ちがうばしょで(ある人物のヒトリゴト)
それは品子達がいる所から離れた。
遠い遠い場所。
そこである人物が、独り言をつぶやく。
「おや、室さんの様子がおかしい。
何でしょう?
すごいフラフラしながら歩いてますね。
ふふふ、なんだかとっても面白い動きしていますね。
どうしてあんな風になったのだろう。
今度、あの動きをやって欲しいって言ったらやってくれますかね?
白日の人も同じようにフラフラしてるし。
二人して何やってるんでしょ?
面白そうだから、もう少し様子を見ていようかな。
別にいいですよね。
ただ面白そうかなぁって見ているだけですもの。
だって今はこの間の壁を作る仕事と違って、別に何も頼まれていないですし。
それにしてもせっかく作った壁、壊されちゃいましたね。
奥戸の力が弱すぎるからでしょうね、きっと。
まぁ、終わったことだし、どうでもいいんですが。
あ、別々の方に行くんだ。
どちらの方をみてようかな?
うーん。
よし、室さんの方にしましょう。
どこに行くのかな?
面白い所だと、いいですけどねぇ」
響くのはその人物の口からこぼれた、くすくすという笑い声だけ。
誰に聞かれるでもないその声は、するりと闇の中へと溶けていった。
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次話タイトルは「人出品子は悔やむ」です。




