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エピローグ

 ジャロリア王国の国王も変わり、周辺国家も含めて安定しているこの大陸。


「クオウさん!今日からはジャロリア王国や他の国の依頼も受けますね!これから忙しくなりますよ!!」


「望む所ですよ、事務処理は全てお任せくださいね、っと、ラスカさんとミバスロアさんも頑張りましょう!」


「「任せてください!」」


「鍛冶の依頼も受けていますので、三人組の皆さんも忙しくなりますよ!」


 今回の騒動で、かなりの数の国家から指名依頼が舞い込む事になった【癒しの雫】。


 なぜか魔王国からの依頼も時折舞い込むのだが、その実力を示す事で魔王国の住民達にも存在感を示す事ができる事から本気で依頼を遂行して難なく達成し、思惑通りに魔王国の一般市民でさえ【癒しの雫】に敵対する意思はなくなっていた。


「少し前までは考えられない事でしたね。今は心置きなく事務仕事ができて楽しいですよっと」


 クオウは目の前のとてつもない高さの書類を嬉しそうに処理している。


「何呑気な事を言っているんですか!次はこれですよ!」


 その処理が終わらないうちに、ラスカやミバスロアが大量の書類を持ち込んでくる。


「えっと、実働部隊はこれだけ依頼をこなして、大丈夫ですか?」


 相当な量の書類が山積みになっているので、カスミやシルバなどの人族冒険者、ミハイル、ロレアル、バーミルの鍛冶三人組、統括業務のシアが心配になるクオウ。


 ちなみに、フレナブル、アルフレド、ペトロは体力が有り余っているので心配の対象には入っていない。


「全部が依頼達成報告ではありませんよ。緊急性の高い受けるべき依頼を選んでいただきたいので持ってきたのがこちらです」


 ドンと大きな音と共に新たな書類が持ち込まれる。


「ラ、ラスカ様。こ、これで良いですか?」


「ありがとうございます、レゼニアさん」


 なぜか四星二席のレゼニアも小間使いの立場で【癒しの雫】の中で働いており、三席四席のレベニとカロラも例外ではない。


 ゴクドと四星筆頭のジスドネアの二人は魔王国の統治と言う名目で免除しているのだが、菓子折りを持って定期的に【癒しの雫】と周辺住民に挨拶している。


 当初は魔王として相当恐れられていたゴクドだが、フレナブルを始めとした【癒しの雫】のメンバーにおびえ切っている姿を見て、あまりにも気の毒に思った周辺住民が優しく接し、その優しさを受けてすっかり丸くなっていた。


「今日も頑張りましょうかねっと!」


「フフフ、クオウさんはいつもそうですね。でも、それが良いです。頑張りましょう!」


「私も頑張ります!!」


 事務を一手に引き受けている三人は、このまま楽しい日常が続く事を一切疑う事なく、楽しく過ごす事ができていた。


 一部ルーカスやギルド幹部、そしてジャロリア国王と重鎮の一部は強制労働の憂き目にあっているが、唯一この難を逃れたのは……自らを守って散ってしまったアルゾナ王国所属Aランカーであったフィライトの墓標を守っているハンナだ。


 城壁の外にテントを張り、そこで毎日フィライトの墓標を掃除して祈りを捧げ、時折癒しの力を使ってわずかな報酬を得て生活をしていた。


 ペトロの情報収集によってその姿は【癒しの雫】のメンバーに周知されており、ここまで改心しているのであれば……と見逃されていたのだ。


 その結果、その姿に心を打たれた門番と結婚して城壁の中に生活基盤を移したが、毎日の掃除と祈りは今も欠かす事はなかった。


 その情報も得ていた【癒しの雫】。


「これで全て一区切り……ですかね、マスター?」


「はい。後は【鋭利な盾】のエンさんがもう少し元気になっていただければ、文句なしですね」


 魔族に対抗して散ったホスフォ、そしてハンナを助けるために散ったフィライトの仲間であったエン。


 彼女の元には怯えたレベニとカロラ、そして魔王ゴクドがフレナブルと共に謝罪に行っており、自分達を瞬殺できる実力者である魔族がなぜ怯えているのか理解できないまま、終わってしまった事としてその謝罪を受け入れたエン。


 今なお少々体に不自由は残っているが、間もなく全快して以前のように活動できるはずだ。


 こうして最強魔王であるクオウは矢面に立たずに、未だ元魔王だと知られていないと思って事務仕事を楽しんでいるのだが……


「やっぱりクオウの旦那って……」


 ミハイルが話している通り、あのフレナブルさえ従えている魔族となれば元魔王と推測することは容易いが、本人が言わない以上誰もその事を確かめるような事はしない。


「どんな存在であれ、クオウさんはクオウさんですよ!」


 シアのこの一言で全て丸く収まる【癒しの雫】は、今日も忙しいながらもとても平和だ。


その後の話が続きます

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