一章 ss
とある日のお互いの動きを確認し終えて自分の寮の部屋へ帰ろうとしたときふと気になったことがあった。
「カナディアさんはなんでそんな赤が好きなんですか?」
今日のカナディアさんは長く赤い髪をサイドテールにしていた。そして動きやすい服装ではあるが見渡す限り赤色尽くしであった。
「え?見分けやすいために。」
見分ける?確かに人混みでは目立ちそうではあるが。
「酷い、真太くん。トマトみたいって思ったでしょ。」
トマト?うーん。どちらかというとポストかな。
「今、ポストだなって思ったでしょ。」
図星を突かれた僕は固まってしまった。
「やっぱり思ったんだ。酷よ。別に渡された手紙を届けたりしないもん。渡しといてって手紙を渡されたら速攻で燃やすわ。これは心に深い傷を負ったわ。近くのカフェのリンゴパフェ奢って貰うしかないわー。」
「それくらい奢りますが。今から行きます?」
嬉しそうにカナディアさんが支度をしていると凄くビビってる先生の一人が来た。
「あのーこの手紙を井出篭さんに渡しといてくれ。」
カナディアさんが炎を手に出した。そして無言でその手紙を燃やした。先生はビビって逃げていった。
*
「このパフェを一つとコーヒーのブラック二つで。」
僕は結局、カナディアさんにパフェを奢った。
「ゴチになります。このパフェ食べてみたかったんだよね。」
美味しそうに食べてくれたので飲み物代含めて約2000円の損失は見なかったことにしよう。
「ねぇ。チーム名考えない?チームカナディア何てどうかな?」
チームカナディアではある。主権、そしてリーダーはカナディアさんだし。
「もしかしてそれソロの時に使おうと思ってました?」
うなずいたカナディアさんを見て自分の名前をチーム名に使用しようとした高校生がいるのかと思った。
「一ヶ月間なんだし決めなくてもよくないですか?チーム名が必要ならチームカナディアにしましょう。」
カナディアさんにそういうとカナディアさんは自分の体を抱いて小刻みに震えた。
「え?そ、そんなに私のこと好き?」
確かにカナディアさんは美人ではあるが今のところそういう感情はない。性格破綻してるし。
「冗談だよ。ほら食べ終わったし会計しよう?」
これが僕らの日常であった。