~真っ白な世界~
「うん…じゃあまた明日ね」
まばゆい光に向かって手を振った。
遠い記憶。頭の片隅にうっすら輝いていた。
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「ん…」
目が覚めたら知らないところにいた。
なにもかもが真っ白な世界だった。
床も真っ白で、冷たくも、温かくもない。
空は少し霞がかってる。それでも真っ白だった。
そんな光景がずっと続いていた。
「ここ…どこだろう」
辺り一面真っ白な世界なんて、見たことない。
いつからここにいたんだろう。
そしてここはどんな所なんだろう。
しばらく考えてみたけれど、全く分からなかった。
というか、頭が上手く回らなかった。
寝ぼけているせいなのだろうか。
「ひとまず、歩こうかな」
きっと、ここに座っているだけではなにも分からない。
そう思った私は、ここを探索することにした。
本当に真っ白だな。
大して歩いていないけど、相変わらず真っ白だ。
どこを見ても、ずっと真っ白。
殺風景すぎて、自分が真っ直ぐ歩いているのか
分からなくなってくる。
それに、足がふわってしているような感覚がある。
夢でもみているのかな。そんな感じがした。
それでも、歩いている感覚はあった。
自分の勘を頼りに、真っ直ぐに歩いていった。
どのくらい歩いたんだろう…
もはや今自分が本当に歩いているのかという錯覚まで
陥ってしまいはじめたけれど、結構な時間歩いてきた気がする
まあ、結構歩いたってこの世界はなにも変わらないけど。
「夢にしては長い夢だな…」
独り言を呟きながら歩いていた
ループする夢でも見てんのかなと思った時
「あっ!」
すごく、とっっっっってもすごく遠くに
なにかいた気がする。正直、
目を凝らさないとよく見えないけど。
遠いけど、それでも光だ。
人間じゃなくてもいい、なにかが居てくれるだけで
気が変わりそうだから。
私は全速力で走った。
小4になりたての私の足じゃ、到底追いつけないけど。
でも、謎に息が切れたり疲れることはなかった。
数十分くらいでようやくついた。
そこに居たのは…
小さい男の子だった
「こ…こんにちは!あの、ここがどこだかわかる?」
「あう?」
そりゃそうだよね。こんな小さな子に聞いても
困っちゃうだけか。ざっと2~3歳の子だもん。
うーん…どうしよう。
でもこんな小さな男の子がこんなところにいるのも
だいぶ不思議。
それに妙に落ち着いてるし。
そう悩んでるときだった。
「あっ!」
男の子がなにかハッとした顔をして
「あうっ!」
急に向こう側に走り出した。
「あっちょっと」
急に走ってどこいったんだろう…
ってかあの子がどこかに行ったらまずい!
早く追いかけないと!
「ま…まって!」
私はあの子を追いかけてった。
あの子は先に言ってしまったけど、2~3歳の子にはさすがに
追いつける。案の定、すぐに追いつけた。
「捕まえたっ!」
私は男の子の手を掴んだ。
男の子はびっくりしてこっちを振り向き、止まった。
びっくりはしているけど、泣きはしなかった。
ずいぶん落ち着いてる子なんだな。
「急に掴んでごめんね…?そ、その
君がどこかに行って迷子になったら大変だから、
わ…私と一緒に歩こ?」
男の子の手を握る腕が震える。
きっと、年下の扱いに慣れてないからなのかな。
それとは裏腹に、男の子は落ち着いていて、
なんとなく理解した顔をみせて、
「うん!」
と笑ってくれた。
よかったぁ。怖がってなかった。
男の子は私の手を握り返してきた。
可愛いな。小さい子って。
扱いには未だに慣れないけど…笑
癒されていると、手を引っ張ってきて
「あうっ!」
真っ直ぐ、向こう側を指さした。