新卒様
「あ、新卒様が来たぞ」
「頭を下げろ!!」
「下ぁに、下ぁに」
パカラッパカラッ。
馬に乗った新卒様が、道の真中を走り抜けていく。
「頭が高いぞ、下民共ぉお!!」
「下ぁに、下ぁに」
お供の家来も駆け足でついていく。
「はははは。私は新卒様であるぞ。偉いんだぞ。言うことは聞けぇー」
すると農民たちはその場で土下座する。
「ははぁ!」
「新卒様お通りだ!! 道を開けておけ!!」
「そうだ。大事にしろ、何しろ未来を作る新卒様なんだからな!」
一年後。
パカラッパカラッ。
いつものように馬に乗った新卒様が走り抜けていこうとする。
「頭が高いぞ、下民共ぉお!!」
そこを一人の農民が首根っこひっ捕まえて引きずり倒した。
激しい音を立てて倒れる新卒様。
「な、何をする!! 私は偉いんだぞ」
農民はこう言った。
「後ろを見ろ、次の新卒様がやってきたんだ。今年からはお前も頭を下げるんだよ」