カンダタタタタタダタタタタタタ
田舎の家に住んでいるので虫がよく出る。
春にはシロアリが湧き出して来て古い家を少しずつ傾かせているし、夏には柱に鍬形虫がいたり畳の上で蟷螂と螽斯が生存競争をしたり、秋には蜻蛉がそっくりな針金製の洗濯バサミに止まって求愛しているし、冬には白い雲のような卵を抱えた手のひら大の足高蜘蛛が壁を伝って逃げて行く。
台所のシンクの中で、よく蜘蛛が落ちてステンレスの壁面を登れないでいる。
足高ではなくアンダンソンと思われる小さな蠅取りだ、滑るのでちっぽけなそいつはいつもそこを抜け出せないでいる。
もう何回助けたかわからない。初めはこわごわ紙切れやまな板の端で掬っていたが、そのうち気にせず素手でやれるようになった。
いずれ地獄に落ちた時お釈迦様が綱引きに使うような野太い蜘蛛の繊維の紐を垂らしてくれるに違いない。(前に釈迦と石猿のBLみたいな罰当たりな話を書いたし地獄行きは間違いない)
それは言い過ぎにしても助けた数は束ねれば少なくともベースの弦くらいにはなる。
楽器を作ろう。
そうだ、これを登るなんて下らない考えはやめて、楽器を作って亡者どもを集めてギグをするのだ。
そっちの方が楽しい。
骨たちはカタカタとパーカッションを奏でろ。
鬼、お前のドラムは飾りじゃない、今この時のために使うんだ、エイトビートを教えてやる。裏乗りの方が好きか?
針は長さで合わせて指で弾けばきっと不思議な響きを立てる。
灼熱の炎はパフォーマンスだけじゃない、お湯を沸かして蒸気でタービンを回しエレキをアンプでエフェクター。
茹で釜はボイラーのみならずひっくり返してスチールパンにもなる。
棍棒なんてくり抜いてフルートにしちまえよ、ディジュリジュもいいな。
血の池をグラスに汲んで縁をなぞったり弾いたりすればサイン波だって思いのままだ。
餓鬼どもも辛気臭い石なんて積んでないで下手くそだったら投げつけてくれたらいい、願わくばお手柔らかにな。
満たされた奴よりハングリーな奴の方が断然いい、知ってるだろ。
こっちには色々あるから工夫すれば何だって出来る。
下手くそだっていい、おかげで時間だけは無限にある。
ティアーズインヘブンだって天国への階段だってそのうち出来るようになる。
そしたらあっちで流れてる妙なるBGMより絶対盛り上がるからみんな下りて見に来てくれよな。




