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6、 その頃、本当の勇者一行は…①

6、 その頃、本当の勇者一行は…①



「くそッ…この森、モンスターだらけでなかなか進めねえ!」


「そうですね…私たちも疲労が溜まってきましたし…」


オレの名前はシン・クロイロード。高貴な勇者である。

オレのクローンである偽物勇者を捨てた後、オレらSSSギルドパーティーは夜の西の森林でさまよっていた。

なかなか出口にはたどり着けずにいたのである。


「あの時、防御役(タンク)としてのクローンを捨てたのは惜しかったよな〜…やっぱり」


「いやいや、勇者様がいらないからって追い出したのが始まりでしょうが! オレらは知らんですよ!」


「そうだっけか? まあ、今更あのゴミのことなんかどうでもいいけどな」


「そうですよ! 使えないし、足手まといのアイツなんて追い出して正解でしたよ。 なにせせいせいしましたし」


戦士(ファイター)のマキシと魔法使い(ウィザード)のマリアはあの結果で満足しているらしい。

だが、錬金術師(アルケミスト)のケビンは何か怖がっているような、他の2人とは違った反応を見せた。


「どうした。 ケビン。 なんで震えながら歩いているんだ?」


「どうしてって…クローン人間を勝手に作って他の人にバレたらって思うと…恐ろしくて」


「大丈夫だよ。 ケビン、何をそんなに怖がる必要があるんだよ。 どうせ、アイツもこの森のどこかで迷って、のたれ死んでいるはず…」


「それだけじゃないんです…なぜクローン人間を作ることが禁忌と呼ばれているのか、勇者様はご存知ですか?」


「なぜって、多分、兵器として作り出せちゃうからか?」


「それもそうですが、一番恐ろしいのは奴ら、クローン人間は人間らしい感情と知性を得ていることなんです。 それらで本当の人間や本人の生活や人生を狂わせるほどに反旗をひるがえすことだってあるんです」


「そうか…まあ、だからなんだって言うんだろうな。 オレらは最強のSSS級ギルドだぜ! そう簡単にはあのゴミクローンの思いどうりにはならんだろう!」


「ハハハハハッ!! 全く、そのとうりでありますな!!」


勇者のオレに対し、戦士のマキシが相槌を打つ。オレが明るく振舞おうとしているのに、ケビンもこの有様だ。

肩でも叩いて、少しは勇者らしくパーティーの士気を高めなければな。


「なんだあ〜? オレ様のせっかくのお前に対する心配を無下にするつもりか? 全くひどいやつだな〜ケビンは」


「いえ…すみません。 勇者様」


立派な勇者であるオレはケビンを元気付け、この森林の深部である出口に向かって再び歩き始めるのであった。

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