海と砂浜と宝探し 前編
\(^ω^)/
「晴麻、海にでも行こうぜ」
息抜きも兼ねてそう尋ねれば一も二もなく返ってきたのは行こうという言葉。正直最近お互いに滅入っていたので、これくらい良いだろう。
やってられないとは思っていないが、最近になって頻発している自然災害たちに何となく私たちも一般の原因を何も知らない者たちですら慣れてきているような気がする。慣れたいとは思っていなかったけれども。
海に行くのは山よりも遠い。一時間かけて乗った電車から別の電車に乗り換えてもう一時間。
連日の猛暑のせいで人が多いかと思っていたが、その逆であった。もしかしたら暑さで体調を崩した人が多かったのかもしれない。
「思ったより人が少ないな」
「いや、俺は少ない思っとったけど」
たわいのない会話をしながら海水浴場に併設されている更衣室に向かった。
「え。何でいるの」
「それはこっちのセリフ」
ついつい出てしまった言葉に律儀にも返してきたのは風鈴さんだった。
「ってことは、マコとハルも遊びに来たって事か」
「せや。この間山行ったからそうしよかて」
二人は既に着替え終わっているのだが、どうやら俺たちを待っているらしい。
焔くんと風鈴さんがいると言う事は恐らくサラさんもいる筈だ。待たせてしまっても良いのだろうかと思ったが、彼女はそういう事を気にする性格でもないのだろう。何となくだがそう思った。
そう言えば、聞く必要はないが聞いてみたい事があったなと思い出して室内を見渡す。海水浴場を見て何となく分かっていたけれども、ここも予想通り人が少ないと言うかいなかった。
更衣室なら監視カメラなどもないだろうと思いながらも警戒しつつ喋り出す。ちなみに着替えの手は止めていない。
「二人て何歳なんですか」
「はあ?」
二人が訝しげな目でこちらを見た。よく考えてみれば俺もそんな反応をするだろう。
「俺は五百ちょっとくらいでスズ兄は二千くらいだけど、それがどうした?」
「へえ、そうなんや。いや、ただの好奇心やて。別に誰かに言うとかはせんから」
俺も言って良い事と悪い事は分かっているつもりだし、言ったところで信じてもらえないだろう。そう伝えればそれもそうか等と言う答えが返ってきた。
今まで焔くんは千超えているのだろうなと思っていた為少し意外であった。
「外でサラが待っているだろうし行くよ」
何となく不機嫌そうな表情で風鈴さんが促したので、何となく俺たちも付いて行く事になった。
「あれ、二人もいたのだネ。こんにちは!」
「こんにちは」
「こん間ぶりですね」
最近よく会うなと思いつつ二人で挨拶する。晴麻のエセ関西弁はもはや癖とかではなく意地だと思う。
ラフレシア事件、異界事件、気温砂漠化事件、無風鎌鼬事件の今まであった四件を私たちはそう呼んでいるのだがこれらは間髪置かずにやって来ていた。その為、無風鎌鼬事件から何日か経っていた事に油断していた。
急に、足元が弛み始めたのだ。ズブズブと足が砂に嵌っていく。
「え? どないなっとんの?」
「わ、分かんないけど……」
私と焔と風鈴さんは声に出さなかったまでも、二人と同じように混乱していた。
砂、つまりは地面。自然と関係があるといえば、あれしかないだろう。
「また精れいか」
五人の呟きが見事に被った。私たちは置いておくにしても他の三人は何かしらを能動的でないにしろ仕出かした後なのでそれを言うのかとツッコミたかった。勿論、私は精れいかもしれないがまだ何もやっていないから例外である。
そんな事を言っている間にも体は徐々に沈んでいっている。ふくらはぎ辺りがザラザラして、見ればそろそろ膝小僧が隠れようかと言うところだった。
「呑気な事言ってる場合じゃないけども、どうするんですかこれ?」
サラさんなら何か分かるかと思ってそちらを向けば、思いも寄らないところから返答が来た。
「真人くん以外なら反発性の力だし大丈夫だと思うけど、サラよりも僕と焔が適任だと思うよ」
少なからず人もいることだしね、淡々と風鈴さんが言ってのけた言葉に、正直なところ驚いた。この人気遣い出来たのかとかではなく、喋る時は喋るのかと。
「だからサラと真人くん晴麻くんでリク探しして来てくれ」
リクとは一体誰なのかとサラさんに尋ねるような視線を向ければ土の精れいだと教えてくれた。
「でも、地盤沈下って衰退じゃないん? ならマコっちゃんやないの?」
晴麻の言葉に視線をほとんど動かさないで風鈴さんが答える。余計なこと聞くなよと言外に聞こえてきそうだった。
「だから真人くんをリクの所に行かせるの」
「ど、どう言う事」
「本人同士が連鎖性の力を持っていたとしても引き起こされる現象も連鎖性があるとは限らないの」
嫌そうな反応のくせにやけに確りと答えるのだなと思った。
「私こっち探すから二人はあっちお願い!」
サラさんはそう言って答えも聞かずに走り去ってしまった。
「やて、マコっちゃん」
サラさんを追いかけていたが、彼女が行ってしまったので一旦立ち止まった晴麻が言う。
「そうだな。サラさんの言った通りこっち行こうぜ」
「せやね」
そう答えたのでてっきり走り始めるかと思いきや、立ち止まったままブツブツと呟く晴麻。贔屓目に見ても変態臭い。
「おい晴麻、どうしたんだよ」
声をかければ呟くのを止めていやなと話し始める。
「力が二つに分かれてるんよ。だからサラさんは別れよう言うたんやと思うけど」
「二つ、か?」
「せや。まあ、早う行こか」
晴麻がサラさんの指し示した方へ走り出したのでそれに習って私も走り出した。
無言が続く。晴麻を抜くことも出来る事には出来るのだが、私は生憎魔力探査みたいなことは出来ないので晴麻の後ろを置いて行かれないように走った。
砂と地盤沈下のようなものの相乗効果に足を取られつつ暫く走れば、不意に晴麻が止まった。魔力を感じ取れなくなってしまったのかと思ったがどうやらそうではないらしい。
「ここら辺の気がするんやけど」
砂浜の端っこ。岩と草との境目のようなところだった。止まってから急に砂に沈み出す。
先程までは少しずつ沈んでいっていた筈なのに、それを嘲笑うかのような早さだ。
そう言えば、焔の時も暑い場所を探せばいいと言われた。ならば、特に沈下速度の早いところを探せば良いと言う事だったのだろう。
「あれ? あそこにいるのって」
「どしたん? マコっちゃん」
いや、そう言って自分の視線の先を晴麻にも分かるように指し示す。
そこに、二十過ぎくらいのガタイの良い青年が倒れていた。ギリギリ砂の上にいるのにも関わらず彼の体だけは浮いていると錯覚しそうだった。
「せや、風鈴さんがなんや言うとったよな?」
「えと、確か俺に態々行かせようとしてたよな」
そうか。何となく晴麻が考えていることが分かった気がした。風鈴さんは、連鎖性のある力だから本人に直接ぶつけろって言いたかったのではないだろうか。
成程とばかりに前の焔の時を思い出す。
そもそも目の前にいる青年はその時の焔と違ってどう見ても調子が悪い。いや、意識を失っている。
流石にと思って躊躇っていると、晴麻が何かの魔法を放った
いや\(^ω^)/じゃねぇよおおおおおおおおおおお
終わりません
後編に続く、です




