3・茂みの中から……
遅れてしまってすみません……氷翠です。
もう本当、いろいろありましてですね……
お詫びは後書きに。
とりあえずさっさと始めてしまいましょう。
誤字脱字などありましたらお教えください。
では、どうぞ。
「…………疲れる。」
「山道だもんな、しょうがねぇ。」
「……疲れた。」
「わかってるって。」
「……どうにかして。」
「無理。」
「…………紗介のケチ!!」
「んなこと言ったってどうしようもねぇだろうが!考えてから物を言えバカ澪那!!」
そんな言い合いをしながら山道を進む2人の姿。
端から見ればそれは、とても面白い物だろう。
一方は、まるで子どものように駄々をこねる少女。
もう一方は、そんな声をまるで聞かないように耳に手を当てている少年。
そんな2人を笑うかのように、木々の木葉が風に揺らめいた。
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「さて。どうするもんかね?」
そこは、粕蓑山のおよそ三合目辺り。
山を登り初めて20分ほどかかった高さである。
茅野原が彼方此方に広がり、たくさんの背の高い木とその根が辺りを埋め尽くしていた。
ハッキリ言って、非常に歩きづらい。
「手当たり次第探しましょう。」
「探すって、何をだ?」
倒れていた太い木の上に腰掛け、堂々と言い張った澪那に紗介は突っ込んだ。
ピタリと、まるで時間が止まったかのように動かなくなった澪那。
しばらく、無言が続く。
「………考えてねぇのかよ・・・。」
動きを止めた澪那を見て、紗介はハァ…、とため息をついて呟いたのだった。
「い、今考えるんだから、文句言わないでよねっ!!」
そう叫びながら、澪那は紗介へ手を出す。
その言い様に紗介は呆れるようにまたため息をついて、竹筒の水筒をその手に置いた。
蓋を取って中の水をクピリと飲み込んだその時。
がさり
茂みが揺れた。
ピクンと反応した2人は、その茂みをじっと見つめる。
紗介は腰の刀に手をやり、澪那は水筒を構え刀印を組んだ。
がさり がさり
茂みはまだ揺れている。
紗介が小さく呟く。
「澪那、こっちに追い出せるか?」
「嘗めないで。」
紗介の言葉にふふん、と小さく笑った澪那は、更に小さな声でブツブツと何かを呟き、刀印を茂みに向けてひとつ、小さく叫ぶ。
「『追い水』」
すると、水筒の口からコポリと水が出てきて、まるで生き物のように身をくねらせて茂みへ入っていった。
がさがさがさがさっ
ざざざざざざ
入った瞬間から、先ほどよりも激しく茂みが揺れる。
やがて、がさりとひとつ大きく揺れたかと思うと、ぴょこんとその茂みから何かが飛び出してきた。
ぬめりとした身体。
キョロッとした大きな目。
水掻きのついた手足。
手のひらに乗るほどの大きさである、それは………
「………かえる、か・・・?」
「………蛙、のようね・・・。」
黄色地に黒の縞模様という、まるで虎のような珍しい柄をした、小さな蛙だった。
そのチビ蛙は少しの間きょとんとしていたが、ハッと我に返ったのかピョコンとひとつ跳ね、またもとの茂みに入って行ってしまった。
それをただじぃっと見つめているだけだった2人。
沈黙が流れ、それを破ったのは紗介のひとことだった。
「………珍しい柄だったな・・・。」
「……まぁね。ただ、弱いけど妖気を発してたわ。
急いで追うわよ!!何かわかるかもしれない!!」
そう言うが早いか、澪那はするりと茂みの中へ入った。
その際のガサガサという音でやっと我に返った紗介が、「ちょっと待てよ!おい!!」と叫びながら
澪那を追って、茂みに身を投じたのだった。
お、お詫びいたします………
遅くなってしまって本当に申し訳ありません!!
時間と気力のほとんどを学校と二次創作の長編にかけているので、こちらへはなかなか手が回らなかったのは事実です……
けど、やめるつもりはありません。まったく。意地でも。
少しでも良い物を読んでほしいので、ペースは落ちますがしっかり書いていくつもりです。
なので、よろしければまだまだお付き合いくださいませ。