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01 告白

 俺は今、人生の岐路に立たされている。

 いや、立たされている、とは語弊があったかもしれない。 正しくは立っている、だろうか。 まあ、要するにいったい何事かと言えば、告白である。 それも片思い中の女の子にだ!

 え?大げさだって?

 ならばてめえら、一度でもいいから自分の片思いの女の子に告白してみるがいい。 大げさとは言えないくらい緊張するからさ。 女の子に告白するのなんて朝飯前だっていうようなチェリーボーイの諸君には、ごめんなさいとしか言えないけれど。

 まあ、告白に対する感覚なんてどうでもいい。 それより俺は彼女と今教室の机を挟んで向かい合わせで立っている。 早く話しを始めなければ、せっかく放課後に教室から人が居なくなるまで待ってもらったのだから、時間が足りなくなってしまうだろうし、彼女に申し訳ないだろう。

 え?岐路に立ってるんだからもう告白した後じゃないのかって?

 いやー、それがまだなわけでしてですねはい……。 まあとりあえずLet's goだ!

 「佐川さん。 部活あるのに待ってもらってごめんね? ありがとう。 人も居なくなったみたいだしそろそろいいかな……」

 彼女の名前は佐川咲希さがわ さきと言うのだ。 綺麗な名前だとは思わないかい?

 思わないだって?僕は君たちの美的センスを疑うよ……

 「うん、部活は今日は遅めに始めるって先輩言ってたから大丈夫だよ。 気にしないで? 人は居なくなってるよ。 それで……話って何?」

 やっぱ優しいなあええ子やー……。 おっと、彼女に見ほれていたぜ。

 彼女のためにも、そして俺のこの暴れ馬のごとく暴れている心臓と、冷や汗でべったりのTシャツのためにも早く終わらせようか。 いつもなら雑談してくれる彼女が、単刀直入に話の内容をせかすということは、遅めに始まるとは言えども、部活が心配なのだろうから。

 「ん、ありがとう。 ……今日待ってもらったのは他でもない。 誰にも聞かれずに佐川さんに話たいことがあったから。

で、それの内容なんだけれど……。

……俺、前から佐川さんのこと、好きでした。 で、こんな俺でよければ、僕と付き合ってください!」

 言ったぞ。 言ってやったぞ。 後はもう知らん。 文体がおかしいなんてそんなの知らん。

 今俺の顔はとても赤いだろう。 自分でも顔が熱いのが分かるくらいなのだから。

 「そっか……。 …告白、してくれてありがとう。

 けど、ごめんね? 私、好きな人が居るんだ。 それでこの前告白してふられちゃったんだけれど、まだあきらめられなくて……。 だから、ごめんね?」

 まあ、やっぱりな。 それが今の俺――田村叶夢たむら かなとが一番最初におもったことだった。

 「そっか……。 わかった……」

 とは言えども、ショックが無くなったわけではもちろんないのだから、答えが詰まってしまうのも仕方が無いとおもいたい。

 「……今日はありがとうな、わざわざ時間割いてくれて。 今回のことで気まずくなってしまうかもしれないけれど……これからも一人のクラスメイトとして

、よろしくな!」

 無理に明るく振舞っていることに、彼女は気がついただろうか。 気づいているだろうなと、自答する。

 「うん! これからもよろしくね!

あ、ごめん、そろそろ私部活に行かないと…。 じゃあね、また明日!」

 そう言って彼女は、手を振りながら立ち去っていく。

 「おう」

 肩手をあげて返答する。 今の俺にはこれが精一杯だから、佐川さんがすぐに部活へ行ってくれたのは、行幸だったかもしれない。





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