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走馬灯・改

「さて散々みんなを巻き込んできたけど、夏を最後に引退します」

 猛暑の天文部の部室、社会科準備室で姫乃は和彦たちに、そう言い切った。


 かの有名な聖徳太子は十人同時に話を聞いて対応できた、という逸話がある。しかし、姫乃は聞く耳を持ち合わせない。


 話がおかしい? そんなことはない。


 彼女は理論や頭脳を悩ましげに使うより、行動して結果を得る野性的女性であるからだ。

 そんな性格であるからして、先天性の特異能力が生きたとも言える。


 その先天性の特異能力とは、

「あのねぇ和君以外、みんな心の声、私の前だとだだ漏れだから」


 心理学でカウンセラーなどが利用する読心術、である。それも読んで字のごとくだ。


 とても不思議な能力であり、誰しもみんな相手の心を読み取ってみたいと一度は思ったことはあるだろう。


 姫乃はその憧れを描いた能力を現実に持ち合わせている。


 その能力に一年間連れ添ってきた和彦たちは誰も驚くことなく、「お見通しだったら仕方ないな」と理解をしている。


 そんな空気の中にいるちっこい黒髪パッツンの姫乃はとても居心地がよさそうだ。

 

 だが、星を意識して五角形に囲む椅子に腰を下ろす部員たちは、少し寂しげな表情を見せている。


 その中でも最近の女子大生と見間違えそうな大人びた団子結びで茶髪の憂香は、一人、頬を膨らましていた。


「相崎っちは、ご機嫌斜めねー。どう思う和君?」


 急に姫乃に振られた和彦は、テンパって、挙動不審に「ぼ、ぼくなの?」と慌てふためいている。


 クスクス、と不敵に笑う姫乃に噛みつくように眉間に皺を寄せる憂香は「星野は関係ないじゃん」と指摘した。


「まぁ、何はともあれ、簡単に引退とかやめてよね」

 一年間引導してくれた先輩がいなくなるのは寂しいことなのは、どうやら本当のようだ。


 低めのテンションで雰囲気が悪い社会科準備室に、

「そうだな、どうせなら……僕も姫乃先輩と思い出作りたいな」

 鶴の一声となる言葉を放つ和彦。


「さすがほっしー、俺も賛成だな」


「貴方達みたいな先輩のために一番年下の後輩である、この天川も! 仕方なく、お力添えさせていただきますわ」


「へへっ、こじっきーといっすーさんきゅ」


 小鹿侑弥と天川五十鈴も首を縦に振り、賛同を表明した。みんなの視線が憂香へと移ると、隣に座る和彦へ、「馬鹿っ」と罵り、肩パンをお見舞いする。


「おっふ、やめろって」

 和彦に代弁され気恥ずかしくなった憂香は表に向き直り、「うちもやる」と小声で呟いた。


 意地悪そうに笑う姫乃は、「蚊が飛ぶ時期か」と煽る。


「なっ、もう! うちもやりたい!」


 挑発に乗った憂香はバツが悪そうに大声で叫んで、気づけばみんな笑顔で輪を作っていた。


「――思い出を作りたいって結構大胆なこと言えるようになったんだね、和君は」


 放課後の教室であろうか、カバンが机に引っかかっていたり、そうでなかったり疎らである。


 そして、あり得ないことに僕は高校の指定制服である灰色と白のチェックのズボンに白のワイシャツと紺のネクタイを着用している。


 待てよ、僕の精神! 


 二十八歳胃ガン患者はこんな夢を見られるのか? ううん? 待って、これ走馬灯?

 それより、もっとありえないのは、


「ねぇ聞いているの、和君?」

 僕の目の前で話す櫛名田姫乃がいるということだ。

 

 当時も今も変わらない綺麗な色白の小顔にっ、


「脳内浮気か、おーい」


「いだだだっ! いきなり頬つまむなって!この握力ゴリラ!」

 自分に素直なとこも今と変わらないのは良いところ何だけどね。


「こんなに可愛い彼女に和君は握力ゴリラだなんてよく言えたわね」

 目下に陰りができ、口元を歪ませ勢いよく立ち上がる姫乃に僕は身の危険を感じるぞ。


 待てよ、それにこの感じ、なんかデジャヴだぞ。

「お仕置きね」

 

「あ、あぁ?」

 迫りくる唇に高校のときに付き合っていたノリで自分の唇をごく自然に合わせた。


 はっ、と我に返った姫乃は素早く身を引き、「ふぁふぁふぁっ」とパニックに陥っていて、見ているこっちとしては滑稽である。


 しまいには、「キス馴れ変態!」と命名され怒号された。会社の上司より理不尽じゃないか。


 えーっと、でも、あれ? このデジャヴはやっぱり……本当にあったような……。


「馬鹿、馬鹿じゃないの! 和君のくせに、和君のくせに」


 食べごろの桃のようなピンクの頬になる姫乃は、「さ、先、帰るから!」と自慢の運動神経の良さを披露して速攻帰って行く。背中を視線で追いかける僕の感想は、


「は、はやい! 姫乃ってあんな元気だったのか?」

 という小学生並の感想であった。


 ふと、教室の黒板の右横のカレンダーが視界に入ってくる。

「んーっと、そういえば今って平成二十七年だよな」


 おかしいぞ。食い入るようにみても見えん……どういうことだ? 

 まるでモザイクでも施されているようで、モヤで見えない――


「星野さん、星野和彦さん! 聞こえますか」

 女性らしい高い声で脳内へ懸命に話しかけくる気がする。

 全くもってうるさいぞ。


「キス馴れ変態さん、ファーストキスのタイミングを時間修正して、こちら側の仕事を増やしたキス馴れ変態さん! 聞こえますか? 聞こえないと『リア充爆発!』ということでニンニク鼻に埋め込みますよ」


「やかましいわ! 吸血鬼じゃなくても嫌がる嫌がらせじゃないか!」

 目は開いている。周囲は暗闇に覆われ、今どこに自分が居るのかさえ、把握できていない。


「……くしゅん」

 ツッコミを交わしたあたりから会話が途切れ、時々、くしゃみがうしろから聞こえる。

 だから割かし傍に“ソイツ“が居ると考える。というか、後ろじゃないか?


「いやぁ、申し訳ない。鼻炎でして」

 そして、このとき、僕は察した。後頭部に時々飛んでくる飛沫に。


 両手で目元を塞いでいる“モノ”を振り払う。背中のほうから、「ちょちょ転んじゃう!」と声が聞こえてくるではないか。


 要するに“ソイツ”の手で目隠しをしていたということだ。

 その手から解放された世界は、さっきとは対照的に一面真っ白で唖然としてしまった。


 一体さっきから目まぐるしく変わる景色に振り回される僕は……。


 後ろを振り向くと、全身真っ白の燕尾服をまとった『自分』が居た。


「えーっと、ようこそ、お出で下さいました。わたくしはペーネと申します。ここは巻き戻しの世界、通称“三途の川”でございます。星野様」


 最近の走馬灯は現代と同じ技術進歩を遂げていることを実感したのは言うまでもない。

ここまでの読了ありがとうございます。

推敲したはずなのに見落としてよくありますよね? 

何回も読み直したのに日にち置かないと文章のおかしいところに

気づかないとか、あるあるです! 

今回は場面が二転三転して、一人称で過去の話を書くのはあれだったので

三人称になりました。

まだまだ読みにくいところあると思いますが、工夫して頑張らせていただきたいと思います(´・ω・`)

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