黄金バナナ持って帰ろう
中央王国を揺るがした大事件は一夜にして終結した。条約により大陸の禁忌とされていた魔銃の復活。国王による暴走。諸国に緊張が走ったあの夜に、中央王国の国王は忽然と姿を消した。兵士や住民の話も、竜や魔法や光だなんだと要点を得ず、結局のところ謎の事件として人々の記憶に残ることとなった。
それから時がたち、中央王国と他国との国交完全回復のたよりも届かない、大海を隔てさらに向こう側にある港町。
屈強な男どもがひしめきあい、飯の匂いと笑い声が絶えない酒場で、見慣れない小さな姿が一つ。
「お嬢ちゃん。こんな所危ねえから帰んな」
周囲の男どもと比べても相当に大きい浅黒の大男は、窮屈そうに身をかがめて言った。
のだが、女の子は空いている椅子に飛び乗り、
「ここあたしのお家だもん!それより、あなたたち冒険者でしょ!? なんか面白い話して!」
大男のつくテーブルには、ほかに2人の影があった。ひとりは勇ましい目つきの蜥蜴の頭を持つ亜人で、もうひとりは太陽のような黄金の瞳を持つ青年であった。
「すんませんね。そいつなかなか離れませんぜ」
酒場の店主がカウンターの向こうからニッと笑った。
「困ったナ」
蜥蜴頭が関係ないと言わんばかりに酒をあおった。
「困ったな〜」
青年は隣のテーブルに運ばれる生肉にしか見えない料理に目が釘付けだった。
「てめえら……」
大男は引きつった顔で二人を睨みつける。
が、すぐに少女に向き直り。
「この兄ちゃんが一つ面白え話もってんだよ」
「は!?」
青年は困惑するも、大男はニヤニヤと笑い、女の子はすでに話を待ちわびている。
「サン。あの話でいいからしてやれよ」
女の子がすかさず聞く。
「ねえねえ、どんな話?」
んー、と考え込むサンと呼ばれた青年の代わりに、大男が答える。
「伝説の果実をめぐる、中央大陸全土を巻き込んだ痛快御伽話だよ」
「へえ……」
女の子がきらきらした目でサンを見る。サンは少し照れ臭そうに、椅子に深く腰掛け直す。
「しょうがねえな……」
「眠くなったら寝ていいからな」
「おい!」
それから、コホン、とサンは咳払いをし、昔を懐かしむ古い戦士が如く。
「これは俺が海を渡る前。中央大陸にいた時の話だ。物語は一人の少女との出会いから始まって……」
ごり押し展開反省!ありがとうございました!




