナ。

気のせいかと思いはじめていたその時、不意にキャロラインがナイフを取り出す。
彼女が言うにはこの王国には古くからの言い伝えがあり、他所からやって来た聖女が第一王子と恋に落ちるのだとか。

「……そして、私がその王子様の婚約者なのです」

目を血走らせたキャロラインがナイフを構えて突進してきた。