4話 逢魔ガ時
グロテスクな表現があります。
苦手な方は読み飛ばしてください。
ちょっと手直ししました。
この僕たちが今いるエリアは実は出入口が一つしかない。
そして、足音もまたそちらから聞こえている。
ということは正面衝突は免れない。
しかも、かなり近くまで迫っているようだ。
両刃の大剣の柄を持つ手に力が入る。
皆も緊張した顔つきで通路の奥の暗闇を睨みつける。
......
最初に出てきたのは蜘蛛のようなモノであった。
しかし、腕は凶悪に肥大し、先には鋭い爪の生え、甲殻は黒光りし、口から垂れる唾液は落ちる度、ジュゥという音を立てて消えていく。
それは蜘蛛に似ても似つかない怪物であった。
次に現れたのは炎を纏う狼であった。
その次は人ほどの長さの鎌を持つ蟷螂が現れ、更には浮遊する長剣まで現れた。
何れも目が血走り僕たちを捕食せん、とこちらを見ながらにじり寄ってきている。
「じゃあ行きましょうか。......いいですか?」
「はい」「いいよ」「ああ」
僕たちはバラバラになりそのモンスターたちにとびかかる。
震えそうになる脚に気合を入れて踏み込む。
目の前の凶悪に立ち向かうために。
しかし彼らは知らなかった。
それが最悪且つ最適の行動だということを。
.........そして蹂躙の時が始まる。
◇◇◇
真っ先に殺されたのは最前列、影月宮だった。
死因は動く剣......生ある剣というのが正解か?
其れの一突きだった。
即死だった。心臓を貫かれたのだから仕方もない。
......その貌は驚きで満たされていた。
次に殺されたのは早河だ。
僕が大剣で受け止めた蜘蛛型モンスターの隣を抜けていった蟷螂型モンスターにやられたのだ。
そして、思わず振り返ると目に映ったのは鎌を振るモンスターとそれによって手足すべてを一気に斬り取られ、斬り口から激しく血を吹き出す早河の姿だった。
彼女は悔恨を一瞬滲ませたが、こちらが見ているのに気づき哀しく微笑んで果てていった。
死に顔は蒼白かった。
3番目は釘沢だった。
彼女は狼型モンスターに徐々に皮膚を焼かれ、もうすでに筋肉の層まで炎に焼かれていたのだが、後ろを振り返ってしまったことによって首を齧り取られてしまった。
首のなくなった躰は糸が切れたように倒れこみ、ごとりと落ちた頭は空虚な瞳でこちらを見ていた。
......その奥から助けを求められていた気がした。
僕はというとまず蜘蛛の体当たりを食らい壁際まで吹っ飛んだ後、麻痺毒入りの蜘蛛の糸に絡め捕られ壁に貼りつかされた状態でその惨劇を見ていた。
平然と見ていたわけではない。
涙と汗と胃酸をとめどなく出しながら、硬直する躰に抗い抜け出そうとしていた。
僕を拘束したあいつはそのまま上へ上がり、僕の様子を見ながら「ケケッ」と鳴いていた。
その様は嘲笑っているようだった。
そして他の奴らが彼女たちの命を狩り終えた後、奴は真っ先に僕の目を貫いた。
次に耳を齧り取られた。次は鼻を、その次に喉を。
そして最終的には腹に喰い付かれ、何かを流し込まれた。
きっと毒であろう。
僕の意識はどんどんと闇へ沈んでいく。
あとどのくらいかかるのだろうか。
思えば何もない生だった。
それは意味なく始まり、意味なく終えた。
なぜ僕がこんな目に合わなければならなかったんだ。
本当は死にたくなかったし、今も死にたくない。
嫌だ。
とても。
だカラ疑問にオもうノダ。
ナゼ僕ガ、僕ラダケガコンナメニト。
ナゼダト思考エテモシカタガナイ
ソンナコトハ解ッテイル
タダ赦セナイノダ
ボクヲ踏ミ躙ッタ葦原モ、ソレヲ傍観シテイタダケノ生徒達モ、保護ヲモトメテモ黙秘シタセカイモ
ソシテソレヲ創造シタ屑共モ
赦サナイ、赦シテナルモノカ
......ダカラ
拒絶シテヤル
排除シテヤル
ナニモカモスベテ
無ニ帰シテヤル
ダカラ
チカラヲヨコセェ!
モウナンデモイイノダ!
ドンナモノデモイイ
ダカラボクニ......イヤ、オレニ......!
チカラヲヨコセエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そして俺の命は終幕を迎えた。
落ちていく意識に聞こえないはずの耳に甲高いアナウンス音声が響く。
......《デモモード終了、邪神の予測眼の能力を終了します。》
《セーブ地点へ復帰します――――――――――完了。》




