表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
釈迦の掌  作者: 都築優
2/3

カンダタタタタタダタタタタタタ

田舎の家に住んでいるので虫がよく出る。

春にはシロアリが湧き出して来て古い家を少しずつ傾かせているし、夏には柱に鍬形虫がいたり畳の上で蟷螂と螽斯が生存競争をしたり、秋には蜻蛉がそっくりな針金製の洗濯バサミに止まって求愛しているし、冬には白い雲のような卵を抱えた手のひら大の足高蜘蛛が壁を伝って逃げて行く。

台所のシンクの中で、よく蜘蛛が落ちてステンレスの壁面を登れないでいる。

足高ではなくアンダンソンと思われる小さな蠅取りだ、滑るのでちっぽけなそいつはいつもそこを抜け出せないでいる。

もう何回助けたかわからない。初めはこわごわ紙切れやまな板の端で掬っていたが、そのうち気にせず素手でやれるようになった。

いずれ地獄に落ちた時お釈迦様が綱引きに使うような野太い蜘蛛の繊維の紐を垂らしてくれるに違いない。(前に釈迦と石猿のBLみたいな罰当たりな話を書いたし地獄行きは間違いない)

それは言い過ぎにしても助けた数は束ねれば少なくともベースの弦くらいにはなる。

楽器を作ろう。

そうだ、これを登るなんて下らない考えはやめて、楽器を作って亡者どもを集めてギグをするのだ。

そっちの方が楽しい。

骨たちはカタカタとパーカッションを奏でろ。

鬼、お前のドラムは飾りじゃない、今この時のために使うんだ、エイトビートを教えてやる。裏乗りの方が好きか?

針は長さで合わせて指で弾けばきっと不思議な響きを立てる。

灼熱の炎はパフォーマンスだけじゃない、お湯を沸かして蒸気でタービンを回しエレキをアンプでエフェクター。

茹で釜はボイラーのみならずひっくり返してスチールパンにもなる。

棍棒なんてくり抜いてフルートにしちまえよ、ディジュリジュもいいな。

血の池をグラスに汲んで縁をなぞったり弾いたりすればサイン波だって思いのままだ。

餓鬼どもも辛気臭い石なんて積んでないで下手くそだったら投げつけてくれたらいい、願わくばお手柔らかにな。

満たされた奴よりハングリーな奴の方が断然いい、知ってるだろ。

こっちには色々あるから工夫すれば何だって出来る。

下手くそだっていい、おかげで時間だけは無限にある。

ティアーズインヘブンだって天国への階段だってそのうち出来るようになる。

そしたらあっちで流れてる妙なるBGMより絶対盛り上がるからみんな下りて見に来てくれよな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ