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得手不得手  作者: ゆう
結構と大変なようです
14/16

寝不足と昼夜と戦い 前編

更新遅れてすいません……_(:3 」∠)_

「と言う事なので寝不足なの」

 学校の図書室。普段から余り人が近付かない為校内にありながらその喧騒とは切り離された世界。そんな所には人ならざる者が現れると言う。

「分かります、サラさん。私もなのです」

それに、明るい筈の時間であるのに未だ暗い。もしかしたら、もう暗いなのかもしれないけれども。

「僕も寝不足なんだぁ」

 元々この図書室が纏っている雰囲気と相まって、室内はとても暗く感じられてならない。

 そんな中、私たちは絶賛溜まり中である。

「それにしても暗いな、晴麻よ」

「せやな、マコっちゃん」

 半ば逃避するように二人で会話を始める。精れいの皆様方の話は正直女子会のようで入り辛いのだ。まあ、本当の女子会は知らないが。

「いざ寝る時間になると明るくなるからね。僕も寝不足」

 先程から寝不足と言う単語ばかりで一向に進んでいない気がするのだが、それは抜きにしても何故ここが彼らの溜まり場になっているのだろうか。

「これはヒカリとヨルヤの力なのか?」

 今度は二人? 暗い図書室での会議は漸く会議と呼べるものになってくる。

「そう言えば冷華。この間の事、詳しく教えて」

「この間? 良いですけど、正直言いますと明確に覚えていないのです」

 図書室にいた人物は揃ってやはりかと思った。大した期待はしていなかったので得に落胆はしなかったが、それでも余りに情報量がない。

 連日、昼夜めちゃくちゃ事件の事が報道されている。いるにはいるのだけれど、どうやら世界中で同時に起きているようで発信源の特定みたいなことは出来そうになかった。

「どうしたら良いのだろうネ……」

 ポツリとサラさんが呟いた言葉は何だか虚しかった。



 手掛かりがないまま時間は過ぎる。それでも適応しかけている人間の構造は本当に凄いと思う。だからこそ世界中にこんなに散らばったのだななんて。

 ニュースはもう既に飽きてしまったらしく、別の事を報道していた。原因究明とかしなくても良いのだろうか。

 ワイドショーの間のCM。何回も見たようなもので新鮮味もなにもなかった。こんなに広告を流したところで効果があるのかと疑問である。

 そろそろ番組も再開されるだろう、そう思っていると画面が暗くなる。消えた訳ではない筈なのでもしかしたら何か番組側の――。

 違うと気が付く。番組の演出なんかではない。一体何が違うのかと問われれば分からないがそれでも明らかに可笑しい。

 何かが意識の底に引っかかって仕方がない。そんな感覚に覚えがある。

「取り敢えず晴麻に連絡してみるか……」

 そう言って携帯を取り出す。あまり多くない連絡先のナ行を見て、電話をかける前に家を飛び出した。晴麻がいる所が分かったのだ。



「やっぱり」

 晴麻の姿を認めポツリと呟けば、彼がこちらを向いた。

「マコっちゃん。来ると思っとったわ」

 一連の事件のせいでこれ以上なくても良かった友達度みたいなものが上がってしまって少しへこんでいたと言うのに何が悲しくて以心伝心までしなくてはならないのか。今回は別に以心伝心したわけではないが、そう心の中で思った。

「俺もテレビ見てたら何となく分かったんだよ。ここに来いって」

「せやな。俺たちの顔と学校の写真出たらな」

 現在、私たちの学校前。あいつらも随分と回りくどい呼び出しをするものだと思う。

 明らかに罠であろうと言う事は分かっているが、来なければいけない時もある。それが今なのだと思う。

 夕刻。普段であれば赤い光に辺りが包まれて影がどこまでも長く伸びている時間の筈なのに、今はすっかり周囲を闇に取り囲まれている状況であった。恐らく、私たちがどうにかするまでもう変わらないだろう、と言うと何だか一大事のような気がするが。

「ほな、行くで」

「おう」

 誘うように開いている門を通り過ぎる。何歩か歩いた時、予想通り後ろから門の閉まる音がした。



「おどろおどろしいな」

「普段こんな暗い中に学校何か来うへんからな」

 電気が付いているのにも関わらず何処か暗く感じられる校内。幽霊とかはあまり信じていないが、何処かから何かが出てきそうと言う想像が掻き立てられる気がする。

 あの暗いCMは私たちの写真、学校の写真の他にもう一つ情報を残した。始まりの場所。

「俺、先に入るな。どうせマコっちゃんが狙いなんやろし」

「しくじるなよ?」

「面白い冗談やな。俺が何をしくじるって?」

 教室前で軽くやり取りをする。ここでも普段とあまり変わらないのは流石私たちと言うしかない。

「御邪魔しまーす」

「普通に入るんだな」

 思わずツッコミを入れてしまったのは仕方がないだろう。

 室内には大人数名と子ども二人がいた。まるで犯罪のような光景に戸惑う私と、そんな私たちの入り方に驚く大人たち。晴麻は何て事のないような顔をしていた。

「ども! 精れいさん迎えに来たんやけど」

「……は? な、何言ってんだお前!」

 相手側が呼んだのにこの驚きぶりは何だか可笑しい気もするが、一人が大げさに返事をする。

 子どもが輝く瞳でこちらを見てきたので、恐らく彼らなのだろう。少女と少年、よく似ているので双子だと思う。

「くっそ! 光の、やれ!」

 少女が悲しそうな目になるのもお構いなく男が命じた。つまり、彼女が光の精れいと言う事か。

 少女が右手をこちらに向ける。と同時にそれが光り出す。

 避けようと足に力を込めようとするが、晴麻が前に飛び出すのを感じて踏み留まる。彼が両手を突き出すのと少女が魔力を放つのは同時だった。

 目が焼ける程の光は私たちに当たることなくその前で止まる。正確には晴麻のバリアによって防がれたのだけれど。

 力は均衡しているように見えたが晴麻が僅かに押されているように見えた。流石の彼でも長く持たないようで、その前にタイミングを見計らって横から思い切り腕を引けば僅かに体勢を崩したもののその場から離れる。

 バリアがなくなり再び真っ直ぐ進み出した光線は地面を溶かした。

「お、おいおい……」

「うわ……。マコっちゃん助かったわ」

「お互い様」

 冷や汗を無視しつつ向き直る。少女はホッとしたように息を吐いていた。

「ああもう! アンタも何とかしなさい闇の!」

 少年がビクリと肩を揺らすのが見えた。それでもオズオズと左手を持ち上げる。



 どうやら冷華さんみたいに完璧に意識までを操っている訳ではないらしいと言うのが何となく分かった。

 連中は何がしたいのであろうか。こちらはサッパリだ。

 先ほどの光線を防いだ手はビリビリと衝撃のせいで痺れている。真人に触られた瞬間、僅かに痛みを感じて体勢が崩れた。完全に対抗できないのならせめて足で纏いにはなりたくない。

 男の子が黒を纏った左腕を頭上に掲げる。光線ではないだろうと思っていたが、何をする気だ。

 手から宙へ、黒が移っていく。丸く丸く形作られて、漸く何だか分かった。

「真人、壁か何かに掴まれ!」

 指示を出しながら自らも扉にしがみつく。そしてワンテンポ遅れて突風が吹き荒れる。教室の中心の黒いものに向かって風が吸い込まれていく。

「成程。連携されたらなかなか厄介やな……」

 連中に聞こえないように口の中で言葉を転がす。聞かれてそうされたら敵わない。

「ブラックホールか。よく分かったな……」

 真人が苦笑いでブラックホールを見詰めつつ言った。俺も多分苦笑いだろう。

「ホンマ、よく分かったな……」

 やられてばかりと言うのは何とも屈辱的な事だろうか。ブラックホールが消え失せた空間を眺めて思う。

 トンと一回、右のつま先で地面を叩く。そして、左の踵で二回。その後、長く細く息を吐く。

「そこの女の子の近くにいるお兄さん? 俺と場所交換とかせえへん?」

 言ってニヤリと笑ってやれば男は意味が分からないと言いたげに首を傾げた。

「し、しないに決まってんだろ!」

「まあ、答えなんか求めてないんやけどね」

久々のハル活躍回です

ハルとマコっちゃんのコンビは息ばっちりですよ


後編に続く、ですん

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