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アルフレドの加入(3)

誤字報告、ありがとうございました

 アルフレドのにやけ顔と、その表情を見て少々困惑しているリアントを嬉しそうに見ながら歩くシアとクオウ。


 やがて【癒しの雫】に到着する。


「うっとうしい野郎だぜ。そんなんだから降格するんだよ!」


「ウフフフ、落ち着いて下さいな、ミハイルさん。こんな【変質者の館】の方々に普通の言葉は理解できないのですよ?そうだ!餌でも与えてみましょうか。少しは大人しくなるのではないでしょうか?」


「何を言っている!相変わらずだな、フレナブル」


「そうだぞ。俺達は、お前らが襲撃を受けたと聞いて心配して訪ねてみれば、何だ!その態度は!」


 声から、【勇者の館】のギルドマスターであるルーカスと、【癒しの雫】にいたのだが、いつの間にか【勇者の館】に移籍して【癒しの雫】の土地を譲るように言い続けてきたマルガの声が聞こえてくる。


 最早【勇者の館】には一切の興味がないシアとクオウ、そしてアルフレドは、その声を無視するようにギルドに入る。


「戻りました!私達【癒しの雫】の新たな冒険者の加入、完了しました!」


「登録、問題なく終わりました。さぁ、これからパーティーだ!」


「これから、よろしくお願いします!」


 その声に反応し、入り口を見るルーカスとマルガの目に入ってきたのは、笑顔のシア、クオウ……ここまでは良いが、死んだと思っていたアルフレドまでいるのだ。


「アルフレド!お前、生きていたのか……お前さえいれば、俺達は降格せずに済んだんだぞ!」


 ルーカスの逆切れが、空しく【癒しの雫】に響く。


「アルフレド、貴様……なぜ生きている。まさかあのダンジョンから逃げたのか?貴様のリアントがいれば、その後の攻略は問題なく進んだはずだ。貴様のせいで俺達【勇者の館】はAランクに降格になったんだぞ!」


 理不尽にかみつくルーカス。


「ルーカス、言いがかりは止めろ。そもそも【勇者の館】で脱退の正式な処理がなされて、記録も本部に残っている。つまり、ダンジョンではきちんとアルフレドは活動して無事に帰還後、ギルドで正式に脱退手続きをしたのだろう?そうでなければ、死亡届がギルドに提出されているはずだからな。お前は不思議な事を言うんだな」


 わざと煽るクオウ。


 こう言った荒事は、未だシアには早いために対応させる事は無い。


「それに、態々ここから距離のある【勇者の館】様が、襲撃を受けた【癒しの雫】のために来るなんて、お優しい事で。何をしに来たか分からない襲撃者はとっとと追い払ったので、この周辺ですら噂にはなっていないはずなのに、大した情報網だな!」


 追撃として、暗に襲撃してきたのはお前ら【勇者の館】だろう?と言っているクオウ。

 

「クオウ、貴様……」


 正論を言われ、何も言い返せないルーカス。


 クオウの言う通り、この男は手下を使って腹いせに【癒しの雫】を破壊してやろうと思って指示していたのだ。


 襲撃してドア付近を大きく破壊してきたと報告を受け、嫌みの一つでも言ってやろうと意気揚々と乗り込んだ結果、ドアは既に直っているし、中には見た事もないような豪華な食事が並んでいるし、挙句の果てには死亡した事を誤魔化すように処理したアルフレドまで生きており、【癒しの雫】に加入したと言うのだ。


 ハッキリ言って、Aランクでも上位の力を誇るアルフレドを失ったのは痛手だと考えていたルーカス。


 他のメンバーと共同で行動する事ができないのだが、その能力・成果は突出していると思っており、近くSランク昇格の試験を受けさせようかと思っていたほどだ。


 あのダンジョンでは、攻撃を受けて木端微塵になったと思ったので、死亡届を提出する手間を省くべく脱退処理をさせた。


 その行為が仇となり、無条件でアルフレドと言う高い戦力を【癒しの雫】に移籍させる事になってしまったのだ。


 全てが上手く行かないルーカスはクオウとアルフレドを睨みつけると、さっさと出て行ってしまう。


「じゃあ、早速乾杯しようか!」


 まるで自分の来訪など無かったかのように楽しそうな声が聞こえる【癒しの雫】から早足で去って行くルーカスと、その後を慌てて負うマルガ。


「クソが、調子に乗るのも今の内だぞ、クオウ!【癒しの雫】!所詮冒険者が四人の弱小ギルドだという事を思い知らせてやる」


 同行しているマルガはルーカスが恐ろしくて何も返事をする事は出来ないが、この勢いと今までにルーカスが築いた権力、財力から、【癒しの雫】の明るい未来はないと確信していた。


「いや~、俺はリアント、初めて触りましたよ~。マスターの言う通り、手触りが抜群ですね~。ほい、お肉だよ~。お~、よく食べる!アハハハ」


「まったくだぜ~。グハハハ、しかしよ~、あのルーカスの間抜け面、見たか?思い出しただけで、酒の肴になるってモンだぜ!ハハハハ、良し、リアント、お前にもご褒美をやろう。肉だ!」


 完全に出来上がっているシルバとミハイルは、リアントに絡み続けている。


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