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【勇者の館】ルーカス(3)

 依頼は完全に達成できたのだが、突然の所属冒険者の降格宣言。


「【勇者の館】はAランクギルドであったな。こやつら二人、Bランクのカードが作成されたか、本部で把握させておけ」


 唖然とするルーカスだが、背後の二人からは一切の反論がないためにここで口を開くのは悪手だと判断し、黙って指示に従っていた。


 ルーカスにとってみれば、この二人がAランクの中でも極めて優秀である事は事実なのだが、Aランクの資格を剥奪されたとしても【勇者の館】にはまだまだAランカーは多数いるので、ここで場を荒らして自分自身に火の粉が飛ぶのを防ぐ方が良いと判断した。


「何も文句がないようだな。自分達の行いを理解しているようだ。次に同じような事があれば、ギルドも含めて処罰対応とする旨、忘れるな」


 厳しい口調の国王に対し、只々頭を下げるしかない【勇者の館】の三人。


 ルーカスは何が何だか分からないまま頭を下げさせられ、ドリアスとハンナに怒り心頭だった。


「次は、【癒しの雫】か。待たせたな。その方らの今回の依頼の成果、更にはギルドの評価にならない依頼も絶えず受け続けていると聞いておる。正に冒険者ギルドの鑑。そのギルドに対して正しい評価をしなければ、余の評価も下がると言うものだ。そこで【癒しの雫】を余の権限によって、今この場でAランクギルドに認定する。それと、ジュラを仕留めた冒険者の名は何という」


「は、はい。フレナブルさん、フレナブルと申します」


 感動しながらも、急な問いかけに慌てて回答するシア。


「そうか。そのフレナブルと言う冒険者、今この瞬間を持って余の権限でSランクとする」


「なっ、そんな馬鹿な!」


 思わず口を開いてしあったルーカス。


 権力・財力・名声、全てが段違いなSランクを、易々とフレナブルに与えた事に納得がいかなかったのだ。


「黙れ!貴様に発言は許しておらん。そもそも、Sランクのジュラをあれ程の状態で狩ってくる人材、Sランク以外にはあり得んだろうが!文句があるならば、貴様の所のAランカーも同じ状態でSランクを狩ってこい!」


 ここまで言われては黙るしかないルーカス。


「少々問題はあったが、街道が安全になったのは良い事だ。以降、余の方からも指名依頼を出す事も有るだろう。これからも恥じない働きを期待しておるぞ!」


 どこに指名依頼を出すとは敢えて言っていないが、その視線は明らかに【癒しの雫】のギルドマスターであるシアを見つめていた国王。


 その後にもう用はないとばかりに、謁見の間から退出して行く。


 残ったのは、玉座の横に立っていた謎の男と背後の騎士達。


 ありえない事続きで、どうにかなりそうなルーカスをよそにその男は話し始める。


「少し楽にして頂いて結構ですよ。先ずは自己紹介ですね。私、サステナ・リビル。これでも一応公爵です。実は私には娘がおりましてね、【癒しの雫】の皆さんの所、そして【勇者の館】の皆さんにも非常にお世話になったようです」


 不思議そうな顔をするルーカス。


 流石に公爵令嬢程の重要人物からの依頼、相談、接触等があれば、少なくともギルドマスターである自分に情報が上がるはずだが、何も聞いていないからだ。


 既に事務方がボロボロである【勇者の館】では、そのような情報は上がってこない程に劣悪になっているが、今回は違った意味で情報が上がっていなかった。


「それは、どう言った事でしょうか?」


 当然ルーカスはそう反応するが、残りの四人はリビル公爵の言っている事を理解していた。


 【勇者の館】の二人はその娘を見殺しにしようとした事を、【癒しの雫】の二人は、実際にリビル公爵の娘であるリリアがしょっちゅうギルドに遊びに来ては、特にリアントを無駄に構い倒している事を。


「成程。あれほどの悪行であればギルドマスターには情報は伝えていない……と。良いですか?今回納品されたゴスモンキ、これに我が娘は襲われました。そこに助けに入ったのが【癒しの雫】の冒険者であるアルフレド。そして、危機的状況に陥る程にゴスモンキを引き連れて着た挙句、逃走したのがそこの二人……言い訳は?」


 初めて聞いた事実に、思わず後方の二人を振り返って見るルーカス。


 自分も相当な事をやらかしているがそこは頭にはなく、今この場での指摘をどうするべきかを必死で考える。


 直接指摘された二人は、震えるだけで何も口にする事ができない。


「そう言う事ですよ、降格の理由は。それに、あなたにも良くない噂が流れていますから、他人事ではありませんね?ルーカス」


 この場で二人をギルドから除名し、【勇者の館】としての体裁を整えようかと考えていた所に、自分に対しても厳しい指摘がなされて黙るしかなくなったのだ。


 ルーカスの予想では、今回の依頼に対する褒賞によって昇格間違いなしと思っていたのだが、ふたを開ければ降格と叱責……正に天国から地獄に落とされただけの謁見となっていた。


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