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完結●断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【本編】

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29/102

28:見惚れてしまう

クラウスは、最初から森の中のランチを考えていたようだ。


用意されていたバスケットにはパン、干し肉、ジャム、果物などが入っていた。それを手に、私をエスコートしながら森の中を進んだ。


パン屋はもうその香りですぐに見つかり、その周辺には驚くほどの沢山の人がいた。なんとか手に入れることができたのは、丸い形のハードパン。あと20分待てば焼き上がるパンがあるということで、それを待っている人もいたが、私達はパンを持参していた。


ゆえに丸いパン一つを手に入れ、そのまま森の中へと向かう。ジョセフとトニーは距離をあけ、後ろをついて来てくれている。


森の中は木こりにより伐採された木もあるが、老木で健康なものはそのまま残されていた。河へ続く道は、皆が踏みならすことで自然と出来上がっている。だが私は老木を目印に、クラウスを別の場所へ案内する。


「クラウス様。こちらへ行きましょう」


そして連れて行った場所には、青紫色の花が沢山咲いている。


「これは……コーンフラワーですね?」


「はい。ありきたりなよく見かける花ですが、こうやって沢山咲いていると、見応えがあります」


「本当ですね。花畑なのに、この青紫は……。まるで……小さな湖のようです」


クラウスが嬉しそうに花を眺めていた。

その姿はとても絵になる。

ついまた推しグッズを頭の中で妄想しそうになるが、それは押しとどめた。

代わりに私は、クラウスの素敵な姿をもっと見たいと思い、お気に入りの場所へと次々と案内する。


濃い紫のブルーマロウの花が咲くエリア、子供が入れるぐらいの大きな樹洞がある木、ブラックベリーが実っている場所では、みんなでその酸っぱい味を楽しんだ。


こうして森のあちこちに行きながら、河まで続く道へ戻り、そのまま進んでいく。


「水音が聞こえてきましたね」


そう言って耳を澄ますクラウスの横顔は、本当に美しい。木漏れ日が当たるアイスシルバーの髪は、キラキラと輝いている。さらに歩く度にサラサラの髪が揺れる様も、実に秀麗。本当に貴公子と見惚れてしまう。


あー。いい。写真を……。


「!」


見惚れている私を、不意にクラウスが見た。ギクッと、まるでいけないことをしているのを見られたかのように、慌ててしまう。


「えっ」


クラウスがエスコートしていた手をゆっくりはなし、私の顔の方へ手を伸ばすので、今度はビックリで固まると。


「小さな葉がついていました。ブラックベリーの実をとる時に、ついたのかもしれませんね」


あああ、そう言うことですね。

驚いていた心臓は、すぐ落ち着いてくれる。


その後は順調に河へ到着した。


少し離れた場所で、貴族の子供三人が、メイドや従者と共に昼食をとっている。私達と同じ、茶色の紙袋を持っていることから、あの森のパン屋で購入したパンを食べているのだろうと想像がつく。


「セシル嬢、わたし達もここでお昼にしましょうか?」

「そうですね」


クラウスはバスケットから布を取り出し、それを下草が生えた木の根元に広げる。木の下なので、強い夏の陽射しは遮られていた。さらに前方に目を向ければ、涼し気な河の流れが見えている。


水面に当たる陽射しで、河はキラキラしていた。


クラウスは購入したパンを四等分すると、持参したバターナイフを使い、マスタードを塗り、干し肉をサンドし、あっという間にサンドイッチを作ってくれた。さらに果物も短剣を使い、綺麗に切り分けてくれる。


その手際の良さ、そういった作業さえ、洗練されて見えることに驚いていると。


「子供の頃、皇妃から『お前は皇帝になることはない。せいぜい戦があった際、役に立つよう、騎士としての訓練でも受けるがいい』と命じられました。おかげで騎士の訓練は一通り受けています。森の中でまるでサバイバルをするような訓練もありましたから。自炊もちゃんとできます」


皇妃は……。本当にヒドイことを言うと思う。

でもおかげでクラウスは、他の皇子ができないことを沢山できるに違いない。


「もう冷えていませんが、レモネードもあります」


準備が整うのと、クラウスは少し離れた場所にいるジョセフとトニーを呼んだ。


「ここは人間より、野生の動物を警戒する必要あると思う。だから二人とも、食事の間は一緒にいよう」


つまり、一緒に昼食をとろうと声をかけたわけだ。

優しいな、クラウスは。

御者に扮した騎士にも昼食を渡してから森へ入っているし。


こうして四人で昼食をとった。


食事を終えるとジョセフとトニーは「クラウス様、ご馳走様です。野生動物がいないか、警戒をします」そう言って二人は立ち上がる。


クラウスと私は二人を見送り、後片付けをして、残っていたレモネードを飲みながら、河を眺めていた。


日陰で風も丁度よく吹いており、気持ちいい。


「セシル嬢」

「はい」


視線を河からクラウスに向けると、浅紫色の瞳と目があった。

その瞳は木陰の下にいるのに、澄んで輝いて見える。


「今日もその鉱石をつけてくれているのですね」

「あ、はい。もう毎日のように身に着けています」

「……でも毎日身に着けるなら、これはいかがですか?」


そう言ったクラウスが、シャツのポケットから優雅な動作で取り出した物は……。

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