3話 互いの繋がり
今回説明回のため長いです。
光り輝く魔法陣は好んで読んでいたライトノベルにありがちな転移魔法陣だったようだ。
僕が目を覚ましたのは暗い石の室......ダンジョンというものだろうか?そんなところにいた。
因みに一人ではない。......睡眠状態だが。
僕の周りには僕と同じ......と言われるのも心外だろうが”いじめられっ子”の釘沢 美玖、彼女とは数年前まで行っていた同人誌の販売会でばったり出くわしたことがあり、数少ない「味方」だ。
いつもは黒髪におさげに眼鏡の模範的な地味系女子なのだが、彼女の本来の風貌は違い綺麗なブロンドヘアーと透き通ったコバルトブルーの瞳を持つモデル顔負けの美少女なのだ。ただその見た目をしているので女子からはよく思われず中等部に上がった時ほどからいじめられるようになり、地味な恰好をし始め、無視される程度に収まったのだが、中等部3年の時に葦原に告白され彼女は断ったのだが、その噂はすぐに広まり、いじめが再発し彼女の災難は時が経っても不可逆的に増えていくばかりであった。
......本当に葦原は碌な事をしない。
あとは早河 千梨、彼女はよく男子に交じって話しているのだが、それにはちょっとした理由がある。男好きというわけではない、彼女は生徒・先生問わず学校にいる女にとっての「敵」になってしまったからなのだ。
彼女がそれを話してくれたのは3か月ほど前。僕が教室であの葦原とその取り巻きにボコられ、疲れ果て帰途についた時、ちょうど頬に僕と同じように痣を作った彼女と出くわしてしまった時だった。彼女は事の一切合切を話してくれた。なんでも生徒会に入らないかと言われたのが王子様と名高い高原生徒会副会長だったのだ。彼女にとって彼はただの従兄であったので王子様と呼ばれているのすら知らず、勧誘にそのまま乗ってしまい、なお仲良くしているものだから、嫉妬の対象になってしまったと言っていた。
最後に......影月宮 眞琴。
彼女は謎が多い。
影月宮グループ元社長の娘で、現社長代理らしく、時折学校に来ない日がある。
実はすでに某海外の有名大学を1か月以内に卒業できるほどの頭脳を持っている(らしい)。
ただし、超がつく無口で返答も「ええ」としか言わないようなので不気味がられている。
最後に僕を含んだ4名がここに飛ばされたらしい。
此処まで考えがついたところで釘沢が目を覚ます。
「......ん?ここは?......まさかのダンジョン?それならさっきの女神とか言ってた人の存在も頷けるかな。」
続けて早河と影月宮も目を覚ます。
「うわぁ......なんか取り敢えずイグニッション打ちたい......」
「......中に入ってしまったのかしら?だってこんな封神の祠っぽいところにいるはずがないものね......」
......................。
取り敢えず彼女たちの言っていることはすべて理解できたし、そう思う理由も理解できる。
釘沢は置いとくとしても、早河と影月宮の言っているのは恐らく一部の界隈では有名なオンラインゲーム、「エクゥイラストーリーコード」の話であろう。
「イグニッション」とは魔法使い系の最上位職であるハイマギアが覚える超火力攻撃である。
これを使いこなせないとハイマギアである意味がないといわれるものだった。
僕が運営していた同志の集い......「ギルド」のメンバーでこれをバンバン打ちまくる人がいたのだが、その人の狙いは正確で「炎の悪魔」と呼ばれていた。そして、その人の口癖は「取り敢えずイグニッション打ちたい......」だった。
また、「封神の祠」は一部の、というかうちのギルドしか踏破してない高レベルダンジョンだ。
ここは一寸先の闇からモンスターが出てくるような凶暴なものであったがしかし、それの先にはとても神秘的な滝がありその滝をうちの騎士系最上級職、ガーディアンの人がとても気に入っていた。
その人はいつも冷静沈着で他のプレイヤーに奇襲されてもすぐさま対応しきり「絶壁」と呼ばれ恐れられていた。
......つまり何を言いたいかというと、早河と影月宮はこの二人なのではないかと、いうことだ。
「おはようございます、でもイグニッションはだめです。生き埋めになりますよ?まあまず今打てるかどうかわからないですけどね。あ、あと近くで水の音はしないんで封神の祠ではないと思います。」
ストレートにいってみた。
もし彼女たちがあの二人ならこれで気づいてくれると思うのだが、どうだろう?
結果、彼女たちは大口を開けて放心状態になっていた。
「「もしかして......ギルマス(ですか)?」」
「はい。」
「あの『怒鎚』のか?」「え?じゃあ『英雄』のヴェリスってあなたなの!?」
「そうです、ロイアさんとエリシアさん。」
影月宮はまた驚いている。
「えぇー、まじかぁ......」
早河は信じきれないようだ。
それを聞いていた釘沢は「何の話してるのかな?」といった感じで首をかしげていた。
◇◇◇
「まあ取り敢えずこのなんかバラバラの寄せ集めみたいな感じのパーティはESCで繋がっていたってことでおっけー?」
早河が聞く。
「ああ、そうだな。全くもって吃驚したものだ。」
「そうですね。大体あってると思います。」
僕と影月宮が答える。
「まぁ私はそれは関係ないけどね。」
釘沢は拗ねたように言う。
「あ、すいません......釘沢さん。」
「違う違う!冗談だよ!それに戀くんの気にすることじゃないでしょ。」
「そうですか?まあ美玖さんがそういうなら気にしないでおきます。」
今度は早河が首を傾げている。
「え?戀くん?美玖さん?二人はどういう仲なの?」
「ん?ああ、美玖さんとはコ〇ケであった時に意気投合したんですよ。早河さん」
「そういうことなのね......てっきり......いや、それはないなぁ。状況的にね。」
「ええ」
そう。恋や愛なんてものを考えることはもう大分前に忘れてしまったのだから。
そんなものよりその日の生死が大事だったのだから。
それは勿論生きる方ではないが。
「......ちょっと待って、何か来た。」
早河が何かに気付いたようだ。
確かによく耳をすませば何が近づく足音が一つしかない出口から聞こえる。しかも一つ二つではない。大量の何かが近づいているのだ。
「どんどん近づいてくる!しかも速い!」
「さてどうしましょうか?」
「さすがの僕でもこれはちょっと対処できないなぁ」
「ええー、あ、でもそこに武器落ちてるよ!」
「お、釘沢さんナイスジョブ!じゃあ私は......これね!」
「それでは私はこれをいただこう」
「うーん、じゃあ私これにしとくね」
「じゃあ僕は......」
結局、釘沢が片手長剣、早河がハルバード、影月宮が大盾と短鎗、僕は両手剣を持ち、足音を待ち構える。
.........それがどのようにしても攻略不可能に設定してあるとも知らずに。
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