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3話 〜女体化した元男の子、ナンパされる!?〜

〜これまでのあらすじ〜

私の名前は舞冬……女の子っぽい名前だからずっと好きじゃなかったけど……今とてもこの名前で良かったって思えてる

というのも私が女の子になってしまったから

数日前に風邪を引いて処方された薬を飲んだら、急に身体がぼっと火照ったと思ったら女の子になっていた

私、これからどうなるんだろう……

こころと一緒に下着を買いに行った次の日

いつもと変わらない朝

めざましのアラームの音で私は目が覚める


舞冬「ん〜っ、よく寝たぁ……」


伸びをしてベッドから起き出す

そこで私は綺麗に畳まれた布団を見て、こころがいないことに気が付く


舞冬「あれ……こころがいない……学校に行ったのかな」


今日も学校があるため先に登校したのだろうと思い、水を飲もうと台所に向かう……その前のテーブルの上に紙が置いてあるのに気付き、その紙を拾い上げた


舞冬「こころからだ……なになに……?」


こころ:ごめん、委員会の仕事あるの忘れてた先に学校行くね。舞冬も遅れないように来なさいよ〜


舞冬「ふふっ…こころにも珍しいとこあるのね……って私も準備しないと」


そう言って紙をテーブルに置き、女子用の制服に着替え髪を結って身支度を終え学校の鞄を持ち部屋を出る

アパートを出て学校に向かうため住宅街を歩いていた


舞冬「それにしても……スカート……慣れないなぁ……」


タイツを履いてるとはいえ、スカートの中に風が吹き抜けるのはどうしても慣れないのである

そんなことを呟きながら住宅街を抜け繁華街へと出る

昨日よりは舞冬への視線は多くはないが、それでも視線が気になる舞冬は少しだけ顔が赤くなっていた

そんな中、繁華街を歩いていると……


男「ねぇ、お嬢ちゃんこれからどこ行くの〜?良かったらお兄さんと遊びに行かない?」

舞冬「……へ?」


舞冬が顔をあげて見上げると目の前には見知らぬ男の人がたっていた


舞冬(ま、まさか……これって…ナンパってやつ?!)

男「ねぇ、なんとか言ってよ、これから遊びに行こうよ」

舞冬「えっ……あ、あの……(や、やばい……いきなりすぎて…声出ない……)」

男「そんなに怖がらないでよ〜、俺、女の子にアプローチするのに定評あるからさ〜」

舞冬「………っ(や、やばいっ……逃げないとっ!)」


私は男を無視するように脇を素通りしようとした

しかし、腕をがしっと掴まれてしまって元の男の前に引っ張られてしまった……


舞冬「痛っ…!は、離してっ…!」

男「お嬢ちゃん、無視しないでよ遊んでくれるだけでいいからさ」

舞冬「い、嫌っ!離してよっ!」


振り解こうとしても男の掴んでいる力が強すぎて振り解けなかった

私は掴まれてない方の腕で鞄を持っていた…その時あることを思いついた


舞冬「……っ!」

男「ん?」


私は涙目になりながら、鞄を持っていた方の腕を思いっきり後ろに振り上げてそのまま狙いを定めてターゲットに命中させる…!


舞冬「……えぃっ!!」

ちーん!

男「……ぐぉっ…!」


金的………私も元男だったから痛いほどわかる

鞄の角が当たったっぽく男が崩れるように股間を抑えてうずくまる……と同時に掴まれていた手が離れたので男の横を猛ダッシュで走り去った


ー学園の昇降口ー


舞冬「はぁ……はぁ……こ、怖かった……」


私は繁華街から学校まで猛ダッシュで走ってきたから、自分の下駄箱の前で息を整えていた


舞冬「それにしても……ナンパってあんなに怖かったんだ……」


舞冬はいまさっき起きた事を思い出すと少しだけ身体が震えてしまった


???「あれ……?あなたは……?」

舞冬「ん……?」


舞冬が声を掛けてきた方を見るとそこには、中学校からの友人が立っていた

魂魄妖夢(こんぱくようむ)…白髪のショートヘアで頭に大きなリボンをつけている私の中学校からの友人であり、生徒会の書記をしている


妖夢「見慣れない方ですね……転校生ですかね?」

舞冬「あ、妖夢……」

妖夢「えっ、なんで私の名前を………?私とあなたは面識ありましたっけ…?」

舞冬「あ、そっか今の私の格好じゃ分からないよね………私、舞冬だよま〜ふ〜ゆ〜」

妖夢「まふゆ………」


妖夢が私の事を凝視して固まるそして持っていたボールペンを落とした


妖夢「え〜〜〜!?」


妖夢は目を見開いて驚いていた


妖夢「あ、あなた…ほんとに舞冬なの?!なんだかすっごい変わり果てたかっこうしてるけど!?」

舞冬「うん、私舞冬だよ」

妖夢「一体何があったの……??」

舞冬「いやぁ、これには色々あってね……てか妖夢噂知らないの…?」

妖夢「噂……?なにそれ?」

舞冬「えっ……?聞いたことない?他クラスの男の子が女の子になったって話」


私は自分の噂を自分で言うのは恥ずかしかったけど、妖夢のために言ってみた


妖夢「ごめん…私、昨日休んでて知らないんだよね」

舞冬「そうだったんだ…なんかごめん」

妖夢「ううん、大丈夫だけど……舞冬が女の子にねぇ……」

舞冬「ほんと、私もびっくりだよ」

妖夢「それにしても…一昨日女の子になったばっかりなのにもう一人称が"私"なんだね?」


そう妖夢に言われ少し困惑した顔をして答える舞冬


舞冬「ん、これね〜昨日私が5、6限目の授業を保健室で寝てたらこうなったんだよね〜」

妖夢「えっ…?そんなことあるの……?」

舞冬「前までぼ、ぼくって言ってたんだっけ…?それが今は違和感しかないんだよね〜」

妖夢「へ〜、そんなことあるんだねー」


そんなこんな話していると妖夢はあることに気がついた


妖夢「あ、そうだ舞冬」

舞冬「ん?なに〜?」

妖夢「さっき、あなたなにかに怯えてるように見えたんだけど、なにかあったの?」

舞冬「そ、そう!学校に向かってたらナンパされたの!」

妖夢「えぇっ!?こんな朝から!?」

舞冬「無視しようとしたら腕掴まれてすっごい怖かったんだからっ!!」


舞冬は涙目になりながら登校中にナンパにあったことを妖夢に説明していた


妖夢「よく無事で学校来れたわね……」

舞冬「……思いっきり鞄をお股にお見舞いしてあげた」

妖夢「うっわぁ……あなた元男の子なのにえぐい事するわね……」

舞冬「だって今の私の力だと振り解けなかったんだもん」

妖夢「まぁ、今のあなたは誰が見ても美少女だし、しょうがないんじゃ…」

舞冬「私……明日から一人で登校するの怖くなってきた……」

妖夢「誰かと一緒に登校しないの?」

舞冬「今日はたまたまだったんだよね〜、こころが委員会の仕事あったらしくて早く行っちゃったから」

妖夢「あらら、今日はたまたま災難だったわけね」

舞冬「そうなんだよ〜」

妖夢「まぁ、無事でよかったよ……そろそろ教室に行こっか」

舞冬「うん、そうだね〜」


舞冬と妖夢は2人でそれぞれの教室に向かった

廊下を歩いてる間、2人とも他の生徒たちにガン見されていた…


-1年2組の教室-


舞冬「みんなおはよ〜」

クラスメイト「おはよ〜」


舞冬は自分の教室に入ってクラスメイトに挨拶するそして自分の席に鞄を置こうとして向かって歩いていたその時……


かすみ「ま〜ふゆんっ、おっはよ〜!」ばっ


かすみちゃんが私の後ろから挨拶してきたと思って、後ろを向いて挨拶しようとしたその瞬間、いきなり下半身に風が通った

下にあった布が宙を舞い、ひらひらと飛んでいる

そして、私の足は先程まで触れてなかった空気に触れ、一気に冷やされる感覚があった……そう、これは……


舞冬「きゃぁ〜〜〜〜!?」

かすみ「お、いい反応だね〜まふゆん」

舞冬「かっ、かすみちゃん!!な、なにするの!?」

かすみ「いや〜何って挨拶だよまふゆん」

舞冬「挨拶でスカートめくらないでよっ」

かすみ「まぁまぁ、そんなに怒らないでよ〜」

舞冬「もう、朝からナンパされて怖い思いしたのに……」

かすみ「え!まふゆんナンパされたの?!」


ナンパされた事に驚いて大きな声を出したかすみちゃん

教室にいたクラスメイトがいっせいにこっちを見た


舞冬「ちょっ!かすみちゃん声大きいって…!」

かすみ「ごめん、びっくりしちゃってつい……」

舞冬「すごく怖かったけど、何とか撃退できたから良かったけど」

かすみ「どっ、どうやって撃退したの……??」

舞冬「ん?あぁ……鞄をあそこに思いっきりお見舞いしてあげたよ?」

かすみ「わぉ……まふゆんすごいことしたね……」

舞冬「男だった時の痛みなんて私にはもう分からないからね〜」

かすみ「でもまぁ、まふゆんが無事でよかったよ」

舞冬「これからは誰かと登校しないとまたナンパされそうで怖いなぁ……」

かすみ「こころんは?一緒じゃないの?」


かすみちゃんはこころが一緒じゃないことを聞いてきた


舞冬「こころは今日委員会の仕事あるって言って先に学校行ってたんだよね〜」

かすみ「そうだったんだ〜」

こころ「私の事呼んだかしら?舞冬?」

舞冬「あ、こころ!おはよ〜」


委員会の仕事が終わったこころが教室に入ってきて舞冬のところに来ていた


かすみ「こころん、おはよぉ〜」

こころ「2人ともおはよう……ってなんで舞冬は涙目なのよ?」

舞冬「え、あ、それは……っ」

かすみ「それはね、こころん朝まふゆんがナンパされたんだって」

舞冬「ちょっ!かすみちゃん!?」

こころ「えっ!?舞冬がナンパ!?」


かすみちゃんが言った言葉に対してこころが驚いていた


こころ「だ、大丈夫だったの?!」

舞冬「え、あ、うん……腕掴まれたけど…大丈夫だよ」

こころ「えっ…よく逃げてこれたわね……」

舞冬「鞄を……ぶつけたから……」


舞冬はごにょごにょって言葉を濁した


こころ「えっ…?なんて言ったの?」

舞冬「鞄を……あ、あそこに……お見舞いしてあげた…」

こころ「あ、あんた……よくそれできたわね……」

舞冬「もうそれどころじゃなかったわよ……それにすごい怖かったんだから」

こころ「でも無事でよかったわ……」


こころがほっとして胸を撫で下ろす

その後、神子先生が教室に入ってきて朝のHRが始まった


神子先生「……というわけで、来週のLHRで学園祭でクラスでやるものと役割を決めます、みんな案を考えてきてね〜」


先生の話を聞いてもうそんな時期かと思う舞冬

ただ脳裏には朝の出来事がちらついてて少し集中力がかけていた


神子先生「じゃあ、HRはこれで終わりね〜」


HRが終わり神子先生は教室を出ていった

それから少し経ち、1限目の教科の先生が教室に入ってきて1日の授業が始まった


〜あれから数時間後〜

授業終わった後の10分休憩

クラスメイトは思い思いに席をたって友達と談笑する中、私はただ席にぽつんと座っていた

すると……かすみちゃんが私のとこにやってきた


かすみ「ま〜ふゆんっ」

舞冬「あ、かすみちゃんどしたの?」

かすみ「今日の放課後って空いてる〜?」

舞冬「放課後?部活も何もやってないから空いてるよ〜」

かすみ「じゃあ、今日かすみんに付き合って!」

舞冬「うん、いいよ〜」

かすみ「じゃあ、決まりね♪︎」


そう言ってかすみちゃんはルンルンで自分の席に戻って行った


舞冬(……かすみちゃんに放課後付き合ってって言われたけど、何するんだろう……楽しみ♪︎)


舞冬は座りながら放課後のことを想像してちょこっと顔がにやけるのだった

あれから1時間後、午前の授業が終わりお昼になった

舞冬はこころとお昼を食べようと誘ったがこころは友達と食べる約束をしていたため、断られてしまった

こころがお弁当を持って席を立ったその時、かすみ呼び止めた


かすみ「あ、こころん!放課後なんだけどまふゆん借りるね!」

こころ「え、別に構わないけど……珍しいわね…かすみちゃんが舞冬となんて」

かすみ「まぁ、私が少しだけ用事あるからそれに付き合ってもらって、終わったら少し遊ぼっかなって思ってるよ!」

こころ「そうなのね、私は全然いいわよ〜寧ろ舞冬をお願いね?」

かすみ「まっかせて〜!」

こころ「じゃあ、私友達のとこに行くわね〜」


そう言ってこころは友達のとこに向かった

かすみはニコニコしながら舞冬を見ていた


かすみ「よぉしっまふゆんお昼一緒に食べよっ」

舞冬「うんっいいよ〜どこで食べる?」

かすみ「教室でもいいけど、天気もいいしせっかくだから屋上で食べよっか」

舞冬「うんっ」


そうして私とかすみちゃんはお弁当を持って屋上に向かった

屋上に向かってる途中の廊下では2人ともすごい注目を浴びていた


女子生徒1「あ、あれ見て!夢川さんと噂の子だよ!?」

女子生徒2「ほんとだ!2人で並ぶとすごいよね!」

女子生徒3「学年のアイドルと噂の美少女……眼福……」

男子生徒1「お、おい……あの組み合わせはやばいだろ……」

男子生徒2「1年のアイドルと例の噂の子だろ……?可愛いすぎだろ……」


などという他クラスの生徒から歓喜の声と憧れの目を向けられ、顔が赤くなるかすみと舞冬


かすみ「あはは……まさか私まで有名人とはね〜」

舞冬「かすみちゃんが学年のアイドルだってのは知ってたけど……私ここまで有名なの……??」

かすみ「まふゆんはめっちゃ珍しいからねぇ〜、それに男の子から女の子に変わったなんて全く聞いた事がないからね〜」

舞冬「そ、そうだよね〜……私も聞いたことないし、そもそも私がその当事者になるなんて……」

かすみ「まぁまぁ、でも女の子になったことで人生変わりそうじゃない?」

舞冬「か、変わるかな……?」

かすみ「ま、既に女の子になった時点で色々変わってそうだけどねぇ」


そんなこんな話ながら2人は屋上に着いた


ー屋上ー


舞冬「ん〜っ、風が気持ちぃ〜っ」

かすみ「ほんとだね〜、じゃあそこのベンチで食べよっか」

舞冬「うんっそうしよっ」


舞冬とかすみは屋上にあるベンチに座りお弁当を広げ食べ始めた


舞冬「え、かすみちゃんのお弁当全部手作りなの?!」

かすみ「そうだよ〜…って言っても私のお母さんが作ってくれてるんだよね〜」

舞冬「いいなぁ〜、私一人暮らしだから簡単なのしか作れないんだよね〜お弁当だってほぼ冷食だし……」

かすみ「まふゆん、1口食べてみる?」

舞冬「えっ、いいの?」

かすみ「いいよいいよ〜、はいっ」


そう言ってかすみちゃんは私の前にお箸でとったおかずを差し出してきた


舞冬「……ふぇ?か、かすみちゃん?」

かすみ「ん?なぁに?」

舞冬「あ、あのっこれは……?」

かすみ「なにって…あーんだよまふゆん」

舞冬「い、今やるの…?」

かすみ「うん!はいっあーん♪︎」

舞冬「あ、あーんっ(は、恥ずかしい……っ)」ぱくっもぐもぐ…

かすみ「どう?美味しい?」

舞冬「……!美味しい……!」

かすみ「お口にあって良かった♪︎」

舞冬「これ、ほんと美味しい!かすみちゃんのお母さんすごい!」

かすみ「ありがとう、お母さんにも言っておくね!」


そんなこんなで2人はお弁当を食べ終わり、屋上でゆっくりしていた


かすみ「ふぅ…美味しかったぁ」

舞冬「美味しかったねぇ」

かすみ「あ、そうだまふゆんに聞きたいことがあったんだ」

舞冬「聞きたいこと…?なぁに?」

かすみ「まふゆんとこころんって結構距離近いけどどういう関係?」

舞冬「えっ…どんな関係って……ただの幼馴染みだよ?」

かすみ「ただの幼馴染みねぇ……」

舞冬「な、なによ……?疑ってるの……?」

かすみ「いや、疑ってはいないんだけど……普通の幼馴染みって距離感じゃないよね…」

舞冬「うっ……確かに……」

かすみ「あ!もしかして!」


かすみちゃんははっと何かに気づいて続けてこういった


かすみ「まふゆんってこころんのこと……好きだったりする……?」

舞冬「……ふぇ?!////」


かすみちゃんがいきなりそんなこと言うから私は途端に顔が熱くなった


舞冬「な、な、ななななにいってるの!?////」

かすみ「あははは、まふゆん顔真っ赤〜!」

舞冬「〜〜〜っ!////(でも……考えたこと無かったかも……こころのこと好きかどうかなんて……)…………」

かすみ「……えっガチ……?」

舞冬「………考えたことなかったかも……」

かすみ「えっ?そうなの?」

舞冬「……うん……」


かすみちゃんはずいっと私の方に顔を寄せて、こう言った


かすみ「まふゆん……男の子だった時はどうだったの?好きだったりした?」

舞冬「う〜ん……」


と、私は唸りながら思い返してみる……が何故だか頭の中にモヤが掛かっていて思い出せない


舞冬「ごめん……今は良くわかんないかも……思い出そうとするとなんか……もやがかかってて……」

かすみ「そっか……まぁ無理に思い出さなくてもいいよ?」

舞冬「……うん(どうして思い出せないんだろ……)」

かすみ「(あちゃ〜…ちょっと深く探りすぎたかな…)……ごめんね、まふゆん」

舞冬「えっ…あ、いや…気にしないで」

かすみ「……そろそろ戻ろっか(……この事はしばらくは聞かないほうがいいかもね……)」

舞冬「うんっ」


2人は食べ終わったお弁当を片付けて屋上を後にし、自分たちの教室に戻って行った

教室に戻る際、私たちはさっきのこともあって気まずくて一言も喋らなかった……というより喋れなかった

というのも、さっきの事が私は引っかかっていた


舞冬「……………(女の子になって…まだ3日…それしか経ってないのに…なんで男の時の気持ちが思い出せないんだろ……)」

かすみ「……まふゆん大丈夫?」


かすみちゃんの心配する一言で私ははっと我に返る


舞冬「えっ、あっごめん……なに?」

かすみ「いや、さっきからぼーっとしてたからずっと心配だったんだよね」

舞冬「あぁ……ごめんね、思い出せないのが引っかかちゃって……」

かすみ「あぁ、そっか……でもあんまり無理しちゃだめだよ?私、結構心配なんだからね?」

舞冬「うんっありがとっかすみちゃん!」ぎゅっ


舞冬はぎゅっとかすみの腕にしがみついた


かすみ「えっ、ちょ…まふゆん…?////」

舞冬「あはは、かすみちゃん顔赤いよー?」

かすみ「まふゆんがいきなり抱きついて来るからじゃん…?」

舞冬「ふふん……ドキってしたの〜?」

かすみ「し、しちゃ…ダメなの…?(ドキってしたのは本当だけど)」

舞冬「えっ…あの…その……////」


思わぬかすみの反撃につい顔が赤くなる舞冬


かすみ「あはは…!まふゆんまた引っかかった〜!」

舞冬「あ〜!またからかった〜!」

かすみ「あはは〜!」

舞冬「あ、待ってよ〜!」


2人はからかいあいながら廊下を小走りで教室に戻って行った

そんな2人を見ていた他の生徒達は羨ましそうに見ていた


他の生徒たち「いいなぁ〜…!」


お昼休憩が終わり午後の授業が始まった

舞冬達は眠くなりながらも難なく午後の授業を受け終わった

HRが終わり、私のところにかすみちゃんがやってきた


かすみ「ま〜ふゆんっ」

舞冬「あ、かすみちゃん」

かすみ「それじゃ行こっか?」

舞冬「うんっ」


私とかすみちゃんは学校を後にして、繁華街に来ていた


舞冬「ところでかすみちゃん」

かすみ「ん?なぁに?」

舞冬「今日はどこに連れてってくれるの?」

かすみ「ふっふっふっ……それはね……着いてからのお楽しみ〜」

舞冬「え〜、すごい気になるじゃん!」

かすみ「まだ秘密〜!」


2人は一緒に話しながら繁華街を歩いていた

繁華街を歩くこと数分、あるお店の前でかすみが足を止めた


かすみ「着いたよ、まふゆん」

舞冬「えっ、ここ……喫茶店…?」

かすみ「そう!喫茶店!ここでお茶しよ?」

舞冬「うんっ!……ってあれ……?」


と、舞冬はとあることに気がついた


舞冬「喫茶……ゆめかわ……?」

かすみ「あはは、気づいちゃった?私のお母さんがやってるんだ!」

舞冬「そうだったんだ!かすみちゃんのお母さんすごいっ」

かすみ「でしょ〜?ささっ入って入って!」


かすみちゃんに連れられて私は喫茶店の中に入った


ー喫茶ゆめかわ店内ー


穏やかなBGMが鳴り響く落ち着いた店内に入ると紫髪のとても美人な女性が2人に話し掛けてきた


???「あら、かすみおかえり早かったわね?」

かすみ「ただいま、お母さん」

舞冬「おっお母さん!?(わっっっっか!?え?何?わかすぎない?!)」

???「あら、お友達?」

かすみ「うん、同じクラスの舞冬ちゃんだよ」

舞冬「柊舞冬です、かすみちゃんと仲良くさせてもらってます」

みゆき「かすみの母のみゆきです、いつもかすみと仲良くしてくれてありがとうねぇ」

かすみ「お母さん、まふゆんにいつもの食べさせてあげたいんだけど……いいかな?」

みゆき「えぇ、いいわよ〜かすみも食べるでしょ?」

かすみ「食べる!」

みゆき「じゃ、2人とも向こうの席に座ってて?作ったら持ってくから」

かすみ「は〜い!まふゆん行こっ」

舞冬「うんっ」


私とかすみちゃんは窓側の端の席に座って、かすみちゃんのお母さんが作ってくれる料理を待っていた


舞冬「ねぇ、かすみちゃん」

かすみ「ん〜?なに〜?」

舞冬「みゆきさんってすっごい若いね!それに美人だし……あのお母さんにしてかすみちゃんありだね」

かすみ「そ、そんなことないよぉ〜……」


私が褒めるとかすみちゃんの顔が赤くなる……なんかかわいい

そんなこんな話しているとかすみちゃんのお母さんが料理を持ってきていた


みゆき「はぁい、おまたせ〜」

かすみ「まってました♪︎」

舞冬「あっありがとうございますっ」


かすみちゃんのお母さんが持ってきたお皿をテーブルにおいた

おいたお皿には綺麗なまでにまんまるの美味しそうなパンケーキがあった


舞冬「……!美味しそう…!!」

かすみ「だよねだよね〜!お母さんのお店の人気メニューなんだ♪︎」


舞冬はパンケーキを前にして目がキラキラしていた

それもそのはずである舞冬は男の時から大の甘い物好きである


かすみ「さ、まふゆん!食べよっか」

舞冬「うんっ!いただきますっ」


2人はパンケーキを食べ始めた

私は先に食べたかすみちゃんの顔を見た

すごい幸せそうにほっぺたを抑えながらパンケーキを頬張っていた

私もパンケーキを口に運ぶ


舞冬「…….!!美味しい……!!」

かすみ「美味しいよね〜!私、お母さんが作ってくれるこれが大好きなんだよね〜!」

みゆき「舞冬ちゃん、美味しい?」

舞冬「はい!とっても美味しいです♪︎」

みゆき「ふふ、良かった、飲み物もここ置いとくわね」

かすみ「ありがとう、お母さん!」

舞冬「ありがとうございますっ」

みゆき「それじゃ、ゆっくりしていってね」

舞冬「はいっ」


2人は雑談しながらパンケーキを堪能していた

とても美味しくてまた食べたくなるくらい好きになっていた

また食べに行きたい…!


舞冬「はぁ〜、幸せぇ……」

かすみ「まふゆんってかなりの甘党?」

舞冬「……うんっ男の時から結構好きでねぇ……」

かすみ「へぇ〜、なんか意外かも」

舞冬「え?そう? 」

かすみ「うん、まふゆんって甘い物好きそうとは思ってたけど、ここまでとは思ってなかったからさ」

舞冬「前にいっぱい食べてたら、こころに止められたことあったよ……」

かすみ「あはは…まふゆんはほんとに甘い物好きなんだね〜でも、これからは気を付けないとね?」

舞冬「ん……?何を?」

かすみ「…た…体重…」

舞冬「うっ……」


かすみちゃんの顔が少し暗くなる……体重……私も女の子になったのだから気にしなくちゃいけなくなったのだ……甘い物……少し控えないとかな〜……


かすみ「まぁ、まふゆんは女の子になったばかりだから大丈夫そうだけど、私はちょっと控えないとかな〜」

舞冬「えっかすみちゃん…スタイルいいから…まだ気にしなくても……」

かすみ「甘いよまふゆん! 気にしてないといつの間にか太っちゃうんだよ!!」

舞冬「ひゃっひゃい!」

かすみ「今は良くても、絶対あとから後悔するからまふゆんも気を付けた方が良いよ〜」

舞冬「う……うん、気を付けるよ…」


そんなこんな話していると、日は沈み暗くなってきていた

そこにみゆきさんがやってきた


みゆき「ねぇ、かすみ」

かすみ「ん?なぁに、お母さん」

みゆき「もうそろそろお店閉めるから片付け手伝って」

かすみ「はぁい、まふゆんちょっと待っててね」

舞冬「あ、それなら私もお手伝いしますっ」

みゆき「それは悪いわよ…舞冬ちゃんはお客さんなんだから」

舞冬「いえ、パンケーキをご馳走になったので!」

みゆき「それなら…舞冬ちゃんは空いてるテーブルを拭いてくれるかな?」

舞冬「はい!」

みゆき「かすみは外の看板中に入れて、洗い物手伝って」

かすみ「はぁい」


私はみゆきさんの言う通り、テーブルを順番に拭き始める

かすみちゃんは手慣れているようでてきぱきと片付けをやっていた

舞冬が手伝ったからか片付けは1時間程度で終わった


みゆき「いやぁ、助かっちゃったわ、ありがとう舞冬ちゃん」

舞冬「い、いえ!全然大丈夫ですっ」

かすみ「まふゆん、時間大丈夫?」

舞冬「え??あっ…」


かすみちゃんにそういわれてスマホの電源をつける

画面に表示されていた時間は19時30分を回ろうとしていた


舞冬「やばっ……」

みゆき「舞冬ちゃん、良かったら晩御飯食べてく?」

舞冬「えっ、それは悪いですよっパンケーキご馳走になっちゃってるのに晩御飯まで…」

みゆき「帰りが心配なら私が車出してあげるから心配しなくていいのよ?」

かすみ「お母さんもそう言ってることだしまふゆん食べていきなよ」

舞冬「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…」

みゆき「はい、じゃあ今から作るから少し待っててね〜」

舞冬「あ、じゃあお手伝いさせてくださいっ私あんまり料理出来ないから…少しでも覚えたくて…」

かすみ「あっ私も!お母さん、私にも料理教えて!」

みゆき「いいわよ〜、じゃあみんなで作ろうね」

舞冬「はいっ!」

かすみ「うんっ」


こうして3人で台所に立ち、みゆきによるお料理教室が始まった

懇切丁寧に教えるみゆきの説明に舞冬もかすみも真剣に聞き、その手順通りに下ごしらえをしていった


舞冬(料理ってこんなに楽しいんだ……お母さんに教えてもらえばよかったな……今年の年末帰ろ…)


舞冬は実家にいる母に料理を教えてもらおうと決心したのだった…

3人で作る料理は無事作り終わり、3人でテーブルを囲み、談笑しながら晩御飯を食べ始めた


みゆき「それじゃいただきます」

舞冬&かすみ「いただきますっ」


舞冬とかすみはみゆきに教わって作った料理を食べ始めた


舞冬「……!美味しい……!」

かすみ「ほんとに美味しい!お母さんが作ったみたい!」

みゆき「手順通りにちゃんとやって、分量が間違ってなければちゃんと美味しくできるわよ〜……あとは……」

舞冬&かすみ「あとは……??」

みゆき「愛かしらね♡」

舞冬「…あ、愛…!?////」

かすみ「さ、さすがお母さん……////」


みゆきの言った言葉に顔を赤くする2人


舞冬「愛なんて……どうすれば……」

みゆき「それは簡単よ舞冬ちゃん」

舞冬「……え?」

みゆき「大切な人を思いながらおいしくな〜れって作ることよ」

舞冬「大切な人……」

かすみ「大切な人って…恋人とか好きな人とか?」

みゆき「ふふ、2人にはいるのかな〜?」

かすみ「わ、私はい、いないかな〜」

舞冬「わ、私もよ、よくわからないです……」

みゆき「あらあら、初々しいわね〜」


そんなこんな話しながらご飯を食べていた

しばらくしてご飯も食べ終わっていた


舞冬「ふぅ……ごちそうさまでしたっ」

かすみ「ごちそうさまでした!」

みゆき「はい、お粗末さまでした」


3人でテーブルの食器を流しに持っていき、かすみとみゆきで食器を洗い、舞冬がテーブルを拭きあげ自分の荷物を軽くまとめる


みゆき「それじゃあ、車出してくるから2人とも玄関の外にいてくれる?」

舞冬&かすみ「はぁいっ」


みゆきさんは車を出しに車庫に向かって、私とかすみちゃんはみゆきさんの運転する車が来るのを玄関の外で待っていた

数分してみゆきさんの運転する車が家の前にやってきて、2人とも車に乗って私のアパートまで向かって行った


ー舞冬の住むアパート前ー


かすみちゃんの家から車を走らせて十数分で私の住んでるアパート前に着いた

私は車を降り、お礼を言った


舞冬「今日は、ありがとうございました!パンケーキだけじゃなくて晩御飯までご馳走になっちゃって」

みゆき「気にしないでいいのよ〜」

かすみ「まふゆんっまた明日ね」

舞冬「うん、またねっ」


みゆきさんの車は走り去って夜闇に消えていった…

私は見送った後自分の部屋に入った

この後、帰りが遅いと心配していたこころにお説教された舞冬なのでした


ーみゆきの車の中ー


かすみ「ね、ねぇお母さん」

みゆき「なぁにかすみ?」

かすみ「変な事聞くけど、お…女の子同士の恋愛ってどう思う……?」


かすみがみゆきに質問をなげかけた

みゆきは一瞬はてなが浮かんだが、すぐにわかった


みゆき「……?かすみ……さては舞冬ちゃんの事が好きなのね……?」

かすみ「……まだわかんない……けど、まふゆんと一緒に居るのはすごい楽しいんだよね……」

みゆき「ふ〜ん……それでさっきの質問なんだけど」

かすみ「うん…」

みゆき「お母さんは、女の子同士で恋愛してもいいと思うわよ?」

かすみ「ほ、ほんと?」

みゆき「だけどね、これだけは言っておくわね」

かすみ「な、なに……?」

みゆき「かすみが後悔しないようにやりなさい」

かすみ「……!!うんっ」


母に質問した時よりは迷いが晴れた顔をしているかすみ

それを見て安堵するみゆきの親子なのでした

読んでいただきありがとうございます


誤字脱字等ありましたらご指摘の方よろしくお願いします

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