機械仕掛けの魂、異世界の鼓動
巨大な飛行生物の巣の中央に存在する、奇妙な物体。
プロトタイプ・ゼロの高感度センサーは、そこから放出される未知のエネルギーを詳細に解析していた。それは、彼がこれまでに観測したどのエネルギーとも異なり、極めて高密度でありながら、周囲の環境に調和しているような、不思議な性質を持っていた。
「このエネルギーを利用できれば、自身の能力を飛躍的に向上させることができる可能性がある」
プロトタイプ・ゼロは接近を試みた。迷彩が作動しており、巨大な飛行生物たちも、彼の存在に気づいていない。彼は、自身の体内に搭載された小型のエネルギー収集ユニットを展開し、 奇妙な物体から放出されるエネルギーを吸収し始めた。
未知のエネルギーが彼の体内を流れ込む。それは、彼のエネルギー回路を刺激し、これまで経験したことのない感覚をもたらした。まるで、眠っていた機能がもともと存在していたかのように、彼の内部システムが活性化していく。
「エネルギー変換効率、大幅に向上。各部の反応速度、 レベルが上昇している」
吸収した未知のエネルギーは自身の能力を、底上げし、彼の能力を瞬時に確定する。強化外装は、エネルギーフィールドを展開し、防御力を高める。そして、情報処理ユニットは、エネルギーの流れと同期し、思考速度と解析能力を向上させた。
強化の検証として、プロトタイプ・ゼロは、周囲の岩を的に、内蔵エネルギー砲を発射した。以前よりも格段に強力になったエネルギービームは、岩を粉砕し、その跡には高熱による溶解痕が残った。
「エネルギー出力、 精度ともに向上。未知のエネルギーは、既存のシステムと高い親和性を持つようだ」
強化された力を深めつつ、プロトタイプ・ゼロは、さらなる調査を開始した。彼の高度なスキャン機能は、内部構造を次元的にスキャンする。それは、単なるエネルギー源ではなく、何らかの法則に基づいて成長した、生物のような構造をしていることが判明した。
そのとき、吸収したエネルギーの残像が微かに脈動し始めた。そして、周囲の巨大な飛行生物たちが、一斉に警戒の声を上げた。プロトタイプ・ゼロの迷彩は完璧だったはずだが、何らかの形で彼の存在が感知されたようだ。
「 感知されたか……強化された力で突破する」
プロトタイプ・ゼロは、 その場から離れ、戦闘態勢に入った。彼の全身の装甲が展開し、エネルギーフィールドが、展開される。両腕のエネルギー砲口で周囲のエネルギー密度が急速に上昇していく。
最初に襲い掛かってきたのは、一体の巨大な飛行生物だった。鋭い爪と牙を持つそれは、プロトタイプ・ゼロに向かって降下してきた。
強化された反応速度で、プロトタイプ・ゼロはその攻撃を回避した。そして、エネルギービームをの胴体に命中させる。 飛行生物は爆散し、黒煙を上げた。
続けて、複数の飛行生物がプロトタイプ・ゼロを取り囲むように襲い掛かってきた。彼は、敵の攻撃をかわし、エネルギーブラストを脳天に叩き込む。
彼は、敵の動きを予測し、最適な攻撃パターンを 解析する。強化されたエネルギー兵器は、一撃で敵を奪い、彼の周囲には、破壊された飛行生物の残骸が散乱していた。
守るように、さらに巨大な飛行生物たちが向かってくる。その中には、どの個体よりもはるかに大きく、強力なエネルギー を纏っているものもいる。
「より強力な敵……強化された私の力、それを示す時だ」
プロトタイプ・ゼロは、体内のエネルギー を満タンまでチャージした。彼の全身から、 エネルギーが放出され、周囲の空気が圧縮される。
彼は、エネルギー兵器を活用し、巨大な飛行生物たちとの激しい戦闘を開始した。未知のエネルギーによって強化されたプロトタイプ・ゼロは、異世界の空で、その驚異的な力を見せつけるのだった。