1/7
序章
俺の名前はザード。リザードマンと人間との間に生まれた子だ。
俺の親はもういない。生みの両親は顔すら覚えていない。育ての親に聞いた話だ。
育ての親は教会の神父で、身寄りの無い子どもたちの面倒を見ていた。俺もそんな子どもたちの一人だった。
その育ての親も、野盗の襲撃で殺され、今では天涯孤独となったが、妻のヘレンや、亜種レジスタンスの仲間たちと知り合い、初めて親以外の信頼できる仲間が、俺にもできた。
今はヘレンや、亜種レジスタンスの仲間たちとともに、辺境の農村で平和にスローライフを送っている。
国王からは、できれば城下町に住んだらどうかと、手紙が届いたりするが、俺には辺境の農村の暮らしの方が板についているようだ。
俺がなぜ、この辺境の農村で暮らすようになったのか、まずはその経緯から説明する。