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完結●断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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41:甘美な囁き

「そしてすっかりあの女性に邪魔されてしまいましたが。本当はあなたと私は、気持ちが通じ合った、その特別な瞬間をあの時噛みしめるはずだったのです。今からでも遅くないですよね? わたしとあなたは今、二人きりなのですから」


……!

な、なんて、甘美な囁き。

もう完全に私は今の言葉でメロメロだ。


「セシル嬢、あなたのことを抱きしめてもいいですか?」


きゃあぁぁぁぁ……!

これは映画のワンシーン? 自分が問われた言葉とは思えない。

そんな風にふわふわした気分で事態を客観視しつつも、しっかり私、頷いていた。


その結果。


クラウスに優しく抱きしめられ……。


「あっ!」

「しまった!」


声を出したのは私。「しまった!」と言ったのはトニー。これらの声に反応したクラウスは、ベンチの後ろを振り返る。


そこには……「す、すみません、クラウス様。その、怪しい者がいないか見張っていただけです。トニーのバカが、前に出過ぎて転びそうになり……申し訳ありません」そう言ったジョセフが、トニーの頭をグイッと下へ向けさせ、謝罪の姿勢をとらす。


そう数メートル離れたベンチの後ろの木に、クラウスを護衛する四人の騎士が、罰の悪そうな顔をして立っていた。


「なるほど。ジョセフ、予想より早かったね。君達全員が、優秀だったということだ。よってそこにいた件は、お咎めなしにしよう」


クラウスに声をかけられた四人は、それぞれ申し訳ないという顔で、私にも頭を下げる。そしてもうバレてしまったからと、ジョセフとトニー達は、ベンチに座る私達の前に出てきた。


私の前に立つことになったトニーは、ボニーに投げつけた鞄をそっと渡してくれる。ちゃんと拾っておいてくれたことに心から感謝し「ありがとうございます!」と御礼を伝えた。


全員が揃うと、クラウスはおもむろに口を開いた。


「例のボニーという女性はどうなった?」


「こちらで拘束後、警備についていた騎士に、当該の女性の引き渡しを行いました。警備責任者とも話し、我々の身分については、伏せるよう話をつけたので、以後、こちらへ何か話が振られることはないのでご安心ください」


簡潔に報告するジョセフに、クラウスは重ねて尋ねる。


「それは安心したよ。ジョセフ、よく交渉してくれたね。ところでそのボニーは、短剣を所持していたわけだけど、偶然ではないだろう? つまりこの舞踏会にセシル嬢がいると知った上で、短剣を手に現れたと思うのだけど……?」


「その点については、驚きの証言を得ました。我々がセシル様の案内で森へ向かった時、休憩所に立ち寄りましたよね? 実はあの場に、あの女性はいたそうなのです」


ジョセフのこの言葉には驚いてしまう。クラウスも記憶を辿り、ボニーがいたのかと思案を巡らせている。


「なんでも彼女の親である伯爵は、セシル様の元婚約者ラングフォード家の長男と、自身の娘が婚約すると信じ、婚約持参金を渡していたそうです。それがとんでもない事態となり、婚約持参金も戻るか、不明な事態になってしまいました」


ここにきてまだ、アンドリューに関して驚くことになるなんて! しかもボニーからアンドリューは、正式に婚約する前に、婚約持参金をせしめていたなんて……。なんともヒドイ話だ。


「怒った伯爵は娘に、失った婚約持参金を自分で稼いで返せ!となったそうです。ただ、伯爵家の令嬢が働いているとはバレたくない。そこで街はずれのあの休憩所で、変装をしてあの女性は働いていたそうです。そこでクラウス様とセシル様を見つけたと」


「なるほど。そこで私達の様子を見て、彼女の中で妬む気持ちがわいたのかな? なんとか復讐をしたいと思い、セシル嬢の屋敷を見張るようになったのか。その頃からもしかすると、短剣は持ち歩いていたのかもしれないね。そして今日、舞踏会へ向かうと分かり、後つけた。そんな感じかな?」


クラウスの推理にジョセフは深く頷き「クラウス様の想像通りです。女性もそのように証言していました」と答える。


ボニーはヒロインなのに……。復讐など考えず、地道に両親へお金を返し、新たな相手探しをすればよかったのに。


「そのボニーという女性が、さっき救護室に運ばれてきたようだけど?」


クラウスが問うと、すぐにジョセフが答える。


「当然の結果と思いますが、鼻の骨が折れていましたので、応急措置のために救護室へ運ばれました。国王陛下主催の舞踏会に短剣を持ち込み、なおかつそれを使用し、傷害未遂事件をおこしたということで、コートニー監獄へそのまま収監されるそうです」


コートニー監獄は、主に貴族の犯罪者が収監される監獄だが、そこは既に刑が確定された罪人がいられる場所。裁判も経ずにいきなりここに収監には、驚いてしまう。


「それはまた随分、性急だね。裁判は獄中で受けるということなのか?」


「そのようです。……警備責任者は国王陛下の近衛騎士の副団長でしたので、すぐに報告が上にあがりまして。クラウス様が同伴していた女性が狙われた……という点が、かなり配慮されたのかと」


ジョセフの報告にクラウスの表情が緩んだ。

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