1章 序章
ある日突然、人間は特殊能力が使えるということが判明した。ある男が無人島を一つ沈め、世界に特殊能力があることを示した。
この大事件から二日後、世界各地で特殊能力が使用できる人間がどんどん増えていった。
だが人間には悪いことを考える悪い人もいた。つまりこの特殊能力を使用して悪事を働こうと考えた悪人もいた。
特殊能力を使用する悪人に立ち向かうためつくられたのが『特殊能力犯罪対策隊』通称『特犯隊』である。いまでは能力を使用してなんでもする何でも屋のような存在である。
その特犯隊を育成する学園が『世界特犯隊学園』である。
下原真太はとてつもなく怖い夢を見ていた。
それは思い出そうとするだけで頭痛のする夢だった。
火の色で真っ赤に染まった町で誰かが僕の名前を読んでいる。
目の前にぼんやりと見える女の子が音になってない声でなにかをいっている。
「……が…………に……る…ら。」
いつもここで目が覚める。
*
僕は鳥の囀りと日の光によって目が覚めた。
またいつもの夢を見ていたらしい。いつも通り、なにも思い出せない。
いつも枕元に置いてあるデジタル時計が目に写る。
『四月一日』と時計には写っていた。
「そういえば『四月一日』って入学式だったか。」
今年から僕は高校生だ。入学式に遅刻するわけにはいかないし、そろそろ起きなきゃ……。
いま何時なのか気になって改めて時計を見た。そこには淡々と現在時刻であろう『8:00』と写っていた。
「ん?八時?確か『世界特犯隊学園』の入学式は……」
率直に言うと入学式は八時十五分スタートだった。
「あっ……。遅刻する。」
学校は徒歩で行ける距離である。朝ごはんも食べずに家をあとにした。
これが下原真太の華麗で優雅な入学式の朝の光景であった。