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得手不得手  作者: ゆう
何やら進展があったようです
8/16

残暑と登山と疎外感 前編

まだまだ暑いですね

まあ、最近余り外に出ないんですが\(^ω^)/

アイスが美味しいです

「なあ、また暑いんだけど」

「いや、俺は知らねえよ」

 今は、この間の神社で焔と私たちとサラさんで会話をしている。ただ、談笑をしている訳ではなく情報交換だ。

 あの連日の猛暑を乗り切ったと思ったら再びやって来たのだ。また焔が暴走でもしたのかと来てみれば、どうもそうではないらしい。

 ちなみに何故サラさんがいるのかと言うと、ただ単に彼女が焔に会いたいと付いて来ただけである。

「まあ、エンくんが元気そうで一安心だよ」

「心配してくれてありがとう。でも俺はホムラなのだって」

 彼らのやり取りは何だか姉弟みたいだ。サラさんは二十代前半くらいに見えるし焔は十五歳くらいに見えるからというのだけではなく、言葉遣いや表情の全てが家族に向けるものに見えるのだ。見ていて微笑ましい。

「あの漢字は別にエンとも読むでしょ?」

「そう、だけど……」

「じゃあ良いじゃない!」

 二人のやり取りを眺めつつ晴麻と話を進める。だが、一向に話は進まない。

「マコっちゃん、マコっちゃん。俺何や思いついたんやけど」

私と同じように何事かと悩んでいた晴麻が急に声を上げた。彼に目を向ければ自信満々とでも言いたげな目をしている。

「体感温度、つまりはそういうことなんやないか?」

 体感温度。ミスナール計算式は湿度が関係してきたり分数が出てきたりと長く複雑なため覚えていないが、リンケの計算式はそれに比べれば覚え易い為それでなら計算が出来なくはない。確か実際の温度から四とルートの風速と掛けたものを引くと体感温度が出るはずだ。

 ただ、一般的に風速が一メートル毎秒早くなれば一度下がると言われているが体が濡れていたりすると変わってくる為、結局完璧に計算する方法はまだ出来ていない。ミスナール然りリンケ然り、天候は計算に入れられない為やはり完全とは言えないのだ。

 そんな体感温度が、どうしたと言うのか。

「いや、勝手に納得されても伝わらねえし」

 そう言ってやれば、大して気にした素振りもなく晴麻が説明を始めた。

 彼の言葉を要約すると、私たちが猛暑と感じているのは体感温度が普通の気温と変わっていないからと言う事らしい。夏の暑い日に風が吹くと涼しくなる、それがないから暑い。言われてみればそうだったかもしれないと納得した。

 暫く、風が吹いていないかもしれない。

「風の衰退ってことか」

 また精れい関係かと少しだけげんなりはしたが、そもそも私も精れいだ。いや、未だに信じきれないところはあるのだけれども。

「そう言えばリンちゃんも私と同じ年代だし、衰退の一つや二つ可笑しくはないよね」

「まあ、それもそうだな」

 二人がとても悲しい目で言った。やっぱり、家族みたいだと思う。

「それにしても、風の精れいは何処にいるんだろうな」

 連鎖性、反発性。衰退なのだとしたら恐らく前者の力を持った者が行くのが好ましいだろう。ただ、それ以前の問題として風の精れいが何処にいるか分からない事にはどうしようもない。

「リンちゃんとは一緒にいた時間が長いから多少分かると思うよ。それに、私たちの三人の力は丁度リンちゃんと連鎖性のある力だしネ」

 ニコリと笑いながら言うサラさん。

悪天の前に風が吹き、雨が降って雷が落ちる。風が炎に酸素を供給して強くする。だから連鎖性があるのだろうか。

その事について彼女に尋ねてみれば、そうだと言う答えが返ってきた。

その時にチラリと晴麻を見たら複雑そうな顔をしていた。疎外感からなのだろうか。

彼は確かにこの世界でもトップレベルの魔法の使い手と言っても過言ではないだろう。でも、精れいの力はそれよりも上のものだ。

声をかけられずにそのまま見詰め続けていると晴麻がそれに気付いて気にしないでとでも言うかのように笑った。



 高い。間違いなく落ちたら死ぬ高さだ。

 ここは簡単に言えば山だ。私たちの街からはかなり遠出になるが交通の便は悪くない。

 山登りなどした事がなかった為不安ではあったが、風に煽られることなく登れた事は良かったと思う。本来喜ぶべき事ではないと分かってはいるが。

 一応山登りは危険だと聞いていたので色々調べてみたのだがそれも杞憂で終わりそうであった。なので落ち着いたら態々買ったトレッキングシューズとスパッツと上下セットのウェア分くらいは登ってみようかと思う。私と同じような晴麻も誘って。ちなみに合計金額はかなりのものだった為親に借金をしたのだがそれとなく誤魔化すのが面倒であった。

 私と私ほどではないが晴麻も運動にはそれなりに自信があるので途中でへばる事もなく五十分歩いて十分休んでと言うペースで順調に登る事が出来た。山に登る時は是非焦らずそのペースで登って欲しい。

「そろそろだと思うのだけどネ」

 サラさんが手の甲で汗を拭いながら前方に目を向けた時だった。

 いきなり目も開けられない程の突風が吹き荒れたのだ。

登山計画はしっかりとです

ちなみに本編中の体感温度と登山知識は本物ですよ

ハイヒールで山登りなんて遭難したいのかだが遭難すると税金からヘリ代とか出るの四十五万くらいだったはずだけど分かるか死にたいなら山だけは止めろと元山岳部が言ってみます

後編に続く……ですよ

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