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完結●断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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4:舞踏会

宮殿に着くと、まあ、人が多いこと!

さすがね。

今日は王都で開かれる他の舞踏会や晩餐会は閑古鳥……なんてことはない。

この舞踏会は招待状がないと入場できない。

ゆえに他の舞踏会や晩餐会はこの舞踏会に参加できなかった人々により、そっちはそっちで大盛り上がりなはずだった。


エントランスで従者に招待状を提示し、中へ入って行くと。


「セシル!」


声に振り返ると、幼馴染みでヒロインの旧攻略対象だったカール・ヴァン・ダイクが手を振っている。


「おじさんから聞いたよ。セシルがこの舞踏会に顔を出すって。エスコートはつけないで行くから、宮殿で見かけたら声を掛けて欲しいって言われたよ」


もう子供ではないのだから、一人でも大丈夫なのに。

いくつになっても父親からすると、私は子供なのね。


「僕で良ければエスコートするよ、セシル」


僕で良ければ、なんて謙遜しているけれど。

カールは宮廷画家として絶大な人気を誇っている。

描く絵が写実的で流麗であることは勿論、本人も実に秀麗。


明るいブラウンの髪を後ろで一本に結わいている姿は実に画家っぽい。瞳はエメラルドグリーンで、柔和な顔立ちをしている。落ち着いた声音をしているし、画家なのに、手もとても綺麗。


それに性格もあっさりしていて、話しやすい。


「エスコート、お願いしたいわ」


カールに手をとってもらい、グリーンの絨毯が敷かれた廊下を歩き出す。


舞踏会の会場となる「鉄槌王の間」は、名前はいかついが、実際は豪華なシャンデリアと、美しい大理石の床、沢山の絵画が天井に描かれた素晴らしいホール。そこはこのエントランスから真っ直ぐの廊下でつながっている。


「それでセシル、おじさんから聞いたよ。アンドリューに婚約破棄を宣言したのだろう? しかもアンドリューが浮気しているって、みんなにバレて」


あああああ、やはりそれ話しますか?

まあ、話すわよね。


「そ、そうね。なんだかアンドリューは婚約破棄に不服らしく、今、丁度、屋敷でお父様をはじめとした私の家族と会っていると思うわ」


「うん、それも、おじさんから聞いたよ。『この浮気男め!』って断罪してやるって言っていた」


うーん、断罪されるのは私のはずだったのに。

でもアンドリューは断罪されても、私との婚約破棄だけだ。

断頭台送りも国外追放もない。

それにボニーがいるのだし、問題ないだろう。

うん……?

問題ない……? 大丈夫?


ボニー……ヒロインとアンドリューって今、どういう状態なのかしら? 私との復縁を迫っているということは、ボニーとはまさか別れた……?


「ちなみにさ、僕は王族に頼まれた絵を描いている。でもそれ以外では、普通に貴族から依頼された絵も描いているんだ。人物画はモデルがいないと描けないけれど、王族も一日中絵のモデルなんてやっていられないからね。手の空いた時間を使い、王族以外と会い、人物画を描いているわけだけど……」


そこでカールが声を潜める。


「アンドリューは、セシルとの婚約破棄撤回を、水面下で進めているらしい。つまり、浮気相手のボニー嬢には、内緒で動いている。もしセシルと復縁できなかったら、ボニー嬢とそのまま婚約する腹積もりらしい。とある公爵夫人が教えてくれた」


これにはもう、聞いて呆れる、だ。

私との婚約破棄を撤回したいと言っていると父親から聞いた時は、少しよ、ほんの少し、ドキッと嬉しかったのに……。


「セシルはアンドリューと婚約破棄してさ、その後、どうするつもりなのさ?」


! そこで思い出す。


「そうだ、カール! 私から絵の注文をしていいかしら?」


「え。それってまた……」


私がこくこく頷くと、カールが目を丸くする。


「僕、多分、もう20枚近く、描いていると思うけど? サイズは小さいけど、描くのは大変なんだよ。しかもモデルなしで描くの、キツイのに」


「それは大丈夫よ。あれでしょ、筋肉がどうなっているか、服の皺がどうなっているか、実物を見ないと描けないってやつでしょ。それならこれまでのように、私が服を着て、モデルやるから」


私がカールに頼む絵、それは推しであるエドワード様の姿絵だ。モデルが必要だというので、エドワード様の衣装をオーダーメイドし、私が着ているのを見て、これまで描いてもらっている。


私をモデルにしているからだろうか。完成した絵を眺めていると、エドワード様の姿がそこはかとなく自分に似ているようで……。


デレてしまう。


「……というかさ、セシル。そんなに王太子殿下が好きなら、名乗りを上げたら?」


「え、何に!?」


カールは驚きの顔で私を見ている。


「王太子殿下の婚約者。今、王都の妙齢の女性はみんな、王太子殿下の婚約者の座を狙っているだろう? さすがにそれはセシルも知っているよな?」


「それは勿論。……というか、まさか、私にエドワード様の婚約者を目指せとか言い出している!?」


「その通り! セシルだって婚約破棄して、婚約者がいないんだ。丁度いいのでは?」


「む、無理よ。私なんか無理よ。エドワード様……王太子様はね、不可侵の存在なの。離れた場所から愛でるからこそいいのよ。推しが素敵な令嬢と結ばれ拍手を送る。それで構わないのよ」


前世では、エドワード様と結ばれるのはまず無理なわけで(だって私は三次元で、推しは二次元)、その気持ちは現在進行形でキープできていた。天と地がひっくり返るような事態が起き、エドワード様から「好きだ、結婚して欲しい」と言われたら、それは……断る理由はない。


いや、いや、いや。


冷静になりましょう。結婚するということは。王太子であるエドワード様と結婚すれば、お世継ぎは必須! それの意味、考えた時……。む、無理。無理ですわ。


「セシル、本当に君は、昔から不思議だよ。好きな相手とは結ばれたいと願うのが、人間の本能に思えるのに……」


カールにそんなことを言われながらも、ホールに到着した。

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