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また明日  作者: 蛍華 美句
2/2

~世界の正体~

「あうっ!」


男の子は真っ直ぐ向こう側を指さしてた。





第2話 世界の正体


「あ…あっち?」

私は男の子と同じ方向を指さす。


「あう!」


「わっ!」


男の子は笑ったあと、私の手を引っ張って

指した方向を歩き出した。

私は転びそうになったが、なんとか体勢を立て直し、

歩くことが出来た。


「どこに行こうとしてるの…?」


男の子に聞くと、向こう側を向いたまま、


「あうっ!」


と答えてくれた。

でも正直、分からなかった。

とりあえず、連れてってもらおうかな。

そういえば、この子全く迷ってないな。

結構前からいるのかな…?

でも、そしたらお腹減っちゃうと思うし…

考えれば考えるほど分からなくなってくる…

本当になんだろう…?


「…君はどこからきたの?」


「ん?」


「その、ここに来る前にどこにいたの?」


「あう!」


うーん…やっぱ分からないな…

どうしよう…帰れるのかな…?

そんなことを思っていたら


「あうっ!」


また、指を指していた。

今度は……!?

すっごく、すっごく遠くに青い屋根の建物があった。


「えっ…!」


嬉しかった。この世界にも、建物があるんだ。


「あの建物に…案内してくれたの?」


「あうっ!」


「すごい嬉しい…ありがとう!じゃあ一緒に行こう?」


「うん!」


私たちは手を繋いでゆっくり歩いていった。




建物に着く間、私たちは歩きながら話していた。

と言っても、男の子は受け答えしかできないから、

質問したりしていたんだけどね。

それでも、すっごく楽しかった。


「そういえば、君のお名前はなに?」


「あう!」


やっぱ分からないな…


「分からないな…あっそうだ、今から名前を私が

当ててみるから、違うか合ってるかって言うのを

教えて欲しいの、いい?」


「あうっ!」


この子は言葉を発することは出来ないけど、はいかいいえなら私もなんとなくわかるから、質問することにした。

はいが「うん!」いいえが首を振って「あうっ!」なんだ。


「うーん…なんだろうな…」


「あうっ!」


首を振った。


「あ、今名前を言おうとしたんじゃないよ

これかなーって考えてたの、だからごめん

今のは違うかな。」


「ん!」


声に出しちゃうとそうだと勘違いしちゃうから…

この時は名前以外言わないようにしよう…

んーとじゃあ…


「そうくん?」


「あうっ!」


首を振った


「はるくん?」


「あうっ!」


首を振った。


「こうたくん?」


「あうっ!」


首を振った。


んーそうか…みんな違うのか…

なんだろうな…?私も女子だから、

男の子の名前でよくあるものなんて、あまり知らない。

なんだろうな…うーん…


あっ…これかな?


「…れんくん?」


…なんか、しっくりくる。

勘でしかないけど、そんな気がした。

なんか、聞いたことあるような気がしたから。


「…あうっ!」


首を振った。


なあ〜〜〜!違うか。なんだろうな~ほんとに。

まったく検討がつかないよ…

考えていた時、


?「けいちゃん、おかえり」


優しい声が聞こえた。


…?誰だろう…?


「あっ!」


男の子が私の手を離して、優しい声がする方へ

行ってしまった。知ってる人なのかな。


?「よくここまでこれたね。お疲れ様。」


誰なのか気になって、顔を見上げる。

そこに居たのは、美人なポニーテールの女の子だった。

目が綺麗な子。


「あ…あの、こんにちは…」


?「…こんにちは」


あれ…?さっきより冷たい声…

気のせいかな…?


「よかったです。この子を知ってる人がいて。

迷子なのかなと思っちゃって」


?「迷子…?迷子なんかじゃないわよ

今日あなたが来ることを知って、迎えに行っていたのよ」


「え…?どういうことですか…?」


?「…ここはね、死後の世界なのよ」


「えええええええええ!?」


「し、死後の世界ってあの"死後"の!?

わ、私いつ死んだんですか!?」


?「知らないわよ…私たちが知っているのは、

今日あなたが死んでしまって、ここに来ることしか

知らないわ」


「え…夢じゃないんですか!?」


?「そんなにぎもんに思うなら、ほっぺでもつねって見な

さいよ」


私は自分のほっぺをつねってみた。


「いだだだだだだ」


?「ちょ…そんなに強くやらなくてもいいのに…」


「思ったより痛かったです…( ´・ω・`)」


?「そりゃあそうよね…」


「…とりあえず、納得できた気がします…

その、私はこれからどうすればいいんですか?

あと、あなた達のお名前ってなんですか?」


私はぎもんに思っていること全てを言ってみた。


?「そうね、言っていなかったわね。

私はゆず。そしてあなたを迎えに言ったのがけいちゃ

んよ」


ゆず…けいちゃん…なるほど。

ゆずは8~9歳っぽいのに…しっかりしてるなぁ…


ゆず「で、あなたにこれからしてもらうこと…そうね、

あなた、自分の名前は?」


「私の…名前…?」


ゆず「…やっぱそうよね…あなた、自分の名前を思い出せな

いでしょ?気にすることではないのだけれど、

大抵みんな自分の名前を忘れてしまうの。

自力で思い出す人もいるけどね。」


「じゃあ…どうすれば…?」


ゆず「名前を新たに付けてもらう場所があるの。

居場所の森って言うのだけれど。そこに行って

名前を新たに付けてもらって。帰ってきたら、

また新たにやることを言うわ。あ、そうだ

付けてもらうにはこの推薦状を渡さなきゃ行けない

の。裏に地図が書いてあるから、参考にしてちょう

だい。」


ゆずから推薦状を受け取った。

よく分からないとこもあるけど、とりあえず居場所の森に

行けばいいってことだよね。


「わかりました!ありがとうございます!

それではまた明日!」


私は地図の通りに進んで行った。


ゆず「…?

不思議な子ね。この世界に明日なんてないはずなの

に…」




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