⑦ 後日談
後日、カグヤの義父が宮中に入内し、帝にカグヤからの最後の手紙と、中身は謎の小さな壺が届けられました。
帝が手紙を読むと、以下のような内容が、書かれていました。
親愛なる大王様
壺の中身は粉末にした人魚の肉です。それを服用すれば、私と同じ、不老不死の身体になります。そうなればまた、どこかの時空間で、私との再会が叶うかも知れません。
しかしその時の私は、すっかり貴方様の記憶を失っていることでしょう。一度故郷の記憶を呼び覚ますカラクリ…記憶想起ヘルメット…を頭に被ると、そうなってしまうのです。
どうかその時は、もう一度イチから根気良く、私のことを優しく口説いて下さいね。
それでは、これで、本当にお別れです。カグヤは、あの夜空にキラキラ輝く、星の一つになったと、お思い下さい。
最後に、逢えない私の事を、いつまでも愛して下さるならば、どうかその愛を、私の義父母にも注いでやって下さい。
元天上人の大王様、どうかどうか、いつまでも息災でいらっしゃいますよう、お祈り申し上げ、これを最後の挨拶といたします。
輝夜姫
その手紙を読んだ帝は思いました。
今さら不老不死になってところで、どうすることも叶わぬ。そうだ。義父母はどうだろうか?必要ならばくれてやろう。もしも要らないならば…。
そこで帝は、大臣の上達部をお召しになり「天に最も近い山はどこか。」とお尋ねになりました。
すると大臣は「それは駿河にあります。」と答えました。
「では、もしも、義父母も不老不死の薬を必要としない、と分かった場合には、その山の頂上で、それを燃やし、遠い空の彼方に居るカグヤにその煙を見せて、朕の決意を知らしめよう。」
帝はそのように大臣に語りました。
帝の"決意"とは、どんなに嘆き悲しむことがあろうとも、限り有る自らの命の寿命を全うし、その魂、思いを、次の世代に繋いで行こう。というものでした。
その後、やはり義父母からは、不老不死になるつもりは無い。との返答を受け取り、いよいよ山に薬を運んで燃やす事になりました。
その頃、未だ活火山であったその山は、火口からモクモクと煙を出しており、そこで何か企むなど、帝の使いでもなければ、恐れ多いことでした。
上達部は、持参した薬の壺を取り出すと、封を開け、中の粉を残らず、その山の火口に振り注ぎました。
すると、不思議な事に、誰も見たことのないような、黄金色の煙が吹き上がり、それは天高くまで続きました。
その山はその後"不死の薬を燃やした山"として、"不死山"…それが転じて「富士山」と名付けられたと、後世に伝えられています。
第一章 完
コレで第一章の幕引きです。
新解釈を加えながら
ほぼ従来のプロット通りに
ストーリーは進みました。
今後も続くかもしれない
私らしい超展開の
第二章にもご期待下さい(>ω<)




