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俺は家族の中で、腫れ物扱いだ。
──中学生までの俺は自分で言うのは変だが、優等生だった。
学力、運動、全て並より上。
その頃までは、親も俺を見ていてくれた。
ただ、それも中学生までだった。
自分自身を過信し過ぎた俺は、とある有名高校に受験した。
結果は合格。
それだけだ。
世の中には上には上がいる。
たかだか普通の中学校で秀才ぶっていた俺は、入学早々に現実を叩き付けられた。
当たり前の現実だった。
頭が良い人間同士が揃えば、当然、怠け者が出遅れる。
元より勉強が好きでもない俺が、叩き落とされるのは至極当たり前だ。
身の丈にあった高校に行けば、それなりに出来ていた筈だった。
だが、俺は傲ってしまった。
自らの中身のない自信に。
褒められていた言葉は、毎回最下位に近い点数を取る俺への罵声に変わる。
──またこんな順位か?
──少しは真面目にやりなさいよ。あんたのせいで母さん恥ずかしい思いしてるんだから。
──お金の無駄遣いだったわね。
──情けない奴だな。お前は。
両親からの言葉は俺を、俺の全てを、否定し踏みにじっていく。
「……ふざけんな。」
そこからは堕落の日々。
高校を卒業しても、職も大学も取らずバイト生活。
ギャンブルにハマって、気がつけば今。
本当、何したいんだ…俺は。