表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/102

29:もう一度会えたら……

指輪だった。


オープンリングのこの指輪は、リング部分がつながっていないので、サイズ調整が可能な指輪。そしてその指輪には、あのマーブル模様を描く紫色の宝石が飾られている。しかも紫色の発色が、私が今、ペンダントとして着けている物より格段にいい。つまり、とても美しい。


「この鉱石はアイス皇国のネーロイ河という場所でわたしが見つけました。……わたしは領地視察ということで、国内のあちこちを旅することが多かったのです。でもどうもこの河の周辺でしか、見つからない鉱石のようですね」


「それは……とても珍しい鉱石ということですよね?」


クラウスは優雅に頷きつつも、少し困った顔になる。


「珍しいのですが、宝石として認知されているわけではないもの。ただ、わたし自身が気に入っていたので、この指輪を用意していました。でも良かったです。セシル嬢がこの鉱石を気に入ってくださっていて」


「そうですね。ウッド王国では見かけないですし、私にとっては宝石も同然です。それにアイス皇国でもそのネーロイ河でしか見つからないのなら、とても価値あるものに思えます。宝石として認知されるようになれば、価値もつくかもしれません」


真剣にそう言う私を、クラウスは嬉しそうに見ている。


「分かりました。皇帝に進言してみますよ」


「ぜひそうしてみてください。……でも領地視察であちこち行けるのは楽しそうですね」


「ええ。宮殿にいると皇妃がわたしに何か仕掛けることを父君……皇帝も気が付いていたので、領地視察に向かわせてくれたのですが、いい勉強になりました」


……! あまりにも沢山エピソードを聞いてしまったが、本当にクラウスは……皇妃により苦労させられていると思ってしまう。


でもそれでへこたれることなく、自身を向上させることにつなげているのは……すごいなぁと思ってしまった。


「話が脱線してしまいましたが、セシル嬢、この指輪を受け取っていただけますか?」


そこで紫の宝石……鉱石にばかり注目してしまったが、そう、指輪。紫の鉱石を気に入っているからこの指輪を用意したとクラウスは言っていた。


わざわざ用意していた……ということは、渡したい人がいるということでは?


「あ、あの、クラウス様。わざわざ用意されていたのですよね? それを私にプレゼントしていいのですか?」


「そう言われるのを待っていました」


そこでクラウスは浅紫色の瞳を細める。


「本当は、あなたが元婚約者にさらわれた日。屋敷へお邪魔し、伝えるつもりでした。でも突発的な事件が起き、それもできなかった。でも今日という絶好の機会を得ることができました」


そこで大きく一つ深呼吸したクラウスは、私を見ると……。


「セシル嬢。あの夏の日からずっと。わたしの心の中に、あなたがいました。もう一度会えたらと、ずっと思っていたのです」


……!

私は……この紫の鉱石を確かに大切にしていた。

ただ、贈り主がまったく不明だったので、もう一度会いたいという気持ちはあったものの、今のクラウスほど切実に再会を願っていたわけではない。


だからこんなに真摯に言われると、申し訳なくなってしまう。


「でもわたしは自由なようで、自由ではない身でした。ウッド王国に王太子さまの婚約者として妹が向かってからは。私と妹が会うことを良しとしない皇妃により、この国へ足を運ぶことができませんでした」


なるほど……! 実の妹に会う機会まで奪うなんて。皇妃は本当にヒドイ。


「でも今回、こうしてウッド王国に来ることが出来ました。指輪を用意して、胸を高鳴らせていたのですが、成長したセシル嬢を見つけられるのか。名前も知らないのに、探し出せるか。賭けでした。でもジョセフとトニーも協力してくれて、ラングフォード家の舞踏会のことを教えてくれました」


そうか。子供の頃の私の姿はバッチリ見ていたけれど、成長した私の姿は……当然よね。分からない。名前も知らなかった。


「ラングフォード家の舞踏会は、その日行われていた舞踏会の中で、一番規模が大きいことを、ジョセフが突き止めてくれていました。そこになら多くの令嬢が集まる。この舞踏会にあなたがいないか、探し出すことにしたのです。子供だったあなたがどのように成長したのか、それを想像して、あなたを探しました」


「ブラームス伯爵家に預けられていたという情報は、知らなかったのですか?」


クラウスは「知りませんでした」と答え、さらに続ける。


「実はエドワード王太子様には、あなたを探していることを打ち明けていました。彼とは妹のおかげで、会ってすぐに打ち解けることができました。そして彼は、子供の頃の私がどこに軟禁されていたのか、探ろうとしてくれたのですが……」


そこで残念そうな顔で結果を口にする。


「もう情報が破棄されていたようで、見つかりませんでした」


その状態で私を探し出すなんて……クラウス自身が言っていたが、本当に、賭け、だったと思う。


「でもあなたが紫のその鉱石の髪飾りをつけてくださっていたので、すぐに見つけることができました。珍しい鉱石なので、あなたがあの夏の日の少女であるに違いないと思えました。それでも人違いであると困ります。そこでまず確認をすることにしました」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●シリーズ第一弾●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』もぜひお楽しみください☆

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ