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得手不得手  作者: ゆう
何やら進展があったようです
6/16

猛暑と田舎と蜃気楼 前編

最近前後編がデフォになってきた気もしますし、毎日更新とか出来てないですし。

いつもご閲覧ありがとうございます!!!!

感想くだしあ←

「暑いな」

 色々あったが平穏無事に学校は再開された。あの日の事をそれとなくクラスの人たちに話してみたのだが、誰も学校閉鎖の本当の理由は知らなかった。学校側はあの閉校を校内の改修工事と説明していたのだ。別に間違いな訳ではないのだが。

 覚えていない理由は、学校側が操作したのかあのラフレシアの影響なのか。

「せやな。真夏かってツッコミたいわ」

 昼休みの教室。食事も終わってクラスメイトが口々に異常な気温について語り合っていた。かく言う私たちもなのだけれども。

 ちなみに今の季節は初夏。やっと梅雨前線の対決に小笠原気団が勝利を収めた頃だ。

 そう、梅雨明けしたばかりなのだ。例年通りであるならばジメジメとしてはいるがそんなに暑いはずはない。それなのに、恐らく今現在の気温はこの国最高温度も目ではないくらいなのである。

「今、何度だよ」

「何度やと思う? 当たったらアイスでも奢ったる」

「気前言いな。じゃあ、四十二とか」

「流石マコっちゃん。切り捨て計算ならあたりやね」

「よし、一個三百円近いカップアイスな。あの小さいやつ」

「せめて百円の大きいやつやろ!」

 このように少しでも巫山戯ていないと気温の事か精々湿度の事くらいしか喋れなくなりそうだと本気で思った。馬鹿馬鹿しいと言うのなら一度体験してみて頂きたい。お薦めはしないが。

 心の底から溶けそうだと思う中、巫山戯合いを止めて改めて晴麻を見れば彼も私と同じことを考えたのだろう。同じような瞳とかち合った。

「俺、今マコっちゃんの考えとる事分かるわ」

「奇遇だな。俺もお前の考えてる事が手に取るように分かるよ」

 この猛暑の原因は、十中八九炎の精れいだろう。

 そこで、炎の精れいがいるのはほぼ確定的となった。十分な進歩とも言えるのだが、そろそろ暑さで限界を迎えそうだった。肉体的なものと精神的なもの、両方の。

 話は戻るが、いる事は確定だとしても問題は一体何処にいるのかだ。

 暴走であろうと衰退であろうと、何処にいるか分からないのであれば行きようも解決しようもない。

「マコっちゃん、何か心当たりとかあらへんの?」

「ねぇから。そもそも何で俺に聞くんだよ」

「マコっちゃんなら知ってそうやなって」

 この男もとうとう暑さで頭が可笑しくなったのか。そう思って憐憫の目で見つめれば晴麻はどうしたものかと眉を顰めた。

「サラさんに聞いてみるか?」

「せやかて迷惑とちゃうんか?」

「いいのに、気軽に呼んでよ。どうせ私は暇だしネ」

 半分冗談で言った言葉は発展することもなく端に追いやられるだろうと自分でも思っていた訳だが、そこで背後から思わぬ返答があった。少し前に出会ったばかりの、どこか電気を彷彿とさせるような声。

 私と晴麻は一様に驚いて声の主に振り返る。彼女は人の良い笑みで右手を降った。

「さ、サラさん?」

 一応言っておくが、暑さにやられて私と晴麻が同時に幻覚を見たわけでは決してない。

サラさんは本当にそこにいた。但し、急に現れた彼女に驚いたのは私と晴麻だけであったが。



「で、エンくんの居場所だったっけ?」

 図書室に場所を移して早々、彼女はそう言った。エンくんとは恐らく炎の精れいのことだろう。

「そうですね。お願いします、教えてください」

 図らずとも初対面の時に似ている場所だなと思った。

「簡単だよ。今一番暑い所に行けば良いのだもの」

「ああ、確かに」

 晴麻の方を見れば、暑い所と何回も口の中で転がすかのように呟いていた。正直傍からは怖い人にしか見えないだろう。

 ここに来るまでに気が付いたのは、どうやら彼女は私たち以外には見えていないらしいと言う事だ。

「うん。じゃあ、また何かあったら呼んでね」

 彼女のそのセリフに、態々居場所を教える為だけに来たのかと思った。それがどうやら顔に出ていたようで、サラさんはクスリと笑った。それから真面目な顔になる。

「後ね、伝えに来たの」

 何をと問おうとして口を開くより前に、彼女がまた笑って言った。今度の笑みは先ほどの少しだけ意地悪しているようなものと違い、優しかった。

「真人くんと晴麻くんが助けを求めたとしたらそれが些細なことだとしても、私は助けになるよ」

 彼女の声は、どこまでも真っ直ぐだった。そして、彼女が雷の精れいだと言う事を思い出したのだ。



「はい、着きました」

 そこは、まるでサウナのようだった。でも確かサウナは熱さを感じさせるために湿度などに気を使っていたはずなので、それがない分こっちの方が暴力的に暑い。

 念の為にとスポーツ飲料を五リットルぐらい持ってきたのだが、それもいつ尽きるのか分からないなと思った。それに飲み物だけで五キロは正直やり過ぎた。

 てっきり野次馬の一人二人はいるものかと思っていたが、予想に反してメディア関係者すらいなかった。

 滝のように流れる汗を持ってきたタオルで拭いながら改めて周りを見渡す。

 これぞ田舎と言いたくなるような所、一言で言えばそんなものだろう。何色もの緑が地面を覆い尽くしていて、また今度の機会にゆっくり遊びに来たいと言う気持ちにさせる。

 砂利道に立ち上る蜃気楼に目眩を覚えた。

「晴麻、もう帰りたいわ」

「マコっちゃんに激しく同意や」

 死んだ魚の目をしつつ陽炎に目を凝らしてみた。何気ない行為であったそれは、あっけなく意味を持ってしまう。

「なあ、晴麻。人いるんだけど」

「奇遇やな、マコっちゃん。俺も今魔力を感じたとこや」

 一瞬その人影と目が合った、気がした。けれど、もう一度しっかりと見ようとした瞬間にフイっと後ろを向いて揺らめくように消えてしまった。

 恐らく、あれがサラさんの言うところのエンくんであり、私たちが炎の精れいとして探し求めていた存在だろう。

 サラさんの呼び方から推測するに男だろう。彼が消えた瞬間、少しだけ痛いほどだった厚さが緩んだ気がした。

「追いかけよう、晴麻」

猛暑は嫌いです

最近短いですね

はてさて、謎に包まれたエンくんとは?

後編に続く……です


おまけタイム↓

ちなみに私のメモはよく見たら炎ではなく火の精れいでした。直すのめんどくさかt((

精れいは精れいです。

決して精霊じゃないんです。と言うか霊じゃないんです。

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