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DNAジャパニーズ  作者: violet
21/22

閉会

「イーシャンでも、二条、ドートリッシュ共に知らない事だ。

外宇宙には行くだろう、人類が移住開拓するのに適した惑星を探さねばならない。

それは誰でも思っている事だ、それをこれは利用したんだろう。」

まるで詐欺だな、と言わんばかりのリーライである。

「問題はどうしてこれをハオラン・イーシャンが持っているかだ。

一見した限りだが、通常投資家では知りえない情報まであるようだ。

まるで創設者の情報のように見える。」

その言葉でハオランは悟った、はめられたのだと。

イーシャンに生まれて教育を受けたのだ、愚鈍なはずがない。だからこそ、トップを狙った。


ハオラン、お前が美鈴の情報をストップさせていた。

私と美鈴の回線を切断したのもお前だ、美鈴は私から連絡がないと絶望したのだ、子供の事を連絡をしたのに。

お前は自身の妻の妹を私に娶らせたかった、その為にランは死んだのだ、美鈴の腹の中で。

美鈴は私に連絡が取れない事で心身に異常をきたしたのだ、流産してどれほどつらかったろう。

美鈴の連絡がない不審に気づくのが遅れた私の落ち度だ、お前を許せない、そして自分自身も許せない。


チェンミー・イーシャン、お前がユージンに毒を盛った事はわかっている。

お前達が私の後継に自分の子供を就けるつもりだった事も。

ユージンが現れて算段が狂ったようだが、元々お前達のバカな息子に務まるはずがない。

やっと私の姉弟を一掃できる。

父がお前達につけていたガードは手強かった、これを外すのに何年もかけた。


このファンドの特徴は宇宙開発という未知の分野、ハイリスクハイリターンである事と投資最低金額が巨額である事だ。

普通、この額をファンドで募集したりしない、異質である。

最低金額が大きいというのは、抵抗があるが詐欺の可能性が低く思うものだ。

この規模の詐欺で名前を使われた側が長く気が付かないというのはあり得ないからだ。

特に企業側はイメージ低下をおそれ、こういう情報には敏感で常に探りをいれている。

私が作り、彼等が協力した、否定をしないということで。


そしてファンドの何よりの特徴はウィルスを潜ませてあることだ。


詐欺のファンドにかかり大金を騙し取られたと大騒ぎするだろう、本質は違うものだ。

ファンドに投資したつもりが、全ての金融データを探られ書き替えられる。

投資したつもりの何倍何十倍もの金額が第3セクターの別の金融機関に振り込まれる。

決行日は今日だ、全てが今日の為に作られている。

不動産情報も証券も全ての金融資産が名義変更され、この世にはいない行方不明人物に書きかえられる。

本人は行方不明だが代行組織はある、決済日も今日だ、すでに売却に入っている。

そして、ハオラン、チェンミーお前達が私の名を騙ったことになる。

ドートリッシュでも潰したい奴がいるらしい、ニコライの父親が噛んできた。

どこも出来の悪い身内がいるらしい。


このファンドは金が目的はない、海に捨てたっていいんだ、すでに処分に入っている。

絶対に資産を取り戻せない、それのみが目的のファンドだ。



「私の決済承認があるな、だが違う、偽造だ。

だが、私の決済承認を知っている者しかこれは作れまい。」

「違う、私じゃない、チェンミーも父からイーシャンの決済承認を受け継いでいるはずだ。」

ハオランが真っ青になり立ち上がる。

「私だって知らない。イーシャンの決済承認は代々直系のみの継承だからハオランよ。」

家督にかかわる事態の承認として決済承認を使う。それは事業で必要なものでなく、イーシャンの直系だけが父から譲り受けイーシャンにもしもの時に使うのだ。過去に使われた事はなく、存在を知る者も少ない。

二人を疑わせる為にリーライは残したのだ。

「株主の皆さんに説明します。

ハオランの出した背任(はいにん)の証拠というものに私の決済承認に似たものがあったのです。

決済承認とは昔の印をデジタル化したものと言ってみると分かりやすいでしょう。

ただし、これは私的なものでイーシャンの家で継いでいき、限られた者しか知らないのです。」


株主総会はお家騒動の場となり、リーライの背任の証拠として出したものが、ハオランの首を絞め始めた。

公の場での疑惑、しかも兄を(おとし)め乗っ取りを計り、詐欺で集めた金は前代未聞の金額になっている。

どこからみても、ハオランが兄を失脚させる為に兄の名を使った投資話であおり、投資額も手に入れるというように見える。


金融機関に振り込まれたのは表面に出ている以上の数字であるが、それを知るのは本人達のみとなる。

あのウィルスは10年をかけて開発した増殖型だ。

投資データを開けた時に動き始める、最初は小さなバグ、セキュリティに捕まるほどではない。

それが増殖を開始し、全ての金融資産に入っていく。

投資の振り込み先とは別の第3セクターの金融機関に全てが振り込まれて初めて気がつくのだ。

それらは正当な手続きを得て売買譲渡の形になっている。

証券、不動産などは行方不明者から売却金額が振り込まれているが、すぐに別の第3セクターの金融機関に移されて振り込みを受け取ったという記録だけが残り、金は残らない。

資産の移転譲渡が終了すると、今頃ウィルスは痕跡も残さず消滅しているはずだ。

ファンドとの関連性は消える、だが今日という日が決行日で関連の疑いは消せない。


お前達が美鈴で得た金だ、たくさんの日本人を売ったろう、その金だ。

全てを無くすがいい、生きるのが辛い生活が待っているよ。

お前達が奪った者の苦しみの万分の一にもならないが、これは始まりだ。

金が無くなったお前達には様々な報復がされるだろう。

金の為に、かしづいていた者達のな。

金という権力の無くなった者達が、これから指示することはできまい、今まであった犯罪ルートは壊滅となる。



「ハオラン・イーシャン、チェンミー・イーシャン、両名をイーシャンの知名度につけこんで、詐欺に使い多大な損害をかけたことで、全ての役職を解任したい。」

「違う、そんな事していない。」

ハオランとチェンミーが声を上げるが、他の株主にとって利益が大事だ。

疑惑のある両名を残すことはイーシャン自体が疑惑になる。

過半数を越える採決となり、ハオラン、チェンミーは全ての取締役、役職を解任となった。

株主総会は様々な疑惑を浮上させたまま閉会となった。



第3セクターの金融機関は既に撤退を開始している。

届け出は、ハオラン・イーシャン、チェンミー・イーシャン。

他にも二人の痕跡とわかるように、隠した振りで残してある。

二人はイーシャンの一族だ、証拠を残すような事はしない。なら証拠を作ればいいのだ、別の犯罪の。

14年かけた細工だ、必ず二人に繋がるようにできている。

たかが詐欺だが、宇宙開発をするほどの額だ、どれ程の罪になるかな。


罪が必要なのではない、資産を失ったという絶望が必要なんだ。


詐欺で振り込まれた金はどこかに消える。

イーシャンと二条、ドートリッシュも名を騙られた被害者となるから罪状が増える。

金を取られた人間は執拗に二人に金の在りかを追求するだろう。

イーシャンにも来るだろう。

だが今のイーシャンを無くすことは各国には出来ない、自国に汎用型ワープシステムの設置が遅れる事になるから。イーシャンと多くの空港が建設の為の契約を結んでいる、それは資金であり、管制システムであるからだ。


お前達は無実というだろうが、私の子供達に罪を犯している。

ランはいない、美鈴もいない、ユージンと沙羅を守る為にならなんでもするさ。

私に残された全てだからね。



鷹司も二条もわかっていながら、やれなかった。

それは犯罪だからだ。

会社が潰れる可能性がなんだというんだ。

全く日本人ってヤツは、真面目すぎる。

だから美鈴、真面目で弱いのに跳ねっ返りで可愛い君に夢中になった。



魂を金に売った者達には、命を取るよりも金を取る方法もあるのだ、報復はダメージの大きい方を選ぶ。

死ぬよりも辛い思いをさせることを復讐という。



イーシャンの株主総会は世界に発信され、ファンドの詐欺が世界中に知れわたる。

どんな詐欺の被害者にも被害額が戻る事などない。

額の大きさから、総会が終了前にトップニュースとなって流れ、衝撃を与えた。

ファンドは世界各地にいるターゲットを一網打尽にできたが、逃れた小魚もいるだろう。

今回逃れた者たちも、共通点を気づいた者は次は自分の番だと脅えて生きるがいい。



世代が変われば考えも変わっていく。

美鈴を誘拐し殺害した実行犯はリーライが始末した。

そして、上部組織もリーライが投資ファンドという形で潰した。

だが、犯罪の実行犯や血の供給を受けた者達は残っている。

ユージンや冬斗、倫太郎達が爪を()いでいる、決して逃がしはしない。

それが犯罪だとわかっていても、躊躇(ためら)わないだろう。

隠密に処理する為に時間がかかるだけだ。

リーライが14年も時間をかけたように。

ユージンも冬斗も倫太郎も時間はたっぷりある、彼らと共倒れなどになるつもりはない。

必ず勝つ道を準備する、ゆっくりと時間をかけて。






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