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第六話 赤ずきん

 むかしむかし、あるところに可愛い女の子がおりました。

 お誕生日にお母さんが作ってくれた赤いフード付きのマントがそれはそれはよく似合っていたので、周りのひとたちは女の子を赤ずきんちゃんと呼んでおりました。


 ある日、お母さんが言いました。

「赤ずきん。森に住んでいるおばあさんがご病気なの。お見舞いに行っておくれ」

「解ったわ。おかあさん」

 大好きなおばあさんの為に、赤ずきんちゃんはバスケットにお見舞いのお料理をつめて出かけます。

 お天気の良い日でした。

 森の中には、綺麗な花が咲いています。

 あそこでお昼寝したら気持ちいいだろうな。だめだめ。おばあさんのお見舞いが先よ。おかあさんが言っていたわ。寄り道はしちゃいけないって。

 そんなことを考えながら赤ずきんちゃんが歩いていると、目の前にいきなり狼が現れました。

「きゃぁぁぁぁ!」

 赤ずきんちゃんは悲鳴を上げると、いちもくさんに逃げだしました。


 って、ちょっとちょっと。

 赤ずきんちゃん。そんな普通の反応をしないでよ。話が続かないでしょ?

 赤ずきんちゃんは、息を整えながら虚空に語りかけます。

「だって、狼を見たら逃げろっておかあさんが言っていたわ」

 でも、ほら。童謡「森のくまさん」でも女の子は「お逃げ」って言われるまでは逃げないでしょ?

「そうね」

 と、赤ずきんちゃんは考えます。

「私が狼さんの話を聞いて――お見舞いのお花を摘みにいって、その間に狼さんがおばあさんを食べちゃって、その上おばあさんに化けて私が来るのを待っていて、最後に私まで食べられたり、『教訓:おかあさんの言うことは聞きましょう』とか書かれたりしないなら、狼さんの話を聞いてもいいけど」

 うっ。

 そんな、原作のままにはしませんわよ。ほほほほほ。

「狼がおばあさんに化けたけど、全然化けられてなくて私が「こんなおばあさんいるかい」ってつっこんで、『教訓:子供をあまりバカにするな』っていう内容なら戻ってあげてもいいけど?」

 作者の負け。

 ネタを主人公にばらされたからには、幕を引くしかありません。

 というわけで、


                                第六話 おしまい

教訓「負けました。認めます」


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